今回のツミは様々な姿態を見せてくれました。
真心のことである。二心を持たず、主人(組織)のために働くことである。ロイヤリティと英語ではいう。我が身を大切にすることが強調されている世の中であるが、実は就職することはすなわち、その組織に対して忠誠を尽くすことであり、その組織を裏切らないことを誓うことなのである。就職が決まった段階で、誓約書(固く約束する文書)なるものを書かされることがある。この誓約書が法的にどれだけ縛りがあるかは、その取り扱い方にもよるが、一般的には殆ど制約が無いに等しく、暗に意識的なことでなされていると思う。最近では誓約書を省いているところも多い。
しかし、業務上で知り得た多くの事柄に対して、退職後や、在任中に誹謗・中傷することは厳に慎まなければならない。特に、機密文書等を持ち出し、拮抗する企業等に何らかの報酬を貰って譲渡することや、チクリ(内部告発)といわれる暴露などは、その行為自体を正当化するには微妙といわざるを得ないことが潜む。難関を突破して見事就職した企業が、ブラック企業と呼ばれている企業の場合には、労働条件が明らかに違反している場合もあり、忠誠心だけでは解決しない案件があることも事実である。
ブラック企業と呼ばれている企業の従業員募集手段の一つに、公共職業安定所への登録であるが、募集条件が事実と異なる場合など、就職後の詳細まで職安側で十分チェックできていない場合もあるため、就職したが直ぐに辞める求職者が多くいる企業には調査を行い、求人させない措置を執るなど対策が強化されているという。
最近、視聴者が多いNHKのクローズアップ現代で取り上げられた事案に、やらせがあったとの報道がなされ、公共放送での失態は、NHKとして、陳謝する姿勢はあったものの、関係者の行き過ぎを諫める形で収束したかに見える。類似する報道は、他の局や様々なメディアにおいても全くないとはいえず、裏には視聴者が好む情報への脚色があり、証拠となる事実関係を曲解したことがあったようである。
現在の採用条件等と忠誠心との関係は、大変複雑となっているため、働く側の責任ばかりではなく、企業側に対しても第三者機関を通じた調査活動が求められている。何らかの問題があれば、自分だけで解決しようとするのではなく、地域の労働局等への相談窓口があるので、出向いてみることも可能である。