鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

辛言直言

2015年05月28日 00時00分01秒 | 紹介

 日経新聞のコラムであるが、先般にも触れたが、文部科学省の有識者懇談会に出席されている経営共創基盤CEO冨山和彦氏のインタビュー記事が掲載されていた。「大学で職業訓練せよ」と題して、その内容について語っている。この問題の背景は、大学を卒業したが就職できない、就職したが、自分が期待した企業ではなかった等を含め、大学での専攻コースが、企業の採用する新入社員像との間にミスマッチが生じていて、結果的に就職率の低下を招いたことである。企業の採用意欲は、景気の動向に多分に影響する。

 

 従前であれば、入社後の新人教育には、企業人育成のプログラムが機能していたため、時間をかけて、企業人としてのノウハウが伝授され、育成できていたが、企業が行う人材育成の環境は著しく低下してきていて、多くの企業ではこの分野に対し、撤退する傾向が強くなっている。その理由は、教育期間中は膨大な費用がかかるためである。設備、人材、期間等に投入する資金は、余裕が無くなってきているのである。利益を追求する企業は、人件費が安く、生産現場を海外の安いところに求めて、海外へ進出している。国内で必要な人材はヘッドハンティングを行うか、下請けに仕事を回す。経験者の中途採用を行うなど採用方法も多様化している。

 

 ミスマッチの原因は、大学が行う教育内容にあり、アカデミックな内容では現在の企業が求めるレベルに至っていないし、指導する教員の質にも問題ありと、冨山和彦氏は指摘している。ミスマッチを防ぐには全国の大学をグローバル型(G型)とローカル型(L型)とに分け、G型は旧帝大7校と若干の大学で10校あればよく、他の大学を地域事情に合わせたL型にし、そこでは地域にあった職業訓練校にすべきであるとしている。さらには、「過半数が大学に行く時代に、職業教育は原則しないというのは間違っている。平均的能力の学生がよりよい人生を送れる様にするため、何を教育すべきかを第一優先順位に考えるべきです。」と結んでいる。

 

 大学の制度を改革するとの背景があり、冨山和彦氏の考えは一つの提言であるが、そもそもは戦後制定された学校教育法の83条で、大学は「学術の中心」とされ、職業教育は原則としてすることになっていないからである。現在の職業訓練は労働省が主として行っているが、職業と教育・訓練を分離する時代ではないことも事実である。二重行政がもたらした悲劇ともいえる状態からどのように抜け出すか、これも走り出した汽車は容易に止められないし、学校制度のトップに位置する大学だけに手を入れても如何なものか、悩ましい話ではある。