鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

短期成果主義

2015年05月19日 00時00分01秒 | 紹介

 日経新聞の経済教室欄に、青山学院大学特任教授である猪木武徳氏の投稿があった。「国力を支える人材育てよ」の題目である。興味がある人材育成の視点を共通する話があったので一部抜粋してお伝えしたい。 短期成果主義に弊害と題し、次の文面がある。紙面の関係で抜粋であるが、なかなか示唆に富んでいるので、以下に紹介する。

 

 技術革新は経済成長の必要条件でもなければ十分条件でもない。新技術を現実の生産性に結びつけるのは、厳しい教育と訓練を受けた現場の熟練労働である。日本には、現場で高い技能力発揮できる労働者がおり、現場を経験した職長クラスの管理監督者がそうした労働者の力量と努力を評価しつつ人を育てるという熟練形成の慣行があった。しかし、「脱工業化社会の到来」の声と共に製造業軽視の風潮が生まれ、長期的な視野に立った人材育成による技能向上という姿勢は次第に弱まってきた。(一部省略)

 

 技術の偏重、製造業の軽視、近年の短期的な「成果主義」に基づく人事政策は、長期的な競争に基づく人材の評価のシステムを突き崩す方向へと進んでいる様に見える。日本は、自らの持てる「宝」を捨てようとしてはいないだろうか。成果主義や能力主義といった短期的勘定に基づく報酬システムには、仕事を通して「人を育てる」という長期的な視点が欠落しており、日本経済を衰退へ導く危険性を孕んでいるのだ。(以下略)

 

 小生ブログで、一貫して成果主義による目標管理制度や行動規範(コンピテンシー)について触れてきたが、世の中の人事システムがダイナミックに変わる現在、長年経験した終身雇用制の下での年功序列制度の崩壊は、人材の育成や、高度熟練技能の職域を狭め、成果主義のデメリットが浮上しつつあり、旧制度に完全には取って代われない限界が露呈してきている。

 

 ではどうすればよいかはいわずもがなで、旧制度に戻すことは不可能に近く、旧制度が構築したメリットを生かしながら、新制度の模索が必要で、見かけの増益は、実は、一時的であり、人材育成の機能を失った世界には継続的な発展が望めないのは確かなことである。情報技術の発展によって、無人の大量生産工場が多くなっている。大量生産をロボットが支えた裏には、熟練労働者の高度熟練技能をロボットにテーチングして始めて稼働することを忘れてはならない。