ブッシュの中で鳴いていました。
人事院が民間企業の給与実態調査結果を基に、内閣と国会へ給与改定勧告を出していて、国家公務員の月給とボーナス等が改定される。人事院勧告は例年8月に実施する。この勧告を受けた政府は、給与関係閣僚会議で国家公務員の給与水準を決める。勧告の直接の対象は非現業の国家公務員(一般職)約27万人であるが、地方公務員も国家公務員と並んで給与水準が決まる。約300万人といわれている。
人事院勧告は人勧と短くいっているが、人事院が行う通称であり、法律用語ではない。人事院が行う勧告は人事行政改善の勧告と勤務条件の変更に関する勧告の2種類に大別される。給与勧告は、毎年民間企業の状況を調査し、俸給表が適当であるかどうかを国会及び内閣へ報告することになっていて、俸給表に定める給与の100分の5以上増減すると、必要性が認められたときに勧告する。
何故にこのような形になったのかは、国家公務員の争議権が全面的に禁止されていて、加えて、非現業職員は、団体協約締結権が認められていないため、労働権が大きく制限されている。従って、勤務条件を私企業のように労使交渉を通して決定することが出来ない。人事行政の改善、特に勤務条件を社会一般の情勢に適応させるために人事院勧告によっているからである。このことは、公務員の労働基本権の制約・剥奪は、敗戦後、昭和23年に政令として連合国からの書簡に基づき、始まったもので、人事院勧告制度として導入された。最高裁の判決でも、人事院勧告を労働基本権制約の主な代償措置と位置づける見解を採用している。一方で、これに反対する意見もある。
国家公務員や地方公務員の給与については、労使交渉が出来ないために他の制度で行わざるを得ず、人事院勧告によることは理解できるが、生涯賃金や福利厚生制度等を比較しなければ真の意味での民間とのバランス比較が出来るかといえばそうでもない事例は多くある。何を持って比較対象にするのかは、はなはだ難しい。賃金を決定づける要因の変化は賃金制度自体が揺らいでいる事でもよく分かる。民間では長年続いた年功序列型の賃金体系が成果・実績主義への賃金体系へ移行する過渡期となっている現在、公務員に年功序列型賃金が続く限り、民間との比較根拠は乏しくなるのも事実であろう。
働き方の問題は多くの選択肢があり、自己の満足度によって変わるが、官公庁に働く者総ては決して同一な賃金体系ではなく、人事院勧告が果たしてどのように変わっていくのか、働く側からの目線で見直しも必要となると思っている。