同じような画像が続きましたがひとまずこれでコアジサシは終わります。
千代田化工建設・子安オフィスリサーチパーク見学会が2015年5月14日に開催され、出席した。JR新子安駅から徒歩10分の所にあり、研究施設である。今回のテーマは世界初の水素発電所を市と共同で推進と題し、水素事業推進セクションチームリーダー大島泰輔氏から講義と実験プラント(実証装置)の見学説明を受けた。
講義内容は先端技術としての水素をエネルギー資源として活用する方法を考案し、次世代の再生可能エネルギー源としての利用を実証しようとするものであった。水素を利用するという試みは既に各方面で研究されているし、エネファーム、燃料電池車(FCV)として商品化されている。しかし、水の電気分解で酸素と水素に分かれることは判っていても、水素を取り出すのに必要な電気エネルギーと、水素エネルギー効率とが如何に低廉で安全であるかが解決しなければ、意味がない。そこで、長年プラント建設を手がけ、流体の性質を研究してきた当社が、気体となった水素の危険性を減少させるために液体であるトルエンに化学的に固定化し、メチルシクロヘキサン(MCH)に転化することで、水素がガソリンと同じように扱えるようにしたことである。
これを可能にしたのは、当社が開発した脱水素触媒(アルミナ触媒)である。1980年代から、発案されていたMCHを用いた有機ケミカルハイドライド法があったが、MCHからから水素を取り出すことは大変難しかったという伏線がある。この触媒の開発で、水素化(水素貯蔵)反応による収率(水素貯蔵効率)99%以上、脱水素(水素発生)反応による収率(水素発生効率)95%以上となった。この反応はループとなり、使用したトルエンが水素発生後に回収できる。
水素の発生能力は、単位時間当たり50N㎥/hで、燃料電池車1台を満タンにする量で、約500㎞走ることが可能である。また、汎用的なプラントで建設できる。通常の石油・化学プラントは、高温・高圧の反応条件で運転されることが多いが、当該システムは圧力10気圧以下で、温度400℃以下というマイルドな条件で運転が出来、汎用の鋼材や機器で構成されている。稼働時の騒音もない様で、振動も少ない。
現在では原料となるトルエンに水素を結合させてメチルシクロヘキナンとした液体を輸送し、プラントで脱水素を行っていて、装置の小型化を考えている。原料のトルエンは購入価格を考慮し海外から調達しているといっていた。このプラントが本格稼働することによって、水素価格が低下するとのことであった。ちなみに、FCVに使う水素の価格はガソリン車の燃料代の2倍、ハイブリッド車の3倍とされていて、水素価格の6割がスタンド設置・運営コストで、低減化が課題となっている。