水面のブルーはオリンパスブルーと呼ばれます。
同床異夢の同一労働同一賃金という題で、大機小機という日経新聞のコラム欄に記載があった。400字数ぐらいの短文で、深くは踏み込んでいないが、この問題を建前で労使ともに主張している。もともと賃金決定は労使交渉で決まるもので、政府は雇用機会均等法の条文に性別による差別の禁止に年齢を加えるに拡大すればそれで足りるとしている。乱暴な解釈であり、政府の関与は、そればかりではないことは自明の理であろう。
文末に新聞社の筆者は労働者の身分ではなく(正規か非正規かの違いという意味と思う)、仕事能力の差で賃金を決める同一労働同一賃金を実現するとしている。このことについても、疑問に思うのであるが、どのようにして個々人の能力差を見極めるかは神様ではない以上困難を期す。また、既に蓄積された企業別の賃金体系を一律に変更することは労使にとって困難な話であり、せめて、政府はガイドラインなるものを率先して提示すべきであろう。
その前提は、国家公務員、地方公務員の年功序列型の賃金体系を業績なり成果賃金制に切り替えることができるかということである。さらに一歩進めて、同一労働同一賃金に切り替えられるかということを意味する。キャリアとノンキャリの賃金格差や昇進スピードの違いは明らかに差別ともいえる。これ以外に多くの賃金職員を抱えていることは新たな格差を作っているといえるであろう。これは口で言うほど簡単な話ではない。
安倍内閣が旗振り役となって目玉とも花火ともいえる類のもので、国民会議なる有識者委員会に投げているようであるが、果たしてどのような諮問に対する答申が出てくるのか楽しみである。労使団体双方に話を投げる前に、内閣おひざ元の各省庁の年功序列型の賃金体系を変えることができるかどうか考えてもらいたい。従来から大手の企業の賃金体系は、独自のものではなく、国家公務員や地方公務員給与体系を参考に作られてきた、または、規定等の準用があったとの歴史的事実は、変えることは不可能であろう。
一億総活躍プランに同一労働同一賃金を含むことの実現可能性については全く期待できないと思っているが、せっかくの機会でもあり、非正規社員つまり、低賃金労働者が少しでも光明を見ることができれば良いと思っているし、その突破口なる(正規)正社員の度量というか、理解と譲歩はどこかの時点で対面することになるし、早いに越したことはないであろう。