春節を前に多摩川でもジョウビタキに連日で会います。
2016年の春節は2月7日から13日までが連休となっているようで、中国本土や華僑が住む近隣諸国から、連休を利用して我が国に買い物や観光に押し寄せることが続いている。買い物の対象は、家電製品、化粧品、衛生用品等があり、爆買いと称されている。
中国経済の低迷で今後どのようになるか不透明であるが、一時的にせよ、商売人にとっては好況となり利益をもたらす。同様な製品が当該国でも販売されていると思うが、入国ビザの緩和や、富裕層においては、観光も兼ねてのことであろう。それとも品質の高さにほれ込んでいるのか、爆買いの目的はよくわからない。
その意味においては隣国やアジア圏の人々が、わが国の風俗習慣に触れるよい機会となり、異文化交流が深まれば、また、庶民レベルの誤解や脅威が薄まることに通じればこの騒ぎもプラスの側面が功を奏したことになる。しかしながら、金で物事のすべてが解決するなどと方向が変われば、積極性は消極性に変わり、単なる通過儀礼に終わってしまうであろう。
中国製品が、市場にあふれ、どの観光地でも今や、中国語やタガログ語等を大声で話す集団と出会う。マナーも決して良いとはいえないし、衛生感覚の違いも明らかになりつつある。しかし、犯罪発生件数が来日した外国人に多いという統計もないし、門戸を開いているといっても難民や、労働ビザの取得は厳しい規制がある。海に囲まれているという地勢学上の面はあるが、わが国では人の往来は厳しいといってもよいであろう。
我が国が戦後の高度成長期を経て、経済大国となったのも、近隣諸国を含めた経済関係があったからに他ならない。その意味では相手国あっての経済活動がなされ、相手国が拒絶すれば、物を作っても売れないことになる。先進国から学び、先進国の風俗習慣に触れて、今の我が国があることを決して忘れてはならないと思う。
天皇と皇后様が、戦争で迷惑をかけた近隣国の多くの戦死者に対し、その鎮魂の旅をつづけられていることに深く頭が下がる。春節の行事の華やかさの裏には、こうした近隣国への思いが来日する動機の一つになっていると推察されるのであるが、いかがであろうか。
消すことができない過去の傷は心のどこかに残して置くことの大切さを改めて思い、それにふさわしい態度を示す機会となれば、春節の爆買いも許せるような気がしてくる。謙虚に物事を見る目を失ってしまっては来日した外国の方々には、傲慢な日本人と映るであろう。ときには違和感を感じても、そこを強調することの愚かさは慎むべきと思われる。