一本足で立つオオバン、ストレッチも行っていました。
春は和菓子が風情を掻き立てる。お茶の席には良く似合う。季節を感じる和菓子の特徴をよく生かしているといえる。風流と言われる茶席は、目で見て、香りとともに、舌で味わう。食感も大事で、餅とあんこのバランス、餅に巻いた桜の葉もよい。
桜餅を包む葉にはクマリン(芳香族の炭化水素でラクトンの一種)という天然の香料物質があり、これが独特の香りを醸し出す。生の葉は香りがないが、傷をつけたり細胞を壊すことで、酵素が作用して香りを出す。クマリン自体は毒性があるので、塩蔵するのであろう。多量に摂取すると抗酸化性や抗菌性があり、肝臓や腎臓に悪いようであるが、和菓子に使うぐらいを食しても問題はない。桜の葉で包むことによって、餅の乾燥を防ぐためでもある。最近は塩蔵の葉ではなくプラスチックのフィルムを使っているものもある。
桜餅といわれるのは、餅として使われている材料の違いによって二種類があり、こしあんを小麦粉を使ったて薄く焼いたスポンジ状の餅と道明寺粉を蒸して餅状にし、餡を包んだものである。前者を長明寺、後者を道明寺と呼ぶそうである。自分は道明寺だけを桜餅として育ったため、長明寺についてはさほど食する機会はなかった。関東と関西では好みが異なるが、色合いは長明寺の方が良いようである。
ウグイス餅は餅や求肥(ぎゅうひ)にヨモギ等を練り込み、餡を包んで、小鳥の格好にした和菓子で、黄な粉をまぶす場合もある。鶯色をしているといわれるが、鮮やかな薄緑色はどう見てもメジロ色である。なぜ鶯色というのかは不明であるが、どなたかが間違ったのであろうと思っている。実際のウグイスは褐色に近く、緑系ではあるが、鮮やかな色ではない。
ウグイス餅は、形と色を愛でる和菓子で、桜餅とペアーで振る舞われることが多いようである。どちらも春を感じさせる和菓子といえよう。ウグイス餅はヨモギを練り込めば、ヨモギの香りも楽しめる。桜の葉とヨモギの葉の香りも春らしい香りである。
一年を通じて、和菓子は季節を先取りしているようで、ひな祭り、五月の節句等のイベントや、四季折々の環境を模して造られ、食されている。これもわが国を代表する食文化であろう。目で見て、色合いや形を楽しみ、ほのかに発する香りを感じ、口の中で味覚を味わう。和菓子には季節を感じる要素を多分に持ち合わせていて、ゆとりある生活と食文化を大切にしたいものである。