新型カメラとレンズでの試し撮り、運よくイカルに出会いました。曇天でしたが、さて出来栄えは?
栽培技術が高度化し、一年中市場へ出る食材が多くなった。これはこれ良いのであるが、便利さとは裏腹な、季節感が失われてしまったともいえる。特に冬場の食材が少ない時期と異なり、春に登場する新鮮で廉価な野菜が多い。温室栽培は外気温を高める効果ばかりではなく、灯油を焚き、送風することや、配管を通して温水を循環させるタイプもあるが、温室内の温湿度を一定に保つことができる。
しかしながら、植物の成長や、結実には、活動のパターンに違いがあり、つまり、温度や湿度によって、必要な成長ホルモンのスイッチが入るのである。例えば、トマトは、完熟させるのに、水分を加減し、枯れる寸前まで乾燥状態を保つと、糖分が上昇し、完熟するといわれている。栄養がありすぎても葉や茎ばかり伸びて結実しないとか、いちごでは温室が外気と遮断されれば、受粉が困難となり、受粉用にマルハナバチなどを利用し、結実させている。
このような閉鎖空間ならではの管理技術には作物の生態を十分に把握し、条件に合った生育方法等が工夫されている。植物によっては温室に向かない品種もあり、人工栽培とは異なる味覚を作り出している。春野菜には特にそのことが当てはまるであろう。一年中店頭に並ぶセリ、タケノコ、ウド、フキなどは、自然に栽培されたものの方が、アクが強く、香りも高い。春野菜や山菜には自然栽培や野山に自生する収穫が適しているようである。
自分が思う春野菜のタケノコは今が走りであり、大きさも小さい、旬になれば大きく成長したタケノコが出回るが、冬場は水煮で我慢していたタケノコから生のタケノコを入手可能となり、独特の苦みや渋みにはあく抜きを余儀なくされるが、少々苦みがあり、えぐく感じるぐらいのあく抜きに心がけている。食感の良さは固さであり、繊維の弾力性でもある。特に大事なのは、ゼンマイ、ワラビ、フキなどに含まれているこのえぐ味である。渋いとはちょっと違うが、山菜には味覚の一つとして加えてもよいと思う。
このえぐ味は、植物が持つ防衛手段で、野鳥や、他の昆虫・動物からの食害を防いでいるように思う。それを味覚などというのは人間の身勝手な思いで、植物にとっては生存をかけているための手段なのである。
春の喜びは食材にも関係する。今年初のタケノコは、炊き込みご飯がふさわしい。薄口で仕上げるとタケノコの香りと食感が楽しめる。春に登場する自然の味覚を満喫したい昨今である。