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日本人の意識その5

2016年04月10日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 同族意識の基本は家族であるが、核家族化との言葉が示すように、出生率の低下とともに大家族は珍しい存在になっている。子供が少ないことは将来の展望は望むべきもなく、後継者問題、過疎化、都市部への集中、高齢者対策等が顕在化してきていて、年金の破たんや、公共施設やインフラ等が戦後から70年経た現在、各所で老朽化問題も発生している。

 

 人口構成が逆ピラミッドとなることは数十年前から指摘されてきたところであるが、それが現実化し、今後も減り続け、数年先には1億人を切るといわれている。ここで同族意識を述べるのは適切でないかもしれないが、家族関係以外まで発展させてみることで、疑似的な状況を垣間見ることができる。しかし、次第に同族意識は家族関係と同じように希薄化しているといえる。

 

 企業や、団体、国、地方の公務員等、各種労働組合を含め、所属する組織は、一種の家族関係を形成し、福利厚生の機能を保持してきたが、制度自身をやめているか、規模を極端に縮小している。このことだけではないが、職場を一つの家族とする考え方自体が崩壊に瀕しているのであろう。特に先輩後輩関係は、ほとんど機能しなくなったといえる。

 

 成果主義の台頭や、目標管理の導入によって、グループや集団対応から個別対応と変化してきていて、効率優先となり、成果主義は個々人の競争意識を高めるベクトルに向かい、相互協力や、指導等の従業員育成にはマイナスとなっている。同様に、労働組合離れも著しく、どこの組合でも組織率の低下傾向は続いている。一度低下傾向が続くと、特別なカンフル剤が見当たらない以上、現状維持が関の山と思える。

 

 組織は人なりといわれ、構成員の信頼と協力があって初めて成り立つものである。雇用される側にとっても、賃金を受けるだけの関係ではないはずで、仕事を通じて人脈を作り、後輩を育成して効率化を高めてきたのであるが、単なる個別のジョブローテーションだけでは相互啓発はおろか、自己啓発すら期待できず、人は育たないのも確かである。

 

 日本企業の特徴であった年功序列型賃金、福利厚生制度、提案制度や5S、企業内組合等はどこに行ってしまったのか、その一つが、同族意識である。制度自体の寿命は30年といわれているが、企業においても30年を経ないうちに次の新しい企画が取り入れられてきた。手をこまねいているだけでは企業の存続もいずれは難しくなるであろう。我が国の大手企業であった東芝やシャープが傾いたのは他の理由であるが、少なくとも上述した日本型経営の崩壊が影響しているといえないだろうか?他山の石とすべきであろう。