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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

国民投票

2016年07月03日 00時00分01秒 | 提言

 議会制の民主主義は議員を地区ごとに分けた選挙区で、選挙権を持つ有権者が、投票所に行って、議員候補を直接選び、得票数の多い順に、選挙区の有権者総数から基準に沿って出された定員の候補者数を決める。議員任期内に死亡した場合や、議員を何らかの理由で辞めた場合に、繰り上げ当選となる制度である。しかしながら、今回の英国のように、決めるべき議案について、直接国民に投票によって、賛成か反対かを問う場合がある。通常の代議員制度と異なるため、直接国民が行うため、国民投票といっている。

 

 この制度を利用している国はすべての国ではなく、我が国においては、憲法改正の場合に予定されている。同様な制度として、自治体においても住民投票の制度がある。いずれも多数決で、得票数によって最終的な決定が決まるのであるが、ここには、今回イギリスが経験したように、EUから離脱をすべきか残留すべきかが問われた国民投票が、予想に反して離脱派が勝利したのである。多数決で決まったために、双方互角の争いであったが、決まった以上、現政権のキャメロン首相は辞任表明を行っている。

 

 そもそも、国民投票に馴染む議案であったかどうかも疑問を呈するところであり、国内だけで片付く問題ではないため、EUそのもののあり方論についても、もっと多角的な調整や討議がなされるべきであったと思われるが、この結果がもたらすデメリットは計り知れないであろう。

 

 EU離脱のための今後の手続き等ですぐには離脱できるわけではないが、そうはいっても決まったことを覆すわけにはいかない。賛否を問うことの危うさを感じているが、特に賛成派、反対派が拮抗していれば、数票の差でどちらかに決まるため、真に国民の考えであるかどうかを明確に表しているとは思えない評決である。当然、投票率も問題であるが、天候が悪ければ高齢者や病気の方は投票所には物理的にいけないし、問題の本質を理解せず、ただ単に声の大きい先導者に押し切られ賛成の立場で票を入れる人もいる。

 

 多数決はすべて良いのではなく、国民に信を問うなどの発言は格好が良いが、実際のところ大人の政治手法としては物足りなさを残す結果となる。独裁者に任すことも問題が多く、そうかといって、特定の政党派だけに任すのも限界がある。その意味では多数決以外の方法で、禍根を残さない万民納得を得られる決め方があるわけではないため、間違っていても、また、将来不利益が発生しても、多数決に依存せざるを得ないのは歯がゆい限りである。そこで、国民投票の位置づけを疑問視する声も出始めている。ご賢明な読者に於かれてはどうとらえるのか、わかりかねるが、多数決の限界を見たような気がする。