平成28年7月1日
遺伝子・DNA第3回、老化と死の設計図の概要についてはすでに報告したところであるが、私見を含め、言い足りないところがあるような気がしていた。医者ではないので、医学的なことは良くわからないが、がん克服に向けた多くの取り組みは現在も続けられていて、未解決の問題は、人間が持つ希望的観測も含め、生命の1日でも長い生存の期待があるように思う。しかし、がんの早期発見による治療が必ずしも延命につながるかといえば、すべての症例からすると必ずしも、当てはまらないこともあり、治療の新たな側面を見た思いがする。
生まれながらに持っている先天的な遺伝子の配列が引き起こすとされることが分かってきていて、そうなれば、倫理上の問題も解決しなければならない。つまり、がんを引き起こすとされる遺伝子配列をもっていれば、生まれてこないような人工的な手段を取ることを意味するが、果たしてそれでよいのか等は、疑念を抱くところであろう。
手術で除去できない病巣の痛みを軽減するために麻薬を用いることが行われるが、そうすることによる麻薬中毒が死期を早めるといわれている。病巣の切除が全身に及べば、切除だけでは生命を維持できなくなる。医学だけでは限界があることも確かなことである。
では、後天的な要因が関与するといっても、それは一部であって、例えば、肺がんは、たばこが原因の一つとして言われているが、たばこを吸う習慣がない者においても肺がんは発生する。食料の中で、塩分の摂取が高い人は、少ない人に比べ、胃がんや大腸がんになりやすいといわれるが、摂取しなければ全くがん発生を抑えることができるわけではない。ピロリ菌や、ストレスなどといわれれば、対処方法も困難と思われる。
つまり、DNAが永遠に生き続けるわけではないので、誰しも癌を避けては生きられない可能性の方が高いといえそうである。実際の死亡原因では、がんが原因でも、心不全や、脳こうそく等最終の病状で診断されるため、実際にはもっと多くの方ががんで死亡されているといえるであろう。先天的というよりは、後天的な身体のメカニズムが原因するため、強いて言えば、頻度を上げてがん検診を行うことで早期発見をし、完治しないまでも延命の処置が可能な場合もある。
結論にまでは到達しないが、ほぼがんの発生メカニズムは解明されつつある。今後のさらなる解明のために推移を注視したい。