争点がはっきりしない選挙であったが、開票が終わり、与党の勝利で終わった。というよりは選挙によって新たな人材による付託の始まりである。政権側では当然の結果であったというであろうし、選挙に負けた野党側では、有権者に対し、主張した内容の浸透が十分ではなかったといい、有権者の動向に対しての反省を行っている。得票数で順位が決まる選挙制度は、前回も触れたが、多数決制度の代表的な意思決定制度である。数(得票数)が多ければ地区別や、政党別の得票によって、あらかじめ決められた議員数を選出するのである。
従来からいわれているように、割り振られた当選者数は、居住地域の有権者数によって、得票数に差が出てくる。1票の格差という問題である。この格差が少ないに越したことはないが、人口密集地と過疎地とでは居住面積の違いや人口密度の差があるため、必ずしも同一とはならないし、年齢構成も異なってくる。したがって、同日選挙といっても選挙区による違いは得票数ばかりではなく、居住環境によっても異なることが分かる。
つまり、全国で行われている選挙は、同一のような条件と思われているが、多くの点で、違いがある。選挙結果の処理は当然同じであり、投票日、投票時間、投票方法等は同じになっている。そこには不正が起こらないように厳重なチェック体制を持ち、選挙管理が行われている。不正が行われることは皆無とはいえないまでも、選挙が無効となるような事態には至っていない。
有権者がどのような選択をするかは、開票するまではわからないが、開票開始とともにほぼ動向がつかめるのは、出口調査なるものの存在である。そのほか、過去のデータによることもあり、発表する側のノウハウがあるようで、大幅な狂いはない。
今回の選挙においても、党首が落選するといったことも起こるし、得票数によって比例方式による当選者を決める選挙も同時並行で行われている。その意味では投票による選挙で落ちても比例選挙で復活することがあり、違和感を覚えざるを得ないが、政党によるグループ分けも意味があるから採用されていると思われる。
しかしながら、将来を予測しての選挙は、ある意味では、人物のすべてを知っての投票ではなく、十分な担保があるわけではなく、賭けに近い未知数の期待が含まれている。全権を委任しているのではないといっても、任期中の付託は、議員となってしまえば豹変しても仕方ない余地を持つ。