新入社員が意外と不安に感じるのは、赴任時の準備であろう。どのような展開が予想されるのかが判らないからである。まして、住居移転を伴う新任地であればなおさらである。慣れ親しんだ場所においても、企業なり、新たな組織であれば、学生生活とは異なることが多い。内定した段階で、事前のオリエンテーションがあれば、概略は掴むことが出来るが、初出勤後にオリエンテーションを行う、公官庁や企業も多い。異動が多い職場では、前任者も異動でいない場合もある。また、新人職員研修を、数週間かけて行うこともある。
さて、自らの例であるが、入社日には所属長や人事部から辞令が交付される。本部等で一括して入社式を行い、数日間は本部勤務となり、その後配属先に赴任するという形であった。最近では、内定時に配属先が決まるのであるが、辞令を貰うまでは、あくまでも内定であり、決定ではない。なぜならば、内定日から入社時までに出勤できない特殊な事情が発生する可能性があるからで、自己都合だけでなく、赴任地が変わる場合もあるからである。
赴任地が決まれば、赴任先へ電報を打つことをしていた。内容は施設長・所属長宛に「貴下(部・課)勤務を命ぜられ、よろしくお願いしたい云々」であった。事務を取り扱う部署へは電話で赴任日時、当面の行事の予定日、前任者との引き継ぎ、必要ならば住居の手配等について打ち合わせを行う。赴任期間は辞令交付後1週間であった。
赴任時に行うことは、辞令を持って、所属長への挨拶、関係部署への挨拶回りを行う。辞令を差し出し、配属部・課等を確認して貰う。通常先輩や、直属の上司が引率してくれるので、挨拶順序通りに挨拶を行う。事務方には様々な手続きがあるので、時間を取って相手の都合を考慮する。先ずは個人の手続きである。個人用のロッカー、名刺、IDカード、事務用品、出勤簿、各種届様式、カギ類等については当日配布を受け、必要な届け出書類の記入を済ませる。
前任者との引き継ぎは、同じ部署であれば問題ないが、退職や、転勤していれば、相手の都合を確認し、別途行う。引き継ぎ日に日数を要するのであれば、決裁文章等、関係書類や、稟議書(原議書)の場所を上司から教えて貰う。幾ら新人とはいえ、知らない、判らないは禁句である。部外者は新人であろうがその担当者で有れば、赴任した時点で、完璧とはいえなくても、業務を精通していると見られ、責任が生じるからである。
施設外の関係機関への挨拶回りは上司の指示を仰ぎ、電話連絡をして、アポイントを取った後、出向く。出来れば上司や先輩と同行することをお進めしたい。