敗戦後昭和21年の冬は 道北の町S町で迎えたが 寒かった
-30℃に下がるのは度々
雪も多く 道路から雪の階段をつけて家に入ったこともある
着のみ着のままの引揚者 料理屋を借り上げた寮に
女性と子供たちだけが身を寄せ合って暮していた
大広間にはストーブがあったが 他の部屋にはないので
拾ってきたコークスをコンロで燃やして暖をとったが
中毒になった人もいた
着るものもなく 軍隊からの払い下げのものを改造
母たちは食料を求めて 買い出しに農家をまわる日々
お金では買えないので 物々交換するのに払い下げの軍服を持って歩く
それでも 「今日は片袖を食べたね」 ユーモアを忘れない小母さんに救われた
栄養失調の集まりだったが 餓死も凍死も出なかった
あの頃を思ったら今は天国
今はサホーク羊で有名