僕が東京電力福島原発の吉田昌郎元所長の存在を知ったのは門田隆将氏の著書『死の淵を見た男』を読んでからのことだった。本書は門田氏が吉田元所長に直接インタビューも行って、真面目で控えめな筆致で丁寧にまとめたドキュメントの力作だ。
学生時代から長年、朝日新聞を読み続けているが、最近の朝日は特にオカシイと感じている。「福島原発で9割撤退」の記事には正直、幻滅した。もちろん朝日に対してだ。門田氏の著書で描かれた現場の状況からあまりに乖離しすぎていたから、命令に反してなんてことはありえないと直感した。表現が不正確で、あまりにもセンセーショナルに煽りすぎる。朝日は言論界のリーダー的存在の自負と誇りを失っている。週刊誌的な煽り報道は巨大メディアの報道姿勢として間違っている。従軍慰安婦問題でどれだけ朝日新聞社が国家を毀損したか、そして日本国民を貶めたか、どれだけ罪を犯したかを社をあげて反省して出直さないといけないと思う。
そういう朝日の迷走を受けてのことだと思うけど、東京電力福島第1原発事故を巡って、政府の事故調査・検証委員会が行った吉田元所長の聴取記録が公表されることになりそうだ。この政府の判断は正しいと思う。吉田元所長は非公表を望む上申書を政府に提出されていたようだけど、このようにメディアが都合よく調書を切り取って事実をねじ曲げるのであれば、吉田調書のすべてを公表されることに故人も納得されるだろう。公表されることにより、国民の知る権利によって、吉田元所長の「肉声」の記録から何が真実だったのかを国民が自由に読み取る、感じ取ることがベストだと思う。そうしないと吉田元所長もうかばれない。9月の公表される日を楽しみにしている。
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