ひょんなことから絵本『名の明かされない女性への手紙』を頂いた。絵本の作者は『星の王子様』の著者アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリだ。
彼が43歳の頃、たまたま乗った汽車で、ある女性と同席となる。赤十字の救急看護隊員として働く23歳の女性だ。彼女との偶然のめぐり逢いでサン=テグジュペリおじさんは熱をあげる。20歳も違う女性に夢中になれるサン=テグジュペリにあきれる一方、若々しい感性が羨ましくもある。この手紙は彼が44歳で偵察飛行に出て消息を絶つ最後の一年間、彼女に宛てた恋文だ。
サン=テグジュペリの死後も、すっかりおばあちゃんになったその女性は亡くなるまで誰にもそのことを明かさなかった。だけど、恋文も捨てずに保管を続ける。
その女性が亡くなった後に遺族によって手紙が発見されるが、今もその女性のお名前は伏せられているようだ。この実話の女性も筋の通った立派で魅力的な人だ。
『星の王子様』を読んだのは僕がまだ20代の頃のこと。瑞々しい感性の絵と文章を夢心地で読んだ記憶がある。懐かしくなって、本棚を探したけど『星の王子様』を見つけることはできなかった。どこかに埋もれているはずだ。
この絵本『名の明かされない女性への手紙』を読んで、少しだけ青春時代に戻った気がした。