英語もしゃべれないし、文学部卒業でもないのに、度胸だけはあったというか、ボランティアの翻訳に先輩に教わりながら、昔は辞書と首っ引きで、翻訳の手伝いを始め、今の時代はウェブサイトのネイティブの使い方なども参考にしながら、翻訳を手伝ってきた。しかし、日常英語を使わないし、映画もほとんど見ないから、一向英語に堪能にはならない。今もウェブリオとかアルクなどを参考にしながら、格闘している。
もう若い人に譲ろうと思っていて、ちょっと遠のいていたが、最後の校正くらいはやろうかなと思って連絡したら、最終版が届いたのだが、どうも日本語としてこなれていない部分があって、結局余計な口出しをしそうになっている。
だけど、若い人たちの間では、徹底的にジェンダーフリーの訳を目指しているようで、色々注意を受けてしまった。
以前は、チェアマンと訳したのが、今はチェアパーソンでないといけないと言われた。そういえば、he/sheと書かれていたのは、heだけでは片手落ちで、sheも言わないと、brother だけではだめで、brother/sister にしないとダメなようだ。
今回は、彼ら、という日本語は避けている、と連絡があった。
彼らというのは、男性を1人以上含む複数人を含む表現だそうで、主には複数の男性を表すから(彼女らを表す場合もあるそうだが)、男女平等の観点からは、許されないらしい。文脈から、theyは通常は彼らなのだが、なんと今は、男女の区別が付けられない(付けたくない)人たち(ノンバイナリーというそうだ)もいるようで、そういう人たちは、theyをheとかsheの代わりに使うようにしているのだとか。その場合でもthey areと書くそうなのだ。新しい英語の辞書ならその使い方も載っているとか。私たちが教育を受けた時代は、そういう平等意識というものはなかった時代だから、びっくりです。
欧米ではそういうこと(人権問題など)に非常に敏感になっているそうなので、日本語の彼らという言葉を訳語として使わない方が良いのだそうだ。
では、どうしたらよいのか?と思って調べてみたら、日本ではもともとは、彼とか彼女、彼らという代名詞は使ってこなかったそうで、本人の名前を再度書いたり呼んだりしていたらしい。
それで英語で代名詞が使われていても、省略してしまうのが一番安全なのだそうだ。意味が通じなければ、名前を書くのが正しいそうだ。
なかなか、高齢者には、難しい時代になってきました。