少し予定より遅くなって、6時50分出発。来たときに見た山荘直下のパノラマコースへの分岐に出る。
まだあまり人がいない。この分なら渋滞は大丈夫そうだ。しかし、岩に霜がついていて、滑りやすい。
凍り付いた道
間もなく、ブログなどで見たロープのトラバースの難所に出る。ロープに頼らずなるべく自力で渡ろうとするが、凍り付いている場所もあり、とても写真を撮る余裕はなかった。そのあたり、テント場の色とりどりのテントと、穂高連峰がきれい。
それから、同じようながけっぷちのロープ場が何か所もあり、凍り付いているところも多く、緊張する。暗い中、北穂高とか奥穂高に登って行った人たち、多分凍っているところもあるだろうに、すごいな、と皆で話す。
急な岩場の登りや木の根だらけの急登などが続く。後でほかの人のブログを見たら健脚向きの看板があったそうだが、私たちは気づかなかった。確かに子供とか初心者には無理なコースだ。
下山と思っていたら登山だ。しばらくきついコースをこわごわ登ると横尾尾根の山々の向こうにとがった山が見えてきた。涸沢槍とは位置が違う。誰かのブログに槍ヶ岳が見えると書かれていたので、多分槍ヶ岳だろうと思って写真に収める。追い抜きつつあった登山者に聞くと、そうだとおっしゃる。それで皆にもあれが槍ヶ岳よ、と教えられた。高度を上げるにつれて、槍ヶ岳がよりはっきり見えてきた。
狭い山道で、何回も後から来たベテランさんや、若者のグループに追い抜かれた。というか、渋滞のもとになると困るから、追い抜いて頂いた。一か所危険な狭いところで追い抜いてくださいと言ったら、リュックが重いから、ここで崖側で追い抜くのは危険だよと、逆に注意されてしまった。
残念ながら本格的な休憩を取るような場所もない。少し先に、空が見えて、稜線に出られそうだったが、その手前の少し広めのところで休憩。私にとっては過激な登りで、すっかり暑くなり、上着を脱ぐ。
ばててきた友人のためにリポビタンデーを探すがどこに入れたか思い出せない。あちこち探して、割れないようにやっと非常食のところに入れたことを思い出した。ザックの底から取り出して飲んでいただく。前はもっと瓶の小さなチョコラBBの女性向けを飲んだのだが、私にはよくないみたいだったので、止めてリポビタンに変えたのだった。小さいし、糖分が少ないので選んだのだ。私の方は寝られなかった割には不思議なほど元気に登れた。一種の興奮状態だったのかもしれない。友人は残業続きの後、参加されたので、疲れが溜まっていたみたい。
それからひと登りで屏風のコルらしいところに出た。前方には山々のはずれの雲の上に富士山が小さく見えた。その横から始まる南アルプスの方が高く見える。さらに木曽方面だろうか、右手に大きく見えたのはもしかしたら乗鞍の方かもしれない。素晴らしい展望だ。朝早いからこその展望かもしれない。
そしてふと足元を見るとシラタマノキの白い実があった。紅葉した葉の中に白い玉状の実をつけ、きれい。私が「シラタマ!、シラタマ!!」と叫ぶものだから、周りの若者も何が白玉なのかと見て、カメラに収めていた。その先にも少し群落になっていた。
赤いのはこけもも?
その時のことだが、私が写真を取ろうとしてザックを反対側(崖側)にポンと置いたら、重みで落ちそうになって、仲間の方が抑えてくださった。危ないところだった。相当の崖で落としたら下まで落ちて行って、取りに下りられそうにない。まあ、大事なものは身に着けていたから、何とかはなっただろうけど、良かった!抑えてくださった方、ありがとうございました。
かんかん照りの尾根から少し下ったところに屏風の耳やその先の屏風の頭への分岐があった。そこは2500M くらいかな?
屏風の耳まで20分とある。荷物を置いて、登って行く人たちが見られたが、私たちはこれまでの登りで相当に疲れたので、止めておいた。ちょっと魅力もあったけどね。後のことを考えて自制した。屏風岩のてっぺんだろうか、屏風の頭の岩の上に何人かの登山者が見えた。
そのままガレた岩だらけの下山道を新村橋目指して下りて行ったが、延々とその石ころだらけで段差のきつい道を下りていくので、だんだんふくらはぎが痛くなってきた。幸い股関節は何ともない。
時々樹幹の木陰があるものの、大方日当たりの良いコースで、たまに登ってくる人たちを見ると、このコースの登りは大変だなと思う。横尾からのコースはしばらくは日陰だったので。
登山道 上部に水の流れが見える沢
奥又白谷に出会えば、少し斜度が緩くなるはずと思うのだが、何回かの白いガレた沢を渡るが。まだ奥又白谷ではないらしい。奥又白谷池への分岐がないのだ。
うんざりするほど、同じような岩だらけの道をひたすら下る。たまに紅葉のきれいな木や木の実を見ながら息をつく。とがった山が見えてくる。通り過ぎた方にまたもや確かめたら、前穂高だとおっしゃる。
徳沢からの距離は横尾経由と大差ないみたいだが、緩いところが少ないので、足に来た。
何本かのほとんど水のない沢の岩を渡って、やっと奥又白沢を渡る。前の沢よりは広く、岩にペンキで標識が書かれていた。確かに奥又白池への分岐が書かれていて、かなり急な道を登って行く人の姿が見えた。
奥又白池ってどんなところだろうか?ブログで調べてみたら、この分岐から2時間半くらいかかるらしいが、お花畑の広がる小さな山上の池らしい。徳沢から日帰り可能のようだがテント場もあるらしい。しかしそのルート相当の急斜面の連続のようで、私たちが通ってきたルートとは大違い。奥穂高に登るのと大差ないかもしれない。
さて、ここからはもう緩い道になるのかなと期待したのだが、何の何の、まだまだ大きな石の段差のきつい場所も多くて、がっかり。しかし、だんだんに石が小さくなる場所も出てくる。氷壁の碑が樹林帯の中にあって、その隣には遭難者の碑がたてられていた。刻まれた年齢は.20-30代だった。やっと砂防ダムが見えてきて、一瞬吊橋が見えた気がしてああ、新村橋だわと思ったのだが、砂防ダムの横をいくつか通るのだが、その吊橋は見えず、疲れて幻想を見たのかしら?と思ったが他の人も確かに見たのだ。あれはなんの吊橋だったのだろうか?
もう石の上を歩くことはないと思ったら、また涸れた沢の河原にでて石の上を少し歩き、また砂地の道に戻る。それからやっと新村橋への林道にたどり着いた。林道には車が何台も止まっていて、車がここまで入れるのかな?と不審だったがうんと早朝なら入れるのかもしれない。
ところで林道をどっちに曲がれば新村橋なのかしら?前にいた登山者も迷っていたので地図を取り出して、調べたら右だった。そこを曲がって行くとすぐに、猿の群れに出会った。林道ですっかりくつろいでいた。親子や夫婦がところどころで、毛づくろいをしている。皆口の周りが黒くて、笹の根でもかじったのかしら?赤ちゃん連れも多くて、かわいらしい。人を見て餌をねだるでもなく、驚いた風もなく、皆泰然としていた。子供の猿が木の枝に登って遊んでいた。
そこを通り過ぎて、しばらく行くと新村橋への分岐があったが目立たない。木に赤いリボンがついていた。そのまま進めば右岸の林道を明神に出られるが、皆新村橋から徳沢にでて、カレーを食べたいというのでそちらにまわる。ちょうど12時になろうとしていた。
新村橋は10メートル間隔で渡るように書かれていて、確かに渡された板は腐食し始めていたし、よく揺れた。しかしどうしても近づいて、何人かはまとまってしまったので、緊張。ずっとワイヤーにつかまりながら渡った。
針葉樹の気持ちの良い香りの中を徳沢園に出た。
ここでゆっくりして、温泉をあきらめるか、急いで通過して温泉でゆっくりするか?相談したが、私は二兎を追うことを提案。ここで早く食べられるものを食べて、さっと引き上げ、上高地温泉ホテルを目指そうとしたわけ。上高地温泉ホテルなら15時まで入浴可能とホームページに出ていたからだ。しかし、何分入れるかは分からなかった。
それで皆は憧れ?の徳沢園のカレーを注文し、私は何となく食欲がなくて月見うどんを頼んで、トイレへ。トイレが混んでいたらと心配したのだが、幸いガラガラ。ただ公衆トイレは遠くて、疲れ果てた身にはつらかった。
戻ったらまだ料理が運ばれず、私は仲間のソフトクリーム姿に影響されて、つい注文。食べない方がお腹には良いかなと思いつつおいしく食べてしまった。400円
他人のカレーライスをおいしそうだなと横目に見ながら、後から届いた月見うどんを平らげる。
それから、ゆっくりする間もなく、上高地目指して一目散。来たときには1時間半もかからなかったから間に合うでしょうと。しかし真っ平らでもなく、若干の起伏もあり、猛スピードは出せなかった。道行く人々はバスを目指しているのか、温泉を考えているのか分からないけれども、すごいスピードで歩いている人々がたくさんいた。
明神で女性陣は少し休み、男性陣に先に行ってもらう。
それからも疲れ果てながらもひたすら歩いて、河童橋に。ところがそれからが長かった。上高地温泉ホテルってこんなに遠かったかしら?ウェストン碑の先(大正池方向)だった。男性陣にはもう少し近そうなことを言ってしまったけど、大丈夫だったかな?
3時にだいぶ近かったがセーフ。券売機で入浴券を買って受付に出す。横の棚にはザックがいくつか置かれていたので、私たちも必要なものを取り出して、入浴の準備をしていたら、なんと先に行ったはずの男性陣が入り口に来ていた。あれっ!もう入っていると思ったわ、と思わず言ったら、途中で寄り道したのだとか。
近そうなことを聞いたのに、遠いのなんのって、と苦情を言われてしまった。のんびり散策している時にはさほど遠いとは思わなかったのだが、時間に追われて猛スピードで歩くと確かに遠いですね。
3時半までは入浴できると聞いて一安心。風呂は男性と女性で日替わりらしく、私たちは右側のお風呂へ。
前は違う方だったのか分からないが、今日は露天の他にたる風呂とかもあって、それぞれ楽しみ、ゆっくりはできなかったものの、汗を流し、疲れをいやすことができた。