日々雑感

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日本人のノー天気

2009年08月08日 | Weblog
日本人のノー天気

日本人が如何にノー天気か。
インドを独り旅した時に思い知らされた。私という日本人を基本にして考えるならば、出会ったインド人達はなんとたちの悪い、品性や誇りを持たない人達かと軽蔑の気持ちしか起きてこないが、インド人を中心に考えて見ると、日本人はお人好しで簡単にだませるノー天気集団だと軽く見て、日本人に対して意識的に悪を働くのではないだろうか。

いやインドのみ成らず東南アジアを独り旅していると、だまされたり、おどされたり、おおよそ日本では経験しないような、不愉快な出来事に遭遇するところを見ると、少なくともインド人の見方が東南アジアの人々が日本人を見る目に近いだろう。

と言うことは、彼らからすると、日本人は要するに金持ちのノー天気集団だから、扱いやすい、だましやすい、脅しやすい、人種に見えるのだろう。

インドを旅したとき、こんな経験をした。暑い時期なので歩くのは大層だと思い、リキシャに乗ったときの話である。

まず僕の行き先を知っているかどうか尋ねて、それから料金交渉をした。目的地まで往復で50ルピー と言うのでリキシャに乗った。引き手は中年のがっしりした男で愛想良く走り出したので、これに乗って正解、良かったと良い気分でいた。

目的地についてリキシャをおりて、「用事を足してスグ戻ってくるから、」と言い残して、郵便物を投函して引き返してくると、リキシャは元来た道を戻りつつあった。僕は往復の料金を前払いしているから、このリキシャは僕を乗せて元の所へ帰るものとばかり思っていたので、「待っててくれと言ったじゃないか 。料金もちゃんと往復支払ってあるのだから」といった。

彼は突然怒った顔をして、「往復料金というのは、行きはあなたを乗せていくが、帰りは乗せると言うことではない」 と言いはなった。
「なに。往復料金とは、行きも帰りも同じ客を乗せての話だ。帰りは空車で帰るというのは片道料金と言うことだ。乗せてかえるか、それともそれがいやだというのなら、半額つまり帰りの料金は返却しろ」と怒鳴った。
「行って帰るのは当たり前の話じゃないか。行きはお前さんを乗せてここまで来たわけで、目的の約束は果たした筈である。帰りはお前さんを乗せようが、空車で帰ろうが、それは俺が決めること。とやかく言うことではない」
慣れない英語に感情を一杯詰め込んで、相手の不実をついたが、返ってくる答えは、てんで話にならない。かみ合わない。相手は貰った金は自分のもので、びた一文返金する気も様子もない。

街中で大声で日本人とインド人がののしり合うものだから、周りは人だかりが出来ている。ののしりあいが途切れたとき、僕を取り囲む群衆に気がついた。
全く話にならない。インド人というのは、いやらしい人間なんだ。そう言う思いを残して胸のつっかえを飲み込んだ。
彼は勝ち誇ったようにリキシャを引いて、元来た道を帰っていった。

さかのぼれば江戸時代に大井川の渡しをした駕籠かきの中には、川の途中までやってくると、追加料金を要求した輩もいたという。いわゆる
雲助という手合いだ。三百年も昔ならそんな輩もいたのかも知れないが、現代の日本で、約束に反する追加料金をとったり、往復料金を受け取りながら、片道しか運ばないなんて話は、聞いたことがない。

でもインド・カルカッタでは紛れもなく、2005年にこういう事態が起こっている。 反省じゃなくて、事の発端から結末までのことを思い返すと、日本的な感覚で往復料金を支払ったのが、間違いの元だった。インドでは日本の常識は通用しないのだ。だからはなから彼らを信用しないと言うことから、始めないと、考えた事とは違った結果が生まれる。そのたびに胃が赤くなって熱くなる思いがする。これを防ぐには金銭に関しては、特にシビアでなくては成らない。僕はそう結論つけた。

インド以外にも東南アジアを独り旅をするとき、インド的発想が普通の常識みたいだ。と言うことは日本人はそこまでシビアな考えや感覚を持たなくとも、十分信頼関係が成り立っている国に住んで生活しているのだ。
しかしこの日本的感覚は海外から見ると、日本人はノー天気だと決めつけられると言うことをしっかり自覚しておかないと、海外旅行は苦痛の連続でやってられないのじゃないか。

日本民族というのは本来島国のために全てが信頼関係で成り立っているのだろうか。もしそうだというのなら、一刻も早く目を覚ます必要がある。
不信感をあおるわけではないが、外国人に対してはシビアな感覚を持った方がいいと。
端的に言うと、振り込め詐欺師の様な輩と対峙しながら毎日旅を続けなければならないと言うことだ。そこではお人好し、ノー天気は決して美徳ではないと言うことを骨の髄までしみ通らせておくことだ。

インド旅は2,3回しか経験がないが、それでも東南アジアに限らず、外国へ旅する場合は常に心得ておかないといけない事柄だと真剣に思う。