日々雑感

心に浮かんだこと何でも書いていく。

機上で乾杯4 

2013年07月06日 | Weblog
機上で乾杯4 
 
翌朝7時過ぎに彼女は若い男の子をつれて空港にやってきた。やれやれこれで二人とも帰れる。顔を見て安心、ほっとした。送ってきた大学生によれば、今日は早朝からタクシーがストをやっているとのことだ。それならどうしてここまで来れたのかと聞いたら、スト破りのタクシを雇ってここまで来たという話。ストをしていると本来はここまで来れないはず。だのに彼女はいま僕の目の前にいる。僕はつくづく感心した。途中で何もなかったのかと付き添い学生に聞いたら、やばいことがあったという。僕は一瞬青ざめた。もしあの学生が付き添ってくれていなかったら果たして初めての海外経験で、スト破りを決行出来たかどうか。
ほほー!!!。感心する前に驚きの感嘆詞がでた。またもや彼女は守られている。これは単なる偶然やラッキーが重なったとは思えない。
思い返せば派遣官員との出会いがあり、僕との出会いでエスコートを手に入れ、
さらに付き添いの大学生を見つけて、彼に付き添ってここまで送ってもらい、極めつけはスト破りタクシーを雇ってチエックインタイムにちゃんと間にあっているではないか。

 チケットだってないと断られても不思議ではないし、旅慣れた僕がいることによって、初めての人にとっては、ややこしいインドの出国手続きや、タイでの入国手続きがどれほどスムーズになる。更に早朝大学生に付き添ってもらいストやぶりタクシーで、タクシーのストライキを突破しているのである。恐らく神の助けが働いてすべてが上手く事が進んだのだろう。僕はこの世に神様はいると思った。
 
 飛行機は定刻通りに離陸した。インドはぐんぐん遠くなっていく。1時間ほどしたら軽食が出た。僕たちは顔を見合わせてコーラで乾杯をした。それは何よりも、昨日から今日へ掛けての彼女のラッキーにたいしてだった。僕は心からこのことを祝福した。

 しかしそれだけではない。今回僕も無傷だった。前回のような目には一度も会わなかった。前回よりも一週間も長い日にちであったが、いたって健康で風邪はもちろんの事、下痢の一つもしなかった。勿論恐怖を感じたことは一度もない。
途中気をつけていなければやられたであろう事は何回かあったが、それもうまくすりぬけたし、だまされはしなかった。確かに神経はぴりぴりさせていてつかれたが、それが原因でどうかなった訳でもない。これも乾杯ものである


最後に今日は僕の満60歳の誕生日だったのである。僕の乾杯にはこんな意味が込められていた。我々は顔を見合わせてにっこりほほえんだが、それは心の底からくる安堵と、祝福のほほ笑みだった。
いまになって考えてみると彼女の身に起こったことは事は、僕に人生の何かを見せてくれてるようだった。早い話が彼女との出会いがなかったら僕がこんな文章を書くこともなかったろうに。
 こんな人生芝居を見せてくれるのは一体誰だろうか。
僕はこの宇宙の中に壮大な演出者がいて、我々は自立的に動いているようだが、その実、この演出家の指図に従っているのかもしれない。そんなことを感じたインドの旅ではあった。

終わり