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【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  宇宙のモビリティを開発 3705-4c17

2024-12-17 12:21:00 | 【経営】 成功企業・元気な会社・頑張る社長

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】   宇宙のモビリティを開発 3705-4c17  

 経営コンサルタントを半世紀にわたってやってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。

 成功企業・元気な会社・頑張っている社長】は、皆様から寄せられたり、私が支援したり、見聞したりした企業の事例を紹介していますが、お陰様で、毎回拍手をいただいています。

 また、あなたのクライアント・顧問先やお知り合いの会社で、ここで紹介したい企業・団体等がありましたら、是非ご連絡ください。

■   宇宙のモビリティを開発 3705-4c17
 毎年、七夕には、織姫と彦星は今年も無事に出会うことができるだろうかと気をもむ。 古の時代から、人々は遠い宇宙に思いをはせ、さまざまな物語をなぞらえてきた。 七夕の織姫と彦星の伝説は、中国が起源とされるが、今では日本のみならず、 アジアの広い国々でさまざまな言い伝えがあるという。

 P社は「宇宙のモビリティを提供する」という大きな目標を 掲げるベンチャーだ。東京大学大学院航空宇宙工学専攻の某研究室にいた メンバー4人で2020年4月に創業した。水を原料とする人工衛星の推進機と 推進剤を開発している。衛星の推進剤にはこれまで人間にとって有害であったり、 希少で高価だったりする材料が使われていた。水という安全で安価な材料が 実用化できれば、宇宙開発にとっても大きな一歩となる。

 同社が開発した水による推進剤と推進機はすでにいくつかの衛星に搭載され、 宇宙空間で運用が始まるなど、実績を積み重ねつつある。P社のA社長は「月面基地建設や人による火星探査が計画されているが、そのためには 大量の物資を運ぶ必要があり、安全で安価な推進機と推進剤は必ず必要になる 技術」と意義を語る。現在は小型衛星用の推進機を開発するが、将来はより 大型の衛星用にも挑戦していくという。

 地球の近傍の宇宙空間には、今でも役割を終えた人工衛星や衛星が細かく 砕かれたものが無数にあり、スペースデブリとして高速で地球上空を回っている。 人類が宇宙開発に乗り出すようになって以降、その数は増える一方だ。安全な 推進機と推進剤があれば、スペースデブリを捕らえて適切な方法で地球に 落として消滅させるという手段も講じられる。さらには、人類が宇宙旅行を 楽しむ時代になっても、宇宙の環境を守りながら、移動手段を確保することが できる。織姫と彦星も年に一度といわず、逢いたいときに逢えるようになるかも。

【 コメント 】
 宇宙産業といいますと、国・政府機関等大きな組織でなければできないと思い込みがちです。
 しかし、アメリカのスペースX社の例にも見られますように民間企業でも、政府機関に変わって打ち上げビジネスを営める時代になってきました。
 大きなプロジェクトですから、裾野の広がりがないといっぱしの産業としては成り立ちません。
 日本で、自動車産業が基幹ビジネスと成長した背景には、裾野の充実があったればこそできたことです。
 宇宙ビジネスも、少しずつですが、中堅・中小企業も参入してきています。
 P社もその一つです。しかも、宇宙における動力源、しかも無害の動力源に寄与できる産業ですので、おもしろい挑戦といえます。
 しかし、経営的には難しい面もあり、国や大手企業の支援は不可欠であり、マネジメント力がともなわないと企業持続も難しいでしょう。

  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

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【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  信州・上田の歴史を映し出す会社名 3621-4c03

2024-12-03 12:21:00 | 【経営】 成功企業・元気な会社・頑張る社長

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  信州・上田の歴史を映し出す会社名 3621-4c03  

 経営コンサルタントを半世紀にわたってやってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。

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■   信州・上田の歴史を映し出す会社名 3621-4c03
 信州・上田は「蚕都」として栄えた都市だ。江戸時代から養蚕が盛んで、 幕末に鎖国が解かれるや、時の藩主・松平忠固はいち早く上田の生糸を横浜港 から海外に輸出させた。その後、日本は世界一の生糸輸出国になり、製糸産業 が大きく発展した。日本近代化は上田から始まったといっても言い過ぎではない かもしれない。

 近代日本を支えた製糸産業は戦後、衰退の一途をたどる。1989年(平成元年) に全国で約5万7000戸あった養蚕農家は2021年度にはわずか186戸にまで落ち 込み、国内の製糸工場の数は7社を残すのみとなっている。養蚕や製糸産業が 栄えた上田も現在は輸送用機械や精密電子機器などの産業が地域経済を牽引する。 桑畑は稲作や果樹、花き栽培の農地に姿を変えた。

 そんな上田市で「蚕」の社名を今に残す会社がある。K社だ。 造園業者向けにプロ仕様の業務用アルミ三脚を製造・販売する。「うちの三脚は、 頑丈で安定性が高い。伸縮機能の使い勝手もよく、特に造園業者に高い評価を いただいている」とK氏。Kのアルミ三脚は知る人ぞ知る トップブランドだ。

 創業は大正時代。「もともとは木工の仕事を営んでいたが、その技術を生かし て先代が養蚕農家向けに『まぶし』についた毛羽を取る機械を製造・販売した」 のが社名の由来だそうだ。やがて、養蚕の衰退が進む。桑畑からリンゴやブドウ などの果樹園に変わる中、農家のニーズに対応してつくり始めたのが三脚だった。 材料にこだわり、設計に工夫を凝らしたアルミ三脚は農家だけでなく、造園業者 の必須アイテムになった。

 「社名を残すのにはそれなりの意味がある。昔からの取引先に親しまれ、 企業イメージとして定着している」とK氏。その半面、「今の若い人は、 うちの社名が読めない。求人では不利になる」ことが悩みの種で、社名の変更を 検討している。激動の時代を生き抜いた会社ゆえの難しい経営判断を迫られて いる。

【 コメント 】

 地場産業に直接・間接に寄与できる企業は、その地元では不可欠な存在となり、存続しやすいです。一方、それに甘んじていては、生き残りが難しいという側面があります。

 同社の社名は、難読といって良いもので、若い人には読めないことが多いといいます。

 芸能人などで、難読名で成功している人は少なく、それでも人気が続いている人は、相当なる芸技なりキャラクタを持っているのでしょう。芸名だけではなく、社名を同様です。

 K社は、CI戦略を採ってはどうでしょうか。その結果、現社名で行くという結論に至れば、現社名を続けるのが良いでしょう。一方、社名変更をするという方針に転換される場合には、業種業態なり、事業内容なりが伝わりやすい社名にすべきです。

 たとえ、難読社名であっても、その名前が定着している場合には、社名は残し、ブランド戦略で対応するという方法も考えられます。素人判断で進めるよりは、CIなり経営戦略なりの専門家の支援を受けることをお勧めします。

  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

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【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  第三者による事業承継に士業の力を活用 3614-4b26

2024-11-27 12:21:00 | 【経営】 成功企業・元気な会社・頑張る社長

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  第三者による事業承継に士業の力を活用 3614-4b26

 経営コンサルタントを半世紀にわたってやってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。

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■   第三者による事業承継に士業の力を活用3614-4b26
 東京都事業承継・引継ぎ支援センターは、2022年度の相談実績をまとめた。 新規相談社数は973社(前年度比 2.9%減)。そのうち譲渡(売り)の新規 相談件数が448件(同21.1%増)と大幅に伸び史上最高の水準となった。 譲受(買い)は506件(同17.2%減)だった。成約件数は78件(同9.3%減) だった。

 東京都事業承継・引継ぎ支援センター統括責任者のY氏は「いよいよ 待ったなしで、事業承継を考えなければならない時期が到来している。譲渡 相談の経営者のうち80歳以上が11%という状況で、後継者がいない中小企業 が多い現状を実感する」と売り案件が増加する背景を説明する。

 一方で買い 案件が減少している要因は「ウエブサイトでマッチングを行うプラット フォーマーの利用が増えてきている。こちらのセンターに相談しなくても プラットフォーマーを活用して企業を探す動きが増えている」とみている。

 やはり課題は、売りたい側の企業の要望をどう実現させていくか。高齢で ネット利用にも不慣れ、譲渡となれば売却交渉をめぐり、さまざまな面倒ごと が待ち受ける。Y氏は「士業の方も含めて、どのようにサポートしていくか が重要」と指摘する。特に、士業については、中小企業の経営者の場合、税理士とは日常的に接点が多いが、弁護士となるとどうしても敷居が高いと敬遠し がちだ。ただ、「相手企業との交渉や金融機関との交渉等で、弁護士の力が必要なケースも増えている。中小企業経営者が使いやすい仕組みづくりに取り 組んでいきたい」とし、同センターと東京の弁護士会とが連携する体制を構築 していく考えだ。

 同時に税理士や中小企業診断士など、中小企業に身近な士業の人たちに、 「M&Aの分野に、今まで以上に具体的に踏み込んでほしい」と要望する。 経営者が第三者への事業承継に踏み出す決断をするには、自身の年齢問題だけ でなく、周囲からの「そろそろ後継者問題を考えましょう」という後押しが 重要。士業や取引先金融機関が経営者の背中を押すことで、1社でも多くの 企業が後継者を見つけ、「大事な事業」を続けていける取り組みをさらに進めて いきたい。

【 コメント 】
 事業承継問題は深刻です。私も相談を受けることが多いです。
 しかし、その時になってから慌てても、なかなかよい〃結婚相手〃は見つかりません。
 平素から、われわれコンサルタント・士業は、中堅・中小企業の経営者に、そのアドバイスをすべきです。とりわけ、企業との関係が密な税理士や社労士の先生は、機会あるごとに、それを行い、それとともに専門家に相談すべきことを提案すべきです。
 事業承継を事前から準備することにより、株の処分などをはじめ、税金対策の手も打つことができます。
 事業承継は、上述のように弁護士の先生が適しているでしょう。しかし、弁護士料は、中小企業には負担が大きすぎることが多いです。資格に固執せず、専門の先生や経験のある人達を利用すべきです。
 まだまだ、コンサルタント・士業の先生方のアプローチ不足は否めないような気がします。
  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

 

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【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  繁忙期が偏る農機具メーカー、課題は働き方改 3607-4a19

2024-11-19 00:21:00 | 【経営】 成功企業・元気な会社・頑張る社長

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  繁忙期が偏る農機具メーカー、課題は働き方改 3607-4a19

 経営コンサルタントを半世紀にわたってやってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。

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■   繁忙期が偏る農機具メーカー、課題は働き方改 3607-4a19
 先ごろ空路で高知県を訪れた。高知空港周辺に広がる水田の多くは田植えが 済み、苗の緑が目にも鮮やかだった。このとき実はまだ3月下旬。温暖な気候 で知られる南国土佐では、1年に2回の稲作を行う二期作が行われており、目 にしたのは早場米の苗だった。このように農業が盛んな地で農機具部品の製造 を手掛けているのが2023年で創業60周年を迎えたE社である。

 同社は空港が位置する南国市(「なんこくし」と読む)に4つの工場を構え、 合わせて大小759台もの設備を有し、年間3万アイテム、400万個の部品を出 荷している。1963年創業のR社がルーツで、その後、大手農機具メーカーY社の関係会社同士による合併を重ねて2008年に現社名となった。社名は 、コンセプトを活かして、英語表記の頭文字をとって付けた。 金属のあらゆる加工・組立に卓越した技術集団を目指している。

 同社の重要課題のひとつが働き方改革。農業では農繁期と農閑期といわれる ように作業の季節的な偏りが大きい。同様に農機具メーカーでも収穫期前の年度上半期(4~9月)に生産が集中し、多忙を極める。H社長は「この 時期にストレスや疲労がたまり、休職せざるを得ない社員も出ている」と話し ていた。こうした課題解決につながると期待されているのが2025年4月操業開 始予定の新工場だ。デジタル技術を活用したスマート工場で、働き方改 革に大きく寄与しうるという。

【 コメント 】
 魅力ある商品・技術を持っていますと、大手企業も関心を持ちます。E社は、事業承継や事業拡大などを目した先行投資をして、季節性のある労働環境改善のために、働き方改革の一環として近代的な新工場建設を始めています。
 大手企業の販路を利用できるという強みと安定感から、先を見た投資もできます。一方で、大手企業との連携のリスクは、いつ、契約解除がなされるかもしれないというところにあります。それを念頭においた経営が求められます。
 NHKの朝ドラ「ら んまん」では、主人公のモデルは高知県出身の牧野富太郎博士でした。 牧野博士が幼少期から植物に興味を抱いたのは高知の豊かな自然によるものともいわれます。「日本植物学の父」を生んだ気候風土のもと、農業が盛んなこの地の利を活かして、 事業を進める同社の働き方改革が進展し、技術集団としてさらに発展すること を期待したいです。
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【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  日本の宇宙ビジネスのすそ野を広げる 3531-4b12

2024-11-12 08:21:00 | 【経営】 成功企業・元気な会社・頑張る社長

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  日本の宇宙ビジネスのすそ野を広げる 3531-4b12

 経営コンサルタントを半世紀にわたってやってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。

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■   日本の宇宙ビジネスのすそ野を広げる 3531-4b12
 東京大学と東京工業大学(大学名変更前)の学生たちが「CubeSat(キューブ・サット)」と 呼ばれる超小型衛星の打ち上げに世界で初めて成功したのは2003年のことだ。 1辺10センチの立方体で重さはわずか1キロ。東京・秋葉原の電気街で市販の 部品を買い集め、300万円ほどの費用で作りあげた。打ち上げられた衛星は4、 5日のペースで1枚の画像を地上に送信。登録した一般の人向けに無料で画像 を配信したところ、多くの応援メッセージが寄せられたそうだ。

 小型衛星の製造・開発、衛星関連の幅広いサービスを提供するA社代表取締役CEOのN氏は、このプロジェクトに携わった学生の一人だ。当時、衛星に搭載するカメラの開発を担当し、無料配信を提案したという。 応援メッセージが届くことまでは考えていなかったそうで、「自分たちが作っ たものが第三者に評価されることに新鮮な発見があった」と語る。

 その後2008年、恩師の後押しを受けて大学発ベンチャーとしてA社を起業。これまでに9機の小型衛星を製造・運用する。学生時代よりも手掛ける衛星は大きくなったが、それでも重さは100キロクラス。国や大手企業 が手掛ける大型衛星に比べればコンパクトで製造費用も安く、製造期間も短い。リーズナブルかつスピーディーに利活用できるメリットがあり、衛星利用を模索する世界中の企業から多くのオファーが寄せられている。

 世界に目を転じると、宇宙産業の市場規模は2040年に100兆円にのぼると予 測されている。巨大市場を日本がどれだけ囲い込めるのかは日本の未来を占う テーマだ。その中で、A社は衛星の開発から運用まで利活用を支援するサービスを新たにスタートさせた。「打ち上げの煩雑な手続きや衛星の運用を信頼性高くサポートする。後進の宇宙ベンチャーが目的・ミッションに 集中できる環境を整えたい」とN氏。宇宙産業のすそ野を広げる取り組みで、 今後の事業展開に大きな期待が寄せられている。

【 コメント 】
 学生時代に培った技術や知識を活かして、宇宙ビジネスに参画するという発想が、私のような凡人にはできないことです。
 これから、小型衛星が次々と打ち上げられる時代になってゆくでしょう。
 夢のあるビジネスです。
 しかし、大企業でも尻込みをする宇宙ビジネスです。
 その分野に果敢に挑戦するA社にエールを送りたいです。
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【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  変化に見舞われる金型業界 3524-3b05

2024-11-05 12:21:00 | 【経営】 成功企業・元気な会社・頑張る社長

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  変化に見舞われる金型業界 3524-3b05

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■   変化に見舞われる金型業界 3524-3b05
 「金型業界には、お化けにおびえる企業経営者が多い」と指摘するのは、日 本金型工業会学術顧問のYさん。怪談話には季節が異なるが、どう いうことだろう。中小企業を悩ませる原材料価格やエネルギー価格の高騰問題、 人手不足に対処するために、価格転嫁の実現が大きな問題となっている。それ にも関わらず、取引先に価格交渉をすることを躊躇する企業が少なからず存在 する。Yさんは、そんな企業の姿勢を「見えてもいないお化けにおびえてい る」と言うのだ。

 金型業界を取り巻く状況はここ数年で激変している。事業所数はピーク時の 1万3000事業所から4300事業所と約7割減少し、従業者数も4割減に なっている。取引先企業の海外展開や主要ユーザーである自動車産業の電動化 の影響を受けているとはいえ、EV時代になっても金型が必要であることは変 わらない。実際EVモーター用金型が作れる企業は国内に2社しかおらず、仕 事が殺到しているという。自動車メーカーやティア1と呼ばれる大手部品メー カーは、日本の金型産業がこれ以上衰退すれば、国内でのものづくりが難しく なると危機感を持っている。

 Yさんは、「原価低減活動という名のもとに、毎年のように納入価格を引 き下げてきた自動車業界の姿勢にも問題があるが、市場が変化しているにもか かわらず、取引先との交渉に踏み出せない金型産業に携わる企業側にも課題は 多い」と指摘する。すでに金型の納入価格は韓国よりも安く、世界的にも下位 に陥っている。値上げを要求すれば取引停止を申し渡されるとおびえ、安さだ けを追求する時代ではなくなっている。

 ではどうしていけばいいのか。Yさんは「マーケティングが大事」と指摘 する。どの業界が伸びそうで、そこに対してどういう提案をするのかを考える 部署が多くの金型企業には存在しない。一人でもいいので、営業や情報収集を 担当する人員を配置し、新しい販路を開拓する準備をするべきだという。「他 業種の取引先を持つことが、市場の変化に柔軟に対応できる強さを持つことに つながる。金型だけでなく、加工事業に乗り出したり、自社製品づくりに発展 すれば、企業力はさらに強くなる」とも。

 日本金型工業会は今後、金型関連事業者の大がかりな実態調査を予定してい る。「小規模で取引先の多くは自動車関連」というこれまでの常識が、今後10 年で大きく変わるかもしれないという予想を立てている。調査結果をもとに、 今後金型業界にとって必要な施策にも反映させていくという。“型にはまらな い”成長の道筋を見出すことを期待したい。

【 コメント 】
 ほんの一昔前までは、日本の金型産業は、その品質から高く評価されていました。

 ところが、中国をはじめ、これまで日本の金型メーカーが安い価格で日本メーカーを駆逐し始めただけではなく、これまで水をあけられていた国々の技術力向上で、日本の金型メーカーにキャッチアップしてきています。
 Y氏がおっしゃる通り、日本勢は、その勢いに精神的に負けてしまって、「見えないお化け」に翻弄されてしまっているようです。
 これまでは、自社で営業活動をしなくても、仕事の方からやってきてくれましたが、今や、時代が変わってきているのです。攻めの経営が求められていますので、それに対応できない企業は淘汰されかねません。
 コンサルタント・士業の力をちょっと借りるだけで、まだまだ日本の金型メーカーの品質は、外国メーカーと比較しても勝っていると考えます。
 同業者同士の連携と後継者育成をして行くことが吃緊の課題です。
 同業者同士の連携で、コンサルタント・士業の支援を受ければ、充分に対応できると考えています。
 コンサルタント・士業も、その点を強調して、金型メーカーに接触すれば、仕事を獲得することができるはずです。
 両者とも、危機感不足と、まだまだ工夫と努力が不足していると考えます。
 遅くなりすぎないうちに、対処しないと金型メーカーに明日はないでしょう。

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【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  「どんな時でも酒は必要とされるもの」、誇りをもってビジネス展開 3527-4a29

2024-10-29 00:21:00 | 【経営】 成功企業・元気な会社・頑張る社長

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  「どんな時でも酒は必要とされるもの」、誇りをもってビジネス展開 3527-4a29

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■   「どんな時でも酒は必要とされるもの」、誇りをもってビジネス展開 3527-4a29
 「酒は憂いを払う玉箒(たまははき)」という格言がある。中国の詩人、蘇軾の詩から出たもので、酒は心配事や悩み事を払い去ってくれるすばらしいホ ウキのようなものだ、という意味である。酒にはなにかと悪いイメージが付き まとうが、その一方で酒の良さを強調する格言、ことわざも多い。茨城県つく ば市を中心に7つの酒店を展開するL社のS代表取締役は「私たちは世の中に役立つ商品を取り扱っているのだ」との誇り をもってビジネスを展開している。

 1936年創業の酒屋の3代目であるS氏は、長年にわたって規制に守られて きた業界の慣習やしきたりにとらわれない経営を模索。祖父や父と激しく意見が対立した末に、各地の隠れた銘酒や焼酎を発掘して販売する“こだわりの酒店”を目指すことに。家業を継いだ90年代前半はまだインターネットが普及していなかったため、人づてに情報をコツコツと収集し、全国各地の逸品を取り そろえていった。

 店舗は創業時以来1カ所のみだったが、2010年代半ばから は一転して販売網を広げた。2015年に2店舗、19年に1店舗、いずれもつくば市内にオープン。2022年には、つくばエクスプレス沿線の茨城県守谷市内と千葉 県流山市内に相次ぎ開店したのに続き、茨城県から運営を委託された会社が、JR水戸駅構内で開業した。こうした店舗展開は2011年の東日本大震災が転機だった。震災後の自粛ムードによる販売低迷に危機感を抱いたS氏が攻勢に出たのである。2023年に入ってネット販売も開始した。

 震災後にはこんなこともあった。茨城県内でも大きな被害が出て客足はしばらく途絶えたが、やがて酒を買いに来る人の姿がぽつぽつ。 その際、客は口々にこう漏らしていたという。「酒でも飲まないとやってられない」。まさに冒頭の格言のように、震災による精神的苦痛をやわらげようと 酒を買い求めに来た人たちである。

 避難所での飲酒によるトラブルがあったのも事実だが、S氏はこう語る。 「祖父が『泣いても酒、笑っても酒。お酒は人の悲しみを癒し、喜びを増やしてくれる』とよく話していた。どんな時でも酒は必要とされているもの、役立つものだ」。そんな想いが酒を販売するS氏の誇りにつながっている。こうしたプライドを抱き、同社は酒のビジネスをさらに広げていく。

【 コメント 】
 自分の商品や会社に、誇りを持つ人は、成功企業・元気な会社・頑張る社長に多いです。
 「酒屋」というお店・会社をいかに経営していくかという観点で、「全国各地の逸品を取り揃える」「各地の隠れた銘酒や焼酎を発掘する」という“こだわりの酒店”を標榜するところに、誇りと自信がうかがえます。
 「酒」は、溺れて失敗する人を作るなど、マイナス面もあります。しかし、この商品は、「世の中に役立つ商品」というプラス面を、お客様の目線で、全国各地の酒に関する情報・商品を集めるなどしている経営が、お客様に伝わるのでしょう。
 ”こだわり”、すなわち差異化(差別化)戦略を活かしている事例のひとつといえます。

  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

 

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【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  コンサルタント・士業の売り込み 事業計画策定が経営を見つめ直す機会に熱心な木更津商工会議所 3510-4a22

2024-10-22 12:21:00 | 【経営】 成功企業・元気な会社・頑張る社長

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  コンサルタント・士業の売り込み 事業計画策定が経営を見つめ直す機会に熱心な木更津商工会議所 3510-4a22 

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■   事業計画策定が経営を見つめ直す機会に:木更津商工会議所 3510-4a22
 起業や創業を考えている人たちを支援しようと、「創業支援セミナー」が全国各地でさかんに開催されている。「ビジネスのアイデアはあるけれど、実現の方法が分からない」。そんな人を対象に創業の基礎から資金調達や販路開拓など事業必要なことを教えてくれる。数日にわたるセミナーを受けることで、さまざまな創業支援を受けられる制度もある。

 そんな創業セミナーの必須項目となっているのが「事業計画(ビジネスプラン)」の作成だ。起業のイメージを事業計画に落とし込むことで、より具体的なものに近づける。収益化に向けて、しっかりとした計画が立てられれば、創業資金の獲得にもつながり、成功の近道になる。事業を行うための「はじめの一歩」でもあり、「土台」でもある。

 そんな創業者向けの取り組みをみていると、すでに長く事業を展開している事業者は、さぞかし立派な事業計画を立てているのだろうと想像するが、そんなことはないのが現実だ。千葉県の木更津商工会議所経営指導員の担当係長は「事業計画を持っている事業者はおそらく2割くらいではないか。小規模事業者になると、そこまでいかないかもしれない」と、自らの経験を踏まえ、そんな見方をした。そんなことでは基礎を学んだ起業家たちに既存の事業者が追い抜かれてしまうのではないかと心配になってしまう。

 「資金繰りを改善したい」「会社を少しでもよくしたい」。木更津商工会議所には、そんな切実な悩みを抱えた地域の事業者が相談に訪れる。所長をはじめ5人の経営指導員がそれぞれ経営者に寄り添いながらサポート。事業計画を作成した経験のない事業者に作成を促すツールとして「経営力向上計画」を活用し、大きな成果を上げている。経営力向上計画の認定を受けるのに必要な項目は事業計画そのもの。コンパクトにまとめられ、事業者が取り組みやすいフォーマットになっている。

 自社の事業概要や自社製品・サービスの顧客・市場動向、売上高・営業利益の増加率や労働生産性の算出…。「経営力向上計画の作成することで、自社の現状に向き合い、自身の経営を見つめ直すきっかけになる。認定をきっかけに経営の意識が変わった事業者も少なくない」と法定経営指導員の遠藤係長は評価する。経験の浅い経営指導員の基礎的な支援スキルの習得にもつながっているそうだ。

 木更津商工会議所では5年間で約100件の経営力向上計画の申請を支援。関東経産局管内の支援機関の中でも傑出した数字だ。全国の支援機関でもこうした取り組みは注目されており、経営力向上計画を活用した経営支援が全国的に広がることも期待される。

 その利用ができるコンサルタント・士業自身が、【成功企業・元気な会社・頑張る社長】に相応しいのではないでしょうか。

【 コメント 】

 商工会議所は、日本全国にあり、コンサルタント・士業の先生方の多くが、講師を務めたりした経験がおありでしょう。

 セミナーなどにとりわけ力を入れている商工会議所を見つけたら、コンサルタント・士業の先生方には、是非ご自身の売り込みを図っていただきたいと思います。
 そのように積極的な商工会議所は、積極的で、ユニークなテーマを持っている講師を探していると思います。
 それだけに、売り込みを図ることによって、商工会議所側も、新しい講師の発掘につながり、メリットを感じてくれると思います。
 しかし、売り込みは、そう簡単ではありません。自分自身を正確に伝え、熱意を持って売り込む努力の継続が、遠くて近道だと思います。

  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

 

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【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  変革の時代に求められるチャレンジ精神 3419-4a15

2024-10-15 07:17:44 | 【経営】 成功企業・元気な会社・頑張る社長

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  変革の時代に求められるチャレンジ精神 3419-4a15 

 経営コンサルタントを半世紀にわたってやってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。

 成功企業・元気な会社・頑張っている社長】は、皆様から寄せられたり、私が支援したり、見聞したりした企業の事例を紹介していますが、お陰様で、毎回拍手をいただいています。

 また、あなたのクライアント・顧問先やお知り合いの会社で、ここで紹介したい企業・団体等がありましたら、是非ご連絡ください。

■   変革の時代に求められるチャレンジ精神 3419-4a15
 自動車のテクノロジーの進歩には本当に驚かされる。最新機能を搭載した新車を運転する機会があったのだが、実際にハンドルを握って、そのすごさを実感した。まず驚いたのは、サイドブレーキのレバーがなくなっていたこと。電子化されてボタンがあるだけ。別に操作の必要がないという。フロントガラスには、スピードメーターが映し出される。

 高速道路でクルーズコントロール機能を作動させると、加速や減速だけでなく、カーブも自動で曲がる。心配で手は離せなかったが、軽く握ったハンドルが勝手に動く感覚は衝撃的だった。すでに運転している人からすれば、「何をいまさら」という機能かもしれないが、10年前に購入した車しか知らない身からすると、すべてが新鮮だった。

 自動運転の技術が進化し、運転手が必要なくなる時代はすぐそこまで来ている。安全で便利な乗り物に進化する中、車検や修理などを行う自動車整備業者はハイテク化への対応が求められている。整備工場が電子制御装置を持つ車を整備するには2024年から新たな「自動車特定整備」の認証を取得しなくてはならなくなる。スキャンツールとよばれる装置の整備や整備主任者の配置といった、新たな要件をクリアする必要がある。

 千葉県木更津市で自動車整備業を営むI社は、従業員4人の小さな整備工場だが、将来を見据えて認証を取得した。旗振り役となったのは、I社長の娘であるW取締役だった。高齢の父に請われ、2016年から工場を手伝うようになった。保険代行や事務の仕事を担当していたが、「会社をもっとよくしたい」と考えるようになり、木更津商工会議所のサポートを受けて、本格的な事業改革に乗り出した。

 「工場の機械類は古いまま。こんな状態ではとても無理だと思っていた」とW氏は振り返る。だが、補助金を積極活用して老朽化した機器などを更新。さらに従業員一丸で特定整備の認証取得に取り組んだ。認証取得に向けて、社員の一人が整備主任者の資格を取得。もともと自動車整備の技術を持っていなかったW取締役自身も2級整備士の資格を取った。

 電子制御装置を搭載した自動車が急速に普及する中、その整備ができる自動車特定整備認証を取得するのは、自動車整備会社にとって今後の事業に大きな影響を与える。制度が令和2年4月スタートしましたが、認証の取得が進んでいないのが実情だ。自動車業界をとりまく大きな変革の中で、前を向いて事業に取り組むI社からチャレンジ精神の大切さを学ばせてもらった。

【 コメント 】
 従業員4人という小さな自動車整備会社ですが、時代のニーズに合わせて、対応できるような技術を磨き、そのための資格取得を全員で目指そうという前向きな姿勢は高く評価できます。
 それをトップが先頭を切っているところも学ばなければなりません。
 これから空飛ぶ自動車の時代も始まります。自動車業界の技術進歩はめざましいですが、整備が追いつかないのでは、実用性も低下してしまいます。それは、業界をサポートする会社としてのプライドにもかかわります。
 ユーザーニーズに即応しようという、I社の必死な取り組み姿勢に他社も負けてほしくないですね。

  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

 

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【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 建設業でも経営理念が事業拡大・承継のカギ 3412-4a08

2024-10-08 00:21:00 | 【経営】 成功企業・元気な会社・頑張る社長

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 建設業でも経営理念が事業拡大・承継のカギ 3412-4a08    

 経営コンサルタントを半世紀にわたってやってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。

 成功企業・元気な会社・頑張っている社長】は、皆様から寄せられたり、私が支援したり、見聞したりした企業の事例を紹介していますが、お陰様で、毎回拍手をいただいています。

 また、あなたのクライアント・顧問先やお知り合いの会社で、ここで紹介したい企業・団体等がありましたら、是非ご連絡ください。

■ 建設業でも   経営理念が事業拡大・承継のカギ  3412-4a08
 2004年に徳島県内の注文住宅着工戸数で第1位になって以来、連続で着工数ナンバー1を維持している注文住宅会社がある。H社(徳島県北島町)がそれで、2019年6月期が36億9000万円だった売上高は、22年には50億を超えるまで成長を続けています。県内の新築住宅着工戸数が右肩下がりで減少するなか、コロナ禍以降も着実に業容を拡大している。

 創業者で代表取締役会長CEOのHさんは、もともと住宅業界とは無縁だった。祖父は米・穀物問屋と漬物問屋、父はスーパーマーケットを経営し、Hさん自身も大学卒業後は、父のスーパーに入社して店長も経験した。しかし近隣の人口減少や大手スーパーの進出が相次ぎ、スーパーの閉店を決意。1989年に水処理業の会社を起業し、その後6年間はスーパーと重複して経営した。

 水処理業で起業した理由は、「ステークホルダーに迷惑をかけないよう、しばらくはスーパーと新会社のダブルで経営する必要があったため」とHさん。一人でも兼務で仕事ができること、負担が少ないこと、資本が少なくて済むことーという3つの理由から水処理業を選択した。起業時にはそのほか、大手スポーツメーカーのゴルフ部門の四国代理店や、ソフトウエアメーカーのフロッピーディスク制作、大手電機メーカーの孫請けのカドニカ電池製造業なども検討したという。

 97年にH社に社名を変更して、住宅事業に進出。もともと水処理業で起業した当初から第二創業の必要性を考えていた。幼い時から土地・建物に興味があり、宅地建物取引士の資格を取得していたこと、また将来的に市場そのものは縮小する半面、やり方によっては可能性があると感じていたことが、住宅業界に進出した理由だという。わずか20数年前に進出したにもかかわらず、業容を拡大できたのは、「『正直に王道を行く』という経営理念をはじめ、社訓・社風の維持発展を大切にしてきたことが大きい」と話す。

 Hさんらしいのは、事業承継の在り方にも出ている。現社長のA氏は親戚などの特別な関係はなく、27歳の時に入社した元従業員だ。現在50歳で、2年半前に社長に就任した。「社長をお願いしたのは、経営理念・社訓・社風を一番体現してくれていたから。10年ほど前から想定しており、社長就任を前提に大学院でMBA(経営学修士)を取得してもらった」と語る。

 その次の経営者も7年ほど前から決まっているという。息子は大学院を修了後、日本IBMで3年間勤め、4年半前に入社した。今後、取締役として各業務の経験を積んだ後、2年半後に社長に就任する予定だ。「A社長は取締役として、H社の将来を支えていく中心メンバーとなる。また本人の希望にもよるが、関連会社の社長も兼務してもらう」と話す。さまざまな選択肢から最適解を選んできたHさんは、A氏や後継者候補の息子に続き、今後、第3・第4の経営ができる人材の育成も目指している。

【 コメント 】
 H氏は、家業や父親の会社を継ぎ、社長になるまでの準備を怠っていません。常に一歩先をみながら、スーパーマーケットをフェードアウトしながら、新規事業に参入するという方法を採り、一般的に行う、廃業してから、新規起業するという方法を採りませんでした。
 後継者も、血族に固執せず、信頼できる自分の部下を信じ、大学院に行かせて育成するという方法で事業承継を続けています。そのまた後継者も指名し、事前に心の準備をさせ、経営者としての知識・経験を重ねさせるという、次のステップへの準備を怠っていません。
 「企業は生き物」といわれますが、時代の変化によってはスクラップ・ビルドを敢行せざるを得ません。その読みと準備を平素から行ってこそ、企業を「ゴーキングコンサーン」として永続させることができるのです。

  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

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