【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】4ー01 寸善尺魔 想定外と負け犬 世の中には良いことは少なく、悪いことばかりが多い
ビジネスだけではなく、日常生活におきましても、私たちから「判断」をするという作業を切り話すことはできません。同じ状況においても、人により判断結果は異なります。例え論理思考で現状や状況分析をキチンとできても、また例え思考力の高い人でも、判断の仕方次第でものごとがうまくいくこともあれば、うまくいかなかったり、さらには悪循環に陥ってしまったりすることもあります。
四字熟語の中には、私たちが判断に迷わないように、また迷ったときのヒントを与えてくれたりもします。迷ったときに、答を教えてくれるわけではありませんが、解決の糸口が見つかりやすくなったり、解決の時間を短縮してくれたり、よりよい解決策を見出したり、現状が悪化するのを防いでくれたりと、ヒントを与えてくださる時にはそれにより助けられることもあるでしょう。
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~ 世の中には良いことは少なく、悪いことばかりが多い ~
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「寸善尺魔(すんぜんしゃくま)」の「寸」も「尺」も日本の昔の尺貫法に基づく長さを計測する単位です。一尺は約三十cm、一寸は、その十分の一の長さです。
サラリーマン時代に、輸出入業務を担当していました。商品は当時船便で送ることが多く、運賃計算は、重量ではなく体積を基準に算定するのが一般的でした。輸出梱包は安価な商品ほど割高となり、そのコストは馬鹿にならないほど響いてきます。従いまして輸出価格を決めるのに梱包された状態での商品の体積がどのくらいなのかを算出する必要がありました。
一尺は、約一フィートでしたので、尺貫法のメジャーを用いて、何尺何寸かを計測して、その単位をフィートに単純に置き換えるだけで、換算計算を省略しました。多少の誤差はありますが、それをもとに体積計算ができます。その数値に、単位当たりの運賃をかけ算して運賃や梱包料金を算出しました。基本単位が一キュービックフィートとなっていました。これを尺貫法では「一才(いっさい)」と呼んでいて、「○才なので××円の運賃が単価に加算される」などと計算していました。
余談になりましたが、「寸善」とは、「”善”の大きさは一寸ほどでしかない」ということから「良いことは小さい」という意味で、「寸前」と表示されています。それに対して、「尺魔」、すなわち「魔」の大きさは「寸」より大きい「尺」という単位で表されていますので「寸善」が一寸であるのに対して、「尺魔」は一尺もあるとなります。
すなわち「善は一寸ほどの大きさに過ぎず、魔(悪)は善の一寸に対して一尺ほどもある」という意味で、「世の中には良いことは少なく、悪いことばかりが多い」という意味で使われます。
私の知人で、彼の知人の債務保証をしたがために、自分自身も自己破産宣告をせざるを得なくなりました。ところが、強い人で、雌伏十年、その間、自己充電期間として、「晴耕雨読(せいこううどく)」をしました。晴れた日には田はなたを耕し、雨が降ると読書を楽しむという、世間の煩わしさから離れ、心穏やかな生活を続けました。その結果、自分の生きる道として、自分と同じように債務保証で苦しむ人達に心の潤いを与えることははじめました。
「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」というのは、この人のためにあるような四字熟語です。中国の春秋時代に、呉の王である夫差(ふさ)が戦いで死んでしまった父親の仇討ちのために、牧野上に臥して、苦い肝を嘗めて、報復の志を忘れないようにしたという故事があります。(四字熟語辞典)このことから転じて「目的を達成するために、苦心惨憺してチャンスを待ち続ける」という意味で使われます。
「堅忍不抜(けんにんふばつ)」、すなわち「強固な意志を持って耐え、何があってもくじけて諦めない」でやってきた結果、雌伏が雄飛に変化する「捲土重来(けんどちょうらい)」をやり遂げたのです。「捲土」とは、土煙が巻き上がるような厳しさ、「重来」は「再来」と同じ意味です。すなわち「捲土重来」とは「一度は、敗者となった人が、再び勢力を盛り返して巻き返す」ことを指します。「堅忍」は「意志強固に耐える」、「不抜」は「」固くて抜けない」という意味です。類語に「志操堅固(しそうけんご)」という四字熟語があります。
確かに世の中は、我々が思うようには行かないことが多いです。「こうありたい」と思っても、その実現には色々な障害や問題が立ちはだかります。これは企業経営においても同じことです。リスクマネジメントというのは、これから起こるだろう障害を予測して、事前に手を打つことの重要性が説かれています。
福島第一原子力発電所問題で表面化しましたが、「想定外」という言葉はしばしば使われてきました。それだからといって「人知が及ばぬこと」と諦めてはならず、「自分の力が至らなかった」と解釈し、謙虚に受け止めるべきです。
「想定外」で、世の人だけではなく、自分自身を納得させてしまっては、成長の原動力を失うことになります。
想定のレベルが高ければ、その様な障害が訪れてくることを予測できるかも知れないのです。否、できるだけそれも含めて想定すべきです。これが経営であり、経営者や経営コンサルタントの為すべきことであり、その能力の高さということになります。
口で言うは易しいですが、その実行は困難であることを私も認めますが、負け犬で終わりたくないですね。因みに、本来このような意味ですが、誤用されて「良いことには、とかく邪悪が入りやすい」という意味で使う人がいます。
このように言葉の誤用は、近年目立ちます。例えば「悪循環」という言葉に対して「好循環」という言葉が使われていますが、私は「好循環」ではなく「善循環」という言葉を用います。
「大小」とか「寒暖」など、反対の意味を表す表現を私たちはしばしば用います。「悪」という漢字の反対の意味を含む表現は何でしょうか?大半の人が「善悪」という熟語に思い当たるでしょう。従って、「悪循環」に対して「善循環」というべきだと考えます。
ただし、「好悪(こうお)」とう言葉もありますので、「悪」の反対を表す漢字に「好」を充てることは間違いではありません。従って「好循環」という言葉は間違いではないのですが、上記の通り、正しい語感を持てば「善循環」の方がどちらかと言えば良いと言えると考えています。
ある面では、これは感覚の問題ですが、近年、語感のずれが軽視されているように思えます。例えば、ストッキングをはいていない脚のことを「生足」というのを聞きます。「生爪を剥がす」や「生首」などの例に見れますように、人間の身体の一部に関する表現として「生」という字はあまり良いニュアンスを持っていません。それを「生野菜」などの「生」とう字の誤用から「生足」などいう言葉が生まれてしまうのでしょう。
「鳥肌が立つ」という言葉も、ゾッとするような恐ろしげな体験をしたときに用いる表現です。それが昨今では、良い意味の時にも「鳥肌が立つ」という表現が用いられることがあります。語感が正常であれば、それもおかしいと感じるはずです。
語感というものさしからずれた感覚で、言葉を選択するからこのようなことが起こってしまいます。
企業経営において、いくつかの選択肢がある場合に、どれを選ぶべきかを考えるとき、判断に困ったら、「原点は何か」「どちらが一般的か」などと判断基準を装幀した上で判断しますと、より良い選択ができることが多いです。
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