■【あたりまえ経営のすすめ】2部 管理編2-34 リーダーシップを発揮するために人間性を重視した率先力を磨く
多様化の時代になり、ホンモノ智恵が求められる昨今です。
世の中には、「専門家」とか「プロ」と呼ばれる人が多数いらっしゃいます。
ところが、残念なことに、その大半というのが、「エセ専門家」「エセプロ」なのです。
管理職も、“真”のプロ管理職にならなければなりません。
ホンモノのプロ、要は「“真”のプロ」とは、どの様な人を指すのでしょうか。
エセプロの多くは、「あたり前のことが、あたり前にできる」ということを軽視しています。
「今の時代、最新の経営理論に基づく経営が重要である」と「あたり前」を蔑視をしている人もいるほどです。
では、「あたり前」とは、なんでしょうか?
「“真”のあたり前」を知らずして、あたり前を軽視して欲しくないですね。
あたり前は、その辺に転がっているのではなく、「あたり前は創るもの」です。
1970年代から、半世紀近くの経営コンサルタント経験から、最善の策ではないにしても、ベターな策を講じるための智恵をご紹介してまいります。
■ 2部 【管理編】 プロの管理職のあり方
本シリーズは、経営士・コンサルタントなどの経営専門業・士業の先生方を対象として、第1部の【経営編】をお送りしてきました。しかし、その内容は、視点を変えれば経営者・管理職のためのお話でもあります。ビジネス界においては、フレキシブルな視点の持ち方をできる人が高く評価されるのです。
筆者は、経営コンサルタントという仕事柄、しばしば管理職研修も実施してきました。その時に、必ずといって問うことは、「管理とは何でしょうか?」ということです。
管理職の皆さんは、よく勉強していて、私より立派な回答が返ってきます。
「では、それをどの様に実務に活かしていらっしゃいますか」と問いますと、期待するような回答が返ってきません。
難しいことを勉強しすぎているのではないでしょうか。知識と実務が乖離していますと、せっかくの知識が知恵として活かせません。
管理職として、「あたりまえ」なことが、実務で行われているのかどうか、謙虚に自分自身を見ることも大切なのではないでしょうか。
管理職は、「管理とは何か」「温かい管理」を正しく理解しなければ、部下からも、上司からも、社会からも正しく評価されません。
温かい管理とは https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/e/8b7833c2ebc019660a3813e9dedbf92f
ここでは、管理職なら誰もが知っているようなことを整理してみました。
知識としてはご存知のことでしょうが、それを実務に活かすにはどうしたらよいのかを考えてくださる契機となると幸いです。
■ 第2部2章 プロ管理職のリーダーシップ
私達は、ひとりでは生きていくことはできません。社会や組織に所属して、他の人と共に力をあわせることが、近道といえます。そこに求められるのが、「リーダーシップ」です。
管理職だけではなく、ビジネスパーソンにはリーダーシップを取れることが、成功への近道であり、自己実現には不可欠といっても過言ではありません。では、ビジネス界におけるリーダーシップとはどのようなものなのでしょうか。原点に戻って、再度考え、新たな気持ちでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
■ 2-34 リーダーシップを発揮するために人間性を重視した率先力を磨く
論理的というのは、冷たいイメージが伴いがちですが、適切な論理思考というのは、常に人間性を前提にしていることは、忘れてはなりません。
人間性を活かして率先垂範したり、スピード感を持った意志決定や行動をとったりすることが、リーダーには不可欠です。その中の代表的といいますか、基本的な事項をご紹介します。
◇ 人間性を勘案して相手に応じたコミュニケーションをとる
既述の論理思考というのは、「理屈っぽい」と思われがちですが、人間性重視が前提でなければならないと考えています。
「温かい管理」に基づく論理思考は、人間が持つ力をいかに引き出すのかが問われるほど、人間性を重視しています。
理詰めで冷たいというイメージがもたれがちな論理思考ですが、人間性重視ということが前提で、論理思考がなされれば、けっして冷たいものではありません。
相手の立場を尊重してリーダーシップをとることにより、上司がパワハラ的に部下に仕事を押しつけ、強要するのではなく、部下やメンバーの特質にあわせて仕事をしていただくことが必要です。
相手を尊重して対応しますと、部下やメンバーは、自然と自主的に行動していけるようになりますし、リーダーには、その様に導く力が求められるのです。その結果、メンバーそれぞれが、周囲の人にも良い影響を与えることに繋がります。
そのために、リーダー側は、相手に応じた内容と話し方をすべきです。
たとえば、相手が新人であれば、方法論まで具体的に説明する必要があります。一方、相手がベテランの場合には、方法論よりは、趣旨・目的を中心に話をします。たとえリーダーでありましても細かい部分まで、指示や命令を出しては、受ける側は馬鹿にされているような感覚に陥るかもしれません。
リーダーシップとは、部下やメンバーの自主性を引き出し、業務を通じて能力を高めていく力であるともいえます。
◇ 率先力
上述のようにリーダーシップを活かすには、指示・命令の出し方を工夫するのが基本です。
一方で、自分の背中を見せて、部下を引っ張って行く「率先力」も効果を上げることが多いでしょう。
目標を設定し、その目的を達成するための計画を活用するだけでなく、目標達成に向けて、リーダー自らが積極的に業務に取り組み、時には部下と一緒になって行動することで、メンバーの手本となるやり方も効果を上げることが多いようです。
率先力もリーダーシップに欠かせない要素の1つといえますが、やり過ぎるのは逆効果であることが多いです。やり過ぎますと、甘えが出て、当事者意識を活かすこと繋がりません。やり方によりましては、嫌味にも見えます。
率先垂範が自分の信念であるリーダーにとりましては、良い方法であっても、全てのリーダーにとって、そのやり方が有効な方法であるとは必ずしもいえません。
◇ スピードの時代の拙速巧遅
技術革新に伴い、急激な変化を遂げて、ビジネスのあり方に影響を与えていることは、このシリーズでも、何度も記述しています。コミュニケーションも「光速時代」といわれて久しいですが、モノ同士が情報交換をするIoTは、製造現場にまで大きな影響を与えています。
今日のビジネスには、スピードが求められているのです。
この様な時代に、ゆったりと思考したり、時間をかけてじっくりと開発したり、業務を推進したりする余裕は少なくなっています。
一方で、この様な時代ですからこそ、拙速巧遅ということを常に意識している必要があります。
人間の能力には限界があります。いくら時間がない、忙しいからといいましても、時間がありませんからといって、いい加減でも良いということは許されません。
そうかといいましても、たとえば充分な調査を済ましてからでありませんと、決断し、行動に移せないというやり方では困ります。時代は、時々刻々と変化しています。完璧な調査や情報収集をしても、すぐにそれは陳腐化してしまいます。
「現状では、これで満足しよう」という割り切り方も必要なことがあります。しかし、それはいい加減でも良いというのではなく、与えられた経営資源の中での最善の努力をした結果の判断でなければなりません。
スピード経営が求められる時代の生き方は常に変化していかなければならない部分がありますことを承知しておく必要がありますね。
<続く>
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