◇R5年(2023年)の一級建築士試験の問題と正答表が公表されています。
◇本ブログでは、R5年の一級建築士試験「建築法規」問題の要点を整理していきます。
◇試験問題を参照したうえで、本ブログの要点整理をご参照いただければと思います。
◇試験問題は「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで確認できます。
◇No.16:建蔽率に関する図形計算問題の要点整理
・法53条8項:敷地全体に、準防火地域の規定を、敷地全体に適用。
・法53条3項一号イ、同ロ:建蔽率の緩和1/10を、敷地全体に適用。
・法53条3項二号:角地指定の建蔽率の緩和1/10を、敷地全体に適用。
・法42条2項、令2条1項一号:みなし道路境界線の内側(セットバック)部分の敷地面積の控除。
・法53条2項:許容建築面積は、それぞれの敷地で算定したもの合計(面積加重平均)とする。
・近隣商業地域の建蔽率:8/10+1/10+1/10=10/10
・第一種住居地域の建蔽率:6/10+1/10+1/10=8/10
・近隣地域の許容建築面積:[10×(15-1)]×10/10=140㎡
・第一種住居地域の許容建築面積:[15×(15-1)]×8/10=168㎡
・建築面積の最大値:140+168=308 ㎡・・・正答
[注意点] 問題文に準耐火建築物を建築する場合と記述されており、建蔽率規制に関しては、建築物の位置に関係なく、敷地全体への規制適用(法53条3項の緩和条項も
同様)になりますので、用途地域ごとの許容建築面積計算の按分計算(法53条2項)と切り分けて整理する必要があります。
◇No.17:建築物の斜線制限に関する図形計算問題の要点整理
①道路斜線制限:法56条1項一号、法別表第3、法56条2項(建物後退による緩和)
・(に)欄より、第一種中高層住居専用地域の斜線勾配:1.25
・(道路容積率)7×4/10=28/10 < 30/10(都市計画容積率)
・(は)欄より、第一種中高層住居専用地域(容積率30/10以下)の適用距離:25m
・建物後退による緩和(法56条2項):西側1m、南側共に3m
・2面道路における計算用道路幅を広い道路幅(7m)とする緩和規定(法56条6項、令132条1項)
イ)広い道路の境界線からその道路幅員の2倍以内、かつ35m以内の部分⇒7×2=14mかつ35m以内
ロ)狭い道路の中心線から10mを超える部分⇒(6/2)+3+7=13m⇒広い道路幅による
・南側道路斜線:(3+6+3+7)×1.25=23.75m
・西側道路斜線:{1+7+1+(12-1)}×1.25=25m
②隣地斜線制限:法56条1項二号
・20mを超える部分からの斜線勾配:1.25、
・建物後退による緩和(法56条2項):東側2m
・東側隣地斜線:20+(2+2)×1.25=25m
③北側斜線制限:法56条1項三号
・隣地より低い敷地の北側斜線制限の緩和(135条の4第1項二号)
・地盤面は1mを減じたものの1/2だけ高い位置とする⇒(3.0-1.0)÷2=1m
・A点から真北方向の隣地境界線までの距離×1.25+10m
・A点の高さ:{3+(14-7)}×1.25+10+1=23.5m
∴北側斜線制限の「23.5m」が、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度となる。
[注意点] 道路斜線制限の計算では、求める「A点」の位置が、2面以上の道路に面する場合、広い道路の境界線からその道路幅員の2倍以内、かつ35m以内の部分にあ
る場合には、狭い道路からの斜線計算においても、広い道路幅員を使用して計算することになります。
また、道路の中心線より算定しますので、設問が求める地盤面からの高さを算出する場合との計算では、宅盤差がある場合などで調整(その部分を差し引くこと)が
必要です。しかし本問では、北側隣地との宅盤差なので、北側斜線制限算定において、もともと両方とも地盤面から算定していますので、高低差による緩和措置計算
後の数値を、求める地盤面からの高さに加えることになります。
2023年10月31日 by shrs(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士
◇本ブログでは、R5年の一級建築士試験「建築法規」問題の要点を整理していきます。
◇試験問題を参照したうえで、本ブログの要点整理をご参照いただければと思います。
◇試験問題は「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで確認できます。
◇No.16:建蔽率に関する図形計算問題の要点整理
・法53条8項:敷地全体に、準防火地域の規定を、敷地全体に適用。
・法53条3項一号イ、同ロ:建蔽率の緩和1/10を、敷地全体に適用。
・法53条3項二号:角地指定の建蔽率の緩和1/10を、敷地全体に適用。
・法42条2項、令2条1項一号:みなし道路境界線の内側(セットバック)部分の敷地面積の控除。
・法53条2項:許容建築面積は、それぞれの敷地で算定したもの合計(面積加重平均)とする。
・近隣商業地域の建蔽率:8/10+1/10+1/10=10/10
・第一種住居地域の建蔽率:6/10+1/10+1/10=8/10
・近隣地域の許容建築面積:[10×(15-1)]×10/10=140㎡
・第一種住居地域の許容建築面積:[15×(15-1)]×8/10=168㎡
・建築面積の最大値:140+168=308 ㎡・・・正答
[注意点] 問題文に準耐火建築物を建築する場合と記述されており、建蔽率規制に関しては、建築物の位置に関係なく、敷地全体への規制適用(法53条3項の緩和条項も
同様)になりますので、用途地域ごとの許容建築面積計算の按分計算(法53条2項)と切り分けて整理する必要があります。
◇No.17:建築物の斜線制限に関する図形計算問題の要点整理
①道路斜線制限:法56条1項一号、法別表第3、法56条2項(建物後退による緩和)
・(に)欄より、第一種中高層住居専用地域の斜線勾配:1.25
・(道路容積率)7×4/10=28/10 < 30/10(都市計画容積率)
・(は)欄より、第一種中高層住居専用地域(容積率30/10以下)の適用距離:25m
・建物後退による緩和(法56条2項):西側1m、南側共に3m
・2面道路における計算用道路幅を広い道路幅(7m)とする緩和規定(法56条6項、令132条1項)
イ)広い道路の境界線からその道路幅員の2倍以内、かつ35m以内の部分⇒7×2=14mかつ35m以内
ロ)狭い道路の中心線から10mを超える部分⇒(6/2)+3+7=13m⇒広い道路幅による
・南側道路斜線:(3+6+3+7)×1.25=23.75m
・西側道路斜線:{1+7+1+(12-1)}×1.25=25m
②隣地斜線制限:法56条1項二号
・20mを超える部分からの斜線勾配:1.25、
・建物後退による緩和(法56条2項):東側2m
・東側隣地斜線:20+(2+2)×1.25=25m
③北側斜線制限:法56条1項三号
・隣地より低い敷地の北側斜線制限の緩和(135条の4第1項二号)
・地盤面は1mを減じたものの1/2だけ高い位置とする⇒(3.0-1.0)÷2=1m
・A点から真北方向の隣地境界線までの距離×1.25+10m
・A点の高さ:{3+(14-7)}×1.25+10+1=23.5m
∴北側斜線制限の「23.5m」が、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度となる。
[注意点] 道路斜線制限の計算では、求める「A点」の位置が、2面以上の道路に面する場合、広い道路の境界線からその道路幅員の2倍以内、かつ35m以内の部分にあ
る場合には、狭い道路からの斜線計算においても、広い道路幅員を使用して計算することになります。
また、道路の中心線より算定しますので、設問が求める地盤面からの高さを算出する場合との計算では、宅盤差がある場合などで調整(その部分を差し引くこと)が
必要です。しかし本問では、北側隣地との宅盤差なので、北側斜線制限算定において、もともと両方とも地盤面から算定していますので、高低差による緩和措置計算
後の数値を、求める地盤面からの高さに加えることになります。
2023年10月31日 by shrs(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士