伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

田舎暮らしの日々とガーデニング 時々ニャンコと

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ジャコシカ16

2018-03-25 11:52:45 | ジャコシカ・・・小説
 優美は素早く視線を走らせ頷きながら言うとダンボールの箱から、次々と商品を取り出しハン

ガーに掛けた。

 おおよその展示場所や収納場所が決まると、店内はたちまち空のダンボールで埋まった。

 あやはその箱を潰して片付けるのに追われた。

 それを見て優美が言った。

 「小型の物は潰さないで奥の出口に積んでおいて。後で上に置く商品を指示するから、それを詰

めて運んでもらうわ」

 7階は工房であると同時に、在庫の保管場所でもある。それだけではない40坪のスペースは、

他にも本社の輸入品の倉庫としても使う計画なのだ。

 他にも桐山社長には、ブテイックを家具のショウウインドにして、7階まで客を呼びこむ目論

見があった。

 これにはさすがに優美は抵抗した。

 しかし、桐山社長も譲らなかった。社長にとってこのアイデアは、自身の趣味の世界が入り込ん

でいるだけに、余りに魅力的だったのだ。

 優美にとっては自分の知らない世界の品物が勝負をかけた城に据えられることには大きな不満

があった。

 全力を一点に傾注するべき時に、最初から二兎を追うのは余りにも無謀な策に思えた。

 結局、輸入アンティク家具に関しては、優美は一切責任は持たないし、関りもしないということ

で妥協をせざるを得なかった。

 こうしてファッション事業のバックヤードの7階は、同時に輸入アンテイク家具の倉庫兼展

示場所になった。

コメント (2)
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