あやも志乃も初めてこの場所を見せられた時は、家具屋の倉庫に入ったかと錯覚するばかりで戸
惑った。
優美の説明を聞いて納得はしたが、優美同様に不安を感じない分けにはいかなかった。
「陣取り合戦みたいものね。勝てばいいのよ。勝てば全部私達のものよ」
志乃はずばりと言ってアッハハと笑った。
優美とあやは思わず顔を見合わせた。
志乃には初っ端から驚かされる。案外力強い味方かも知れない。
家具には圧倒されたが、それでも当面ブテックの工房の面積としては充分だった。
店内が一段落すると志乃とあやはエレベーターで1階と7階の間を、何度も往復した。
開店までにやることは山ほどある。
優美は重いダンボールを運ぶあやと志乃を見て、早急にアルバイトを手配しないくてはならない
と考えた。
社長の桐山は本格的に商品が入り始めると、余り顔を出さなくなった。
日欧通商という名の貿易輸入会社を経営する彼の主眼は、やはりヨーロッパからの輸入雑貨で、
特にイギリスからのアンテイク家具と、陶器類に熱が入っていた。
そんな彼が婦人物服飾に興味を持ったのは、笹木優美との出会いがあったからだ。
40歳代後半の彼は、時代感覚が鋭かった。
優美と知り合ったこの5年ほどの間に、既に新宿、上野、新橋と矢継ぎ早に店を出し、いずれも
好調であった。
渋谷は4店目になるが、この店は先の3店とは違い、自社ブランドとも言うべき、優子のデザイ
ンになる「優」のための発進基地にする計画だった。
惑った。
優美の説明を聞いて納得はしたが、優美同様に不安を感じない分けにはいかなかった。
「陣取り合戦みたいものね。勝てばいいのよ。勝てば全部私達のものよ」
志乃はずばりと言ってアッハハと笑った。
優美とあやは思わず顔を見合わせた。
志乃には初っ端から驚かされる。案外力強い味方かも知れない。
家具には圧倒されたが、それでも当面ブテックの工房の面積としては充分だった。
店内が一段落すると志乃とあやはエレベーターで1階と7階の間を、何度も往復した。
開店までにやることは山ほどある。
優美は重いダンボールを運ぶあやと志乃を見て、早急にアルバイトを手配しないくてはならない
と考えた。
社長の桐山は本格的に商品が入り始めると、余り顔を出さなくなった。
日欧通商という名の貿易輸入会社を経営する彼の主眼は、やはりヨーロッパからの輸入雑貨で、
特にイギリスからのアンテイク家具と、陶器類に熱が入っていた。
そんな彼が婦人物服飾に興味を持ったのは、笹木優美との出会いがあったからだ。
40歳代後半の彼は、時代感覚が鋭かった。
優美と知り合ったこの5年ほどの間に、既に新宿、上野、新橋と矢継ぎ早に店を出し、いずれも
好調であった。
渋谷は4店目になるが、この店は先の3店とは違い、自社ブランドとも言うべき、優子のデザイ
ンになる「優」のための発進基地にする計画だった。