退屈しないように シニアの暮らし

ブログ巡り、パン作り、テニス、犬と遊ぶ、リコーダー、韓国、温泉、俳句、麻雀、木工、家庭菜園、散歩
さて何をしようか

울지 말고 꽃을 보라

2014-07-21 05:21:09 | 韓で遊ぶ
泣かないで花を見なさい

白ひげのかもめの夢
東海岸のある波止場近くに素敵な白いひげの長くのびた白ひげかもめが一羽住んでいました。彼は外のかもめとは違う考えが多く、やりたいこともたくさんあるかもめでした。よく言えば、夜も寝ないで自分のやらなければならないことを最後までやりぬくまじめなかもめだということもできるし、悪く言うと自分の身の程もわからない、欲の過ぎたかもめだということもできた。
しかし、東海岸に暮らすかもめの中で白ひげかもめを嫌いなものは誰もいなかった。白ひげかもめが波止場に出てくると、「あら、白いひげのおじいさん、いらっしゃい。」とみなぞろぞろ集まってきた。なぜなら、白ひげかもめは誰かが困難なことに陥っているとだまって見ない振りをして過ぎることをしなかったからだ。どうかしておいしい食べ物が手に入ると「みんな、こっちに来てこれを食べなさい。」と必ず幼いかもめを呼んだ。
それだけではなく、幼いかもめがえさを見つけることができずに波止場の片隅に力なく倒れているとすぐにえさを探して食べさせるかもめがまさに白ひげかもめだった。
ところがそんな彼にもただひとつだけ欠点があった。それは、外のかもめとは違って多くの使いようのない考えをするということだった。
「海の水はなぜこんなに多いのだろうか。こんなに多いのになぜ山にあふれないのか。だけど、しょっぱいのは何でまたこんなにしょっぱいのだ。何で水平線というものがあるんだ。いったい水平線の向こうには何があるのだろう。かもめは魚のように海の中で生きることはできないのだろうか。あの雪嶽山には何がいるのか。かもめはなぜ山に行って暮らすことができないのか。俺も一度、人がたくさん集まって暮らすというソウルへ行って暮らしてみたら、、、」
白ひげカモメのこんな考えは終わりがなかった。だからそうなのか、彼は幼いカモメたちに小言もまた多かった。
「これは真っ黒に油がついているじゃないか。こんなもの食べるな。腹を壊す。」
「これっぽちのイカの足1本を互いに食べようと争うとは、チッチッ、またこんなことをしたら俺が黙っていないぞ。わかったか。」
「ビニールのかけらや木片を食べたらだめだ。間違ったらのどや砂肝がふさがって死ぬこともある。」
「これ、足に紐とか縄のようなものがかからないように注意しろって。足に綱が巻かれると後で血が通わなくなって足が切断されることになるぞ。」
白ひげカモメは幼いかもめに会う度にいつもこんな小言を並べた。
はじめは彼の小言がいやで彼のそばに行かないカモメが多かった。だが、後になると彼の小言を聞くのがいやだというカモメは特にいなかった。実際に彼の話を聞かないでその言葉の通りに行動して怪我をしたり死んだカモメの数が増えて、大部分が彼の言葉によく従った。
しかし、事故はなくならなかった。白ひげカモメは幼いカモメが事故で死ぬ度に心が痛く耐えることができなかった。
「人間の危険から逃げることができる、カモメだけが心置きなく暮らせる、そんな世の中を作れないだろうか。」
白ひげカモメはカモメが事故にあう度にいつもそんな考えをしていましたが、それはひとえに虚しい夢であるだけ、外に考えが浮かばなかった。ただ、幼いカモメを訪ねて注意しろと小言を言うしかなかった。

そんなある日のことだった。白ひげカモメは友達について東海岸の真ん中にあるソルロムという島に遊びに行ってみた。
「人でごった返して危険な波止場を離れ、静かな島に一度いってみよう。」
親しい友達である白眉毛カモメと黄色くちばしカモメがそんなことを言うとすぐに友達に従った。
ソルソムは青い松の木でぐるっと囲まれた本当に美しいところでした。松の枝の間からちらちら見える青い海がとても美しかった。ところどころに人々が集まって暮らす村があるけれども、漁船が一箇所に集まる波止場よりは一段ときれいで危険もまた少なかった。
白ひげカモメは楽しくなって波に足をつけては、またつけた。月の光のようなきれいな砂の上を歩いて、また歩いた。ソルソムの最も高い岩のうえに座って遠く水平線を眺めてまた眺めた。
白ひげカモメは限りなく幸福だった。
「海は誰がつくたんだろう。」
白ひげカモメはあまりにも幸福なので自分でも知らないうちにこのようにつぶやいた。すると横にいた白眉毛カモメが言った。
「それは、神様が作ったんだろう。」
「なら、島は誰が作ったんだ。」
「それももちろん神様だ。」
「そうか、そしたら、私たちも神様に島ひとつ作ってくれと言ったらだめか。」
白ひげカモメがそう言うなり今度は黄色く血がしかも目がケラケラ笑い出しました。
「ははは、お前は今も、そんなとんでもない考えをするだめな癖を治せないなあ。もう、どうかしっかりしてくれ。幼いカモメの目に恥ずかしくもないのか。」
白ひげカモメは黄色くちばしカモメの言葉にかまうことなく遠く水平線ばかり眺めていました。

白ひげカモメはカモメだけが暮らすことのできる美しい島をひとつほしいと思った。幼いカモメが心置きなく遊んでも何の危険もない、そんな島があったならばどんなにいいかという考えにそのままじっとしていることができなかった。
「そうだ、神様に一度頼んでみるんだ。人にだけ島を作ってやらないで、我々カモメにも島をひとつ作ってくれと頼むんだ。」
白ひげカモメは夕焼けの水平線を眺めながら神様に切実に祈りを上げた。
「神様、我々カモメが平和に暮らせる島をひとつ作ってください。人が暮らすところは私たちカモメが暮らすにはあまりにも危険です。いくらか前には油をいっぱいに積んだ輸送船が海で沈没したために海がすっかり油だらけになったのを神様もよく知っているじゃないですか。油に落ちて死んだカモメが1,2羽ではありません。」
白ひげカモメの懇切な祈りにも神様からは何の答えもありませんでした。それでも白ひげカモメの祈りは続きました。
「神様、本当にそのように知らない振りをするのですか。何か言葉を一言でもください。」
一ヶ月経っても、1年たっても、2年たっても神様は何の答えもくれなかった。
白ひげカモメは本当に悲しかった。沈黙する神が恨めしかった。

そんなある新年の朝だった。白ひげカモメは東海の水平線の上に上る赤い日を眺めながら両手を合わせ祈りをしていたがはっとこんな考えが浮かんだ。
「そうだ、神様に頼んでばかりいるのではなく、自分が自分の力で島をひとつ作るんだ。海辺の砂をくわえて来て海を埋めるんだ。」
白ひげカモメはその日からすぐに砂で海を埋める仕事を始めた。
「カモメたちよ。我々みな一緒に力を合わせて海を埋めよう。海を埋めて私たちカモメだけの暮らす美しい島をひとつ作ってみよう。」
白ひげカモメが他のカモメにこのように叫んでも彼の言葉に耳を傾けるカモメは誰もいなかった。
「お前、本当におかしいぞ、どうかしっかりしてくれ。」
白眉毛カモメも黄色くちばしカモメもただ笑って嘲弄するだけでした。ですが白ひげカモメは友達がどんなにからかって笑っても気にしませんでした。10年が過ぎても20年が過ぎても決してあきらめませんでした。
今も、東海岸の海辺に行けば砂を口にくわえて海を埋める白いひげカモメ1羽を見ることができます。
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泣かないで花を見なさい

2014-07-20 05:15:49 | 韓で遊ぶ


木はなぜ人と話をしないか
以前は人と木と葉は互いに話をした。気が人に「こんにちは。」というと、人も木に「こんにちわ。」と言った。木と人の間に話す事のできない言葉はなかった。
ところが、ある日から木は人と話をしなくなった。気がただ、人に口をつぐんでしまったのだ。それは木を愛していた一人の少女に発したことのせいだ。
少女は毎日朝木のところに来て水をくれた。
「よく眠れた。のど渇いていない。」
「いいや、大丈夫。君もよく寝たの。」
木は自分を愛してくれる少女が本当にありがたかった。どうすれば少女を喜ばせることができるかという考えで心がいっぱいだった。
少女はすくすく育った。木もまたすくすく育ち少女においしい実を日陰を提供した。
どれぐらいの歳月が流れたのか、少女は一人の男に出会った。木は少女が自分にもたれかかったまま愛する男の胸に抱かれ手いる姿を見ると心がいっぱいだった。そういう時は日差しがゆらゆらする澄んだ風と日陰を提供した。
やがて少女はその男と結婚することになった。結婚四季は鬱蒼と育った木の下で開かれた。木は新婦になった少女がとてもきれいなので一度でも人になりたいと思った。
時間が早く流れた。そしてすべてのことが変った。少女を愛していた男がもはやこれ以上少女を愛さなくなった。
「私たち別れましょう。私もあなたを愛していないわ。」
いつの日からか彼らは木の下で喧嘩を始めた。
「私はあなたにだまされたわ。私の人生を返してよ。」
彼らは日がたつごとに喧嘩が多くなった。
そんなある三日月の夜だった。その夜の県下は激烈だった。喧嘩の末に男が少女の首を切って少女は機の下に倒れ域を引き取ってしまった。
木は驚かずにはいられなかった。人が一言の言葉のせいで殺人まで犯すという事実があまりにも衝撃的だった。その事実は木と葉の間にすぐに広がった。人が言葉によって殺人まで犯すという事実にあまりにも驚きみな口をつぐんだ。
それ以後木と葉は誰も人と話さなくなった。人と木の間の意志疎通の道がそれで切れてしまったのだ。
しかし、まだ木と葉が忘れないでいるただひとつの言葉がある。それはまさにこの言葉だ。「愛している。」
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泣かないで花を見なさい

2014-07-19 04:16:17 | 韓で遊ぶ

天に昇る階段
天に歩いて上っていく階段があった。
その階段を最後まで歩いて上れば誰でも願うものを得ることができるという話が人々の間に広く広がっていった。
人々はそれぞれ成し遂げたい願いを持って階段を上って行った。
しかし、最後まで階段を上った人が誰もいなかった。みな途中であきらめて降りてきた。どんなに階段を上っていってもずっと階段だけが続くだけで、階段の終わりが出てこないということがその理由だった。
結局最後まで上ってみた人がいない中で人々はだんだん、階段を忘れていった。だが、決して階段を忘れない一人の少年がいた。
「天に上がる階段を最後まで一度上がってみなさい。」
おばあさんが亡くなる時に言った言葉を少年は決して忘れないでいた。
少年はおばあさんに会いたいと思う時、おばあさんが話したその階段の上に一度上ってみたかった。
少年は休まなかった。風邪が吹いて、雲が前をふさいでも終わりない階段を上っていった。どんなにつらくてもあきらめなかった。階段を最後まで上がろうということの外には何の願いもなかった。
階段を上っている途中に少年の頭はいつの間にか白く変った。
少年が老人になってやっと階段の終わりにたどり着き、また階段を下に下りて来た。
記者が老人にインタビューするためにぞろぞろ集まってきた。
「おじいさんは何の願いがあって階段を最後まで上ることができましたか。」
一人の記者があわててマイクを向けました。
「何も願いはありません。ただ階段の最後まで上っていくことだけが私の願いでした。」
「階段の終わりには何がありましたか。」
老人はしばらく目をぎゅうと閉じていましたが、人々を見回した。
「何もありませんでした。あったとしたらただ人生があっただけです。」
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泣かないで花を見なさい

2014-07-18 05:39:20 | 韓で遊ぶ

幼い葦の霊魂
川辺の葦原が風になびいた。葦は風が吹くままに全身を任せた。もう少し強く風が吹いても葦の腰は深くたわんだ。
「かあさん、私たちはなぜこのように弱いの。」
幼い葦は風の意のままに生きなければならない自信の姿がみすぼらしく感じました。
「弱いのではなく柔軟なのよ。」
母は腕を伸ばして幼い葦の頬を撫でてくれた。
「違う、弱いのさ。風が少し吹いても腰がたわむじゃないか。母さんはなぜ風のするままにしているんだ。」
「それは母さんが風を愛しているからよ。もちろん風も私たちを愛しているからだし。」
幼い葦は風を愛しているという母の言葉に一時口をつぐんで考えこみました。しかし、いくら考えてもそれは愛ではなかった。普段愛という言葉が出てくるだけでなぜか涙が出るのに今回はそうじゃないじゃないか。
「僕は母さんの言葉を受け入れることができない。愛というのは相手側に腰を曲げさせたりすることじゃない。母さん、僕は自分の意志でまっすぐに立っていたい。風が吹いてもたわまない強い葦になりたい。」
今度は母の葦が深く考え込みましたが、ゆっくりと口を開きました。
「お前、弱いということが強いことで、負けることが勝つことなんだ。お前が勝ったと思ったら、まさにその瞬間お前は負けたのであり、お前が津よりと思うまさにその瞬間にお前は弱くなるのだよ。」
幼い葦はこれ以上何も言わなかった。幼い葦の沈黙はやけに長かった。
また、強い風が吹いた。葦たちいっせいに風の吹くほうに腰を曲げた。
しかし、幼い葦はどんなに強い風が吹いてもまっすぐに腰を立てて曲げなかった。
何日か後、幼い葦の腰が折れていた。折られた幼い葦の肉体だけが風に細く干上がった。
しかし、幼い葦の霊魂だけはどんなに風が強く吹いてきてもまっすぐに腰を立てて川辺を守っていた。
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泣かないで花を見なさい

2014-07-17 06:10:38 | 韓で遊ぶ

星を数える夜
生涯夜の星だけ数えてきた人がいました。今までその誰も夜の星が何個なのかその数を数えることはできず、これからも永遠に数え切れないことにもかかわらず彼は長いこと夜の星だけを数えていました。
そんな彼を見てある日かわいそうだと思って夜空の星が訊いた。
「あなたはなぜ私を数えるというそんな虚しいことに窓外を捧げますか。」
すると、星を眺めながら彼が言いました。
「虚しいですって。それはあなたを愛する私なりの方法です。私はあなたがいくつなのかその数字を数えているのではありません。私はただあなたを眺めていることが好きで夜毎あなたを眺めているだけです。」
彼の言葉に星はしばらくの間口元に微笑を浮かべていました、また口を開きました。
「実は、私も夜毎地球に暮らす人の数を数えています。それもまたあなたが言うように人間を愛する私なりのひとつの方法だからです。」 
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泣かないで花を見なさい

2014-07-16 05:17:54 | 韓で遊ぶ


ハリネズミの初恋
明るい昼間の樫の木の森の中を散歩するのが好きな1匹のハリネズミがいました。ハリネズミは夜行性で主に昼は木の根や岩の隙間に隠れて、夜になるとそろそろ動き回るのだが、「コスミ」と呼ばれているハリネズミはそうではありませんでした。
コスミはいつも友達がみな寝ている昼になるとひとりで起きだして小さな耳をぴょこんとたてて鳥の歌を聴きながら樫の木の森の中を散歩しました。そして友達が伸びをしてそろそろ活動する夜になるとひとり平たい石の下に入っていって眠りました。
「コスミ、お前は、おまえ自身をよく知らなければならない。お前はハリネズミだ。ハリネズミはハリネズミらしく生きなければならないのだ。お前はなぜ私たちがみな寝ている昼になると起きて、私たちが起きて仕事をする夜になれば寝るんだ。お前本当にそうやっていてもいいのか。」
「ごめんなさい。だけど、私は夜が嫌いです。明るい風が吹いて、お日様があって、日差しがまぶしい明るい昼が好きです。」
「夜にも月がある。月明かりもあり、それだけではないことを知っているか。星もあって、星明りもある。夜空に落ちる流れ星を見るとどれだけ美しいかわからない。」
「それはそうでしょう。だけど、私は暗いのが嫌いです。薄暗い夜は本当に嫌だ。」
コスミは友達の言葉に少しも耳を傾けず日が昇ると起きて森の中を散歩した。その度にコスミは自分が本当に幸福なハリネズミだという思いがした。

そんなある日のことだった。コスミは森の中のひっそりした小道で1匹のシマリスに会った。ところが、本当に不思議なことだった。朝の散歩道で時々会うには会ったシマリスだったが、コスミはその日に限ってシマリスを見るなり急に胸がどきどき走り始めた。すばやく木の上に這い上がって止まってコスミを見つめるシマリスのキラキラした目に全身がみな解けてしまうようだった。
コスミは勇気を出して黙ってシマリスに近づいて行き言葉をかけた。
「僕は、コスミって言うんだ。君名前はなんていうの。」
「私はタラミよ。」
「タラミ、僕も君のように木の上に上がって行きたい。だけどどうすれば上がっていけるの。その方法をちょっと教えてくれないか。」
「それは教えたからといってできることじゃないわ。自分が努力しなければならないことよ。」
タラミはコスミを見下ろしてにっこりと微笑んだ。
コスミはタラミの近くに行きたくて何とかして気の上に這い上がろうと努力した。しかし、どんなに努力をしてもその都度木から落ちるだけ、どうしても木の上に這い上がることができなかった。
だが、コスミはあきらめなかった。転げ落ちてもまた転げ落ちても一生懸命木の上に這い上がり、日が暮れるころになってやっと木の少し上のほうに上がることができた。しかしすでにタラミは家に帰ってしまいどこにも姿が見えなかった。

その晩、平たい岩の下に帰ってきたコスミは眠れなかった。岩の隙間から見える夜空の星だけをうつろに眺めていた。星という星が全部樫の木の枝の間に見えるタラミの澄んだ黒い瞳のようだった。
翌日の朝、コスミはタラミに会うためにいつもより早く起きて樫の木の森へ行きました。タラミも夜中、コスミに会いたかったのかいつもより早く森に来ていました。コスミは限りなく胸が躍った。コスミがタラミの魅力的な尾を見る度に顔が赤くした。
 コスミとタラミはこうやって朝早く森の中のひっそりした道で会って、また会いました。二人が会うたびごとに森はいつも朝露に濡れており、タラミはいつも日差しに光る朝露のようでした。コスミはそんなタラミを眺めていることだけでも幸せでした。
そんなある日、森の中に静かに広がる霧を眺めていたコスミはずっと胸の深くに隠しておいた言葉を言ってしまいました。
「タラミ、僕は絶対にこの言葉を言わないでおこうと思ったけれど、、、僕は君を愛している。」
すると、タラミがすばやく木の下に下りてきながら言いました。
「コスミ、私もあなたを愛しているわ。」
「本当に。」
「もちろん、私は、あなたがその言葉を言ってくれるのをどれだけ待っていたかわからないわ。」
タラミは少しのためらいもなくコスミの胸に飛び込んだ。コスミはあまりにもうれしくて残っている力いっぱい、力の限りタラミを抱きしめた。すると、急に、タラミが「キャァ。離して。離して頂戴。」と悲鳴を上げた。
コスミが驚いて腕の力を抜いた。するとタラミがすばやくコスミの胸から離れて叫んだ。
「あなたの体には何でそんなにとげが多いの。痛くて死ぬところだったわ。」
タラミはすごく怒った顔だった。
「僕たちハリネズミは皆こうだ。僕だけとげだらけなんじゃない。」
「そうならばそうだと前もって話してくれないと。私はとげがあるといやだわ。あなたを愛さないわ。あなたの体にとげがあるとは、本当に思わなかった。」
「タラミ、そう言わないで。僕が誰かを愛したのは君が始めてだ。」
「だけどいや。体にとげがあるかぎり、私はあなたを愛さないわ。私はあなたを抱きしめることも、抱かれることもできない。」
コスミは呆然とした。愛を手にした瞬間急に愛を失ったという考えがして呆然としてタラミだけを見つめた。
「タラミ、愛はそんなものじゃない。私たちが誰かを愛するということはあるがままを愛するという意味だ。僕が少しだめだとしても大目に見てくれることを願う。」
「いいえ、私はあなたのとげがとても痛いの。あなたが少しでも私を愛しているならばこの機会にとげをなくしてしまえばいいわ。」
「とげを、なくせだって。」
「そうよ。愛していたらの話だけど。」
「それは僕にとってはあまりにも無理な要求だ。とげがなくなると僕は死ぬかも知れない。僕が死ねば僕に会えなくなるじゃないか。」
「だけど、そのとげ、いや。」
「タラミ、お願いだ。今あるがままの僕を愛してくれ。」
コスミはやっと気持ちを落ち着けてたどたどしく言葉を続けた。だが、タラミは「とげをなくせなかったら私に会おうと思わないで。」と叫んで後ろも振り向かないでちょこちょこと木の上に上がっていってしまいました。

コスミは悲しかった。
「君の背中にある黒い5本の線あるじゃないか。ある時は僕もその黒い線が見るのもいやだった時があった。だけど、僕はそれのせいで君を嫌いにはならなかった。」
コスミは栗のイガのような体を身を縮めたままタラミが消えた樫の木を見つめて一人で泣き続けました。
コスミはタラミに会うことができなかった。タラミはコスミが樫の木の森の中に来るとどこか遠くへ走っていってしまったりした。
コスミはタラミに会いたくて耐えられなかった。愛がこのように苦しいことだとは思わなかった子隅は毎日涙を流して時間を送った。
そうしていて、ある日よくよく考えた。
「僕がタラミを愛している限りどうすることもできない。僕の体のとげをなくすしか。タラミは僕を愛しながらもとげのせいで僕から離れていっただけだ。僕の体のとげがなくなれば今でも私たちは毎日互いに会って熱く愛しているはずだ。僕はタラミのために体のとげをなくさなければならない、、、」
コスミはその日からとげをなくすために岩の角に体をこすりつけ始めました。1回体をこするたびに全身の血が流れて手足が震えていくようでした。ですが、コスミはタラミを思って我慢して繰り返しました。
「コスミ、お前一体これは何の真似だ。」
「とげをなくすんだ。」
「何。」
「わからなくも、いい。」
「お前、こんなことしていて間違ったら死ぬぞ。とげは我々の生命線のようなものだ。」
「僕も知っているよ。だけどこうするしかないんだ。」
何日も友達が切なく言ってもコスミは聞く振りもしませんでした。
結局コスミは岩ひとつを血で赤く染めてからだのとげを全部なくすことができました。

コスミはそのまま、すぐにタラミを訪ねて言った。
「タラミ、君の言ったとおり体のとげをなくした。」
「何ですって。本当なの。」
「そうだ。僕は君のためならば何だってやることができる。僕を一度抱きしめてみて。もうとげがない。大丈夫だ。」
タラミは驚かないわけにはいかなかった。とげのないコスミはかわいそうにも全身血まみれだった。
タラミはすぐに走ってきてコスミをぎゅっと抱きしめてやりながら言った。
「コスミ、ごめんね。私が悪かったわ。私はあなたが本当にそうするとは思わなかった。許して頂戴。」
タラミはコスミにとげをなくせと言ったことを後悔した。コスミをこのように苦しめた自分を恨んだ。
「コスミ、ごめんね。二度とあんなこと言わないわ。」
「いや。大丈夫だ。僕はこのままで幸せだ。」
愛するタラミの胸に抱かれたコスミは本当に幸せだった。まるで暖かい母の胸に抱かれているようだった。このまま時間が流れないで永遠にとまってしまえばと思った。
どころが、コスミのそんな幸福はごくわずかでした。急にタラミを片思いしていた野ねずみが現れてコスミに攻撃して来ました。
「恐れ多くもハリネズミのくせにシマリスを愛するとは。失せろ。」
こうこうと光る目でコスミを睨む黒い野ねずみの目は恐ろしかった。
「とっとと、失せろ。」
コスミは野ねずみの聞く振りもせず、タラミをぎゅっと抱きしめた。すると、野ねずみが鋭い両足を上げてコスミに攻撃してきた。
コスミも両足を上げてのねずみに飛び掛った。
「やめて。」
タラミが足を踏んで叫んだが争いは簡単には終わらなかった。互いにもつれて地を転がって、時には野ねずみの鋭い歯に噛まれてコスミの体はますます血だらけになった。
体にとげがなくなったコスミは野ねずみの攻撃を防ぐ手立てがなかった。コスミはそのまま愛するタラミを野ねずみに奪われてしまった。
「タラミのためにとげまでなくしたのに野ねずみに奪われるとは。」
コスミはあまりにも悔しくて悲しく泣きました。
何日か樫の木の森の中からコスミの鳴き声が絶えませんでした。
しかし、コスミの体の中から再びとげが少しずつ生えてきたという事実を知っているものは誰もいなかった。
当のコスミ自身さえも、、、。











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泣かないで花を見なさい

2014-07-15 05:03:29 | 韓で遊ぶ

秋の麦
一人の農夫が、生涯農業をして、もはや死ぬ日までいくらも残っていないことを知らされました。
彼は死ぬことは別に恐ろしくはありませんでした。季節に従ってまじめに農業をして、子供を生んで、三食おいしく食べながら健康に生きてきて死ぬことは自然の理知でした。
しかし、彼には少し人と違う考えがありました。彼は死ぬ前に自分がしなければいけないことが必ずあるようで、それが何なのかよくよく考えることに一年を送りました。
しかし、それが何なのか簡単に知ることはできなかった。死というものは人間には本当に自然なことであり死ぬことは何でもないが、生前にしなければならないことをできずに死ぬようで悔しかった。
そんな中、秋が過ぎて春が来た。彼は遠い山の陽炎をまじまじと眺めてふと息子を呼んだ。
「私について来なさい。」
空は息子とつれて麦畑に行き秋小麦を植えた。
息子は父がなぜ春に秋小麦を植えようとするのか不思議に思ったが、何も言わないで父の命令に従った。
「特別にこの麦畑を手入れしなさい。」
息子は父の言葉に従って麦畑を手入れすることに真心を尽くしました。決まった時に堆肥を入れ、除草もした。そうした真心が通じたのか麦は珍しいくらいによく育った。ところが、収穫期が来て麦を収穫しようとすると、肝心の麦が穂を出さなかった。麦が笑うだけで肝心の麦の実を結ばなかった。
息子は驚かないではいられなかった。麦の穂が出ないということは全く考えもできないことだった。
「どうだ。麦の穂は出たか。」
呆然としている息子に近づいてきた父が言いました。
「いいえ、穂が出ませんでした。」
そうすると、息子に向ってにっこりと笑みを浮かべながら、これで死ぬ前にやらなければならないことをみなやったというように父は言葉を続けた。
「私の話をよく聞きなさい。秋麦を春に植えると絶対に実を結ばない。秋麦は秋に植えて厳しい冬の吹雪に耐えて育ってこそ翌年の春に丈夫な麦に育って実のよく入った実を結ぶのだ。それが秋麦の生まれ持った運命だ。秋麦がちゃんとした麦になるためには冬という苦痛と忍耐が必要だ。苦痛がない温室のような平和はむしろ秋麦には絶望だ。息子よ。こんな秋麦のように苦痛のない結実はない。お前も自分の人生の苦痛を避けて通ってはならない。おまえの人生の実のしっかり入った実を結ぶためには、、、」
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泣かないで、花を見なさい

2014-07-14 14:52:23 | 韓で遊ぶ

雫の兄弟
川辺に暮らす雫の兄弟がある日、海を見て驚きました。
「うわぁ、こんなに大きい川があるとは。」
弟の雫が兄の手をつかんで驚き口をぽかんと開いた。
「これは川ではないよ。海というんだ。川が集まって海になるんだ。」
兄は弟の無知を悟らせてやりました。
すると、弟はすまないように顔を赤くしていましたが、また言いました。
「兄さん、海は何個の雫でできているの。そして一番大きな雫がどれぐらいなの。これぐらい。」
弟は2本の手を広げて大きな円を描きました。
「さあ、、」
今度は兄がすぐに答えを出せませんでした。
弟が首をかしげて兄にたいしてとても失望したという表情をしました。
「わかった。海を知るためには生みになるしかない。俺が直接生みに行って調べてきて話してやるから。」
兄は弟を失望させるわけにはいかないのですぐに海に飛び込みました。兄は海に飛び込んですぐに海になってしまいました。
海になってしまった兄は弟のところに帰ってくることができませんでした。海が何個の雫でできているのか、一番大きな雫はどれぐらい大きいのか話してやりたかったけど話してやることができなかった。弟は勇気を出して海に飛び込むことだけを待つしかなかった
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泣かないで花を見なさい

2014-07-13 02:34:00 | 韓で遊ぶ

失敗には成功の香がある
私は失敗です。私は花梨のように醜い。涙を絞るように流しもし、地を叩いて慟哭することもします。もちろん酒、タバコもやります。ただの一日でも酒を飲まないと眠ることができません。
ある時には心があまりにも悲しくてアパートの屋上まで上がってさっと飛び降りてしまおうかという思いをしたりもします。また、ある時は走ってくる地下鉄に体をさっと投げ出したい衝動に駆られぶるっと震えたりもします。少し前に南山タワーに上ってソウルを眺めていたらそのまま窓を破って体を投げ出したいと思いました。
私は失敗である自分自身を見ることもいやです。本当に一日一日が耐えることのできない日々です。そもそも、私自身が私自身を愛することができません。世の中に自分自身を愛することができない者が、他の誰かを愛することができるでしょうか。まず、自分自身が自分自身の価値を見つけてこそ、他人も価値があるのではないですか。
自分にも、他人にも価値のない私はある日死ぬことを固く心に決めました。どうやって死ぬか何日間か考えて世の中を騒がすことはいやだし、ただ一人で静かに腐っていこうと心に決めました。
私は自分の顔のように醜い花梨になって、どこかの応接室の片隅に押しやられ静かに腐り始めました。
腐るということは大きな苦痛でした。自分の体の一部が一日一日と腐ることはもしかしたら死ぬことよりも大きな苦痛かもしれません。
ですが私ははじめに決心したとおり自分が死んでいくことに全力を尽くしました。「ひつ粒の麦が腐らなければその実は採ることができない」という聖書の言葉のような考えもしませんでした。ただ、自分の霊魂さえも一日も早く腐って消える日だけを祈っていました。
ですが、人は本当に不思議です。腐っていく私から本当によい香が出るんですね。
「えー、この花梨すごくいいわ。どこで買ったの。冬には買うのも難しいのに。私こんなほのかな香が好きだわ。」
本当に意外な言葉でした。腐っていく私からいい香が出るとは。
私はその時ふと、亡くなった父のこと簿を思い出しました。
「おまえなぁ、失敗をあまり恐れてはいけない。失敗からは成功の香が出るものなんだ。」
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泣かないで花を見なさい

2014-07-12 05:06:57 | 韓で遊ぶ

花の種
子供が母の手を取って世界花博覧会へ行って母に訊いた。
「お母さん、花はどこから生まれるの。」
「種から生まれるのよ。」
「種の中に花があるの。」
「うん。」
子供は母にねだって朝顔の種を一つをもらった。
子供はすぐに花が見たくて、鉛筆を削るナイフで削った。しかし、その中には花がなかった。花もなく葉もなかった。
「お母さん、種の中に花がない。お母さんのうそつき。」
子供はすぐにも泣きそうになりました。
母は黙って子供を抱きしめて言いました。
「種の中には確かに花があるのよ。ただ、空の風とお日様、土と水と心を合わせなければ花は咲かないのよ。花を咲かせるのは私たち人間ではないの。
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