サバクアマガエル(Litoria rubella) Little red frog
夜遅くにKFPキャンプ場に戻った後、この日も少し外を歩いてみた。
オーストラリアに来てから、寝ている間に降ったかもしれないことを除けば雨は1度も浴びてないけれど、熱帯雨林独特の湿気のおかげで地表や草にはうっすらと露が付いていた。
こうして活動しやすくなった夜には、カエルが多く出てくる。このサバクアマガエルは、日本のアマガエルのように家屋の壁面に張り付いて寄ってくる蟲を狙っていたり、草むらに居たりした。
※追記:判明しました→Jungguy Frog(Litoria jungguy)
この不明種、図鑑を立ち読みした時に探せばよかったと後悔した。
オオヒキガエル(Bufo marinus) Cane Toad
この外来種であるオオヒキガエルは、宮古島でいうミヤコヒキガエルの出現率ほど頻繁に出くわした。世も末である。
クツワアメガエル(Litoria infrafrenata) White-lipped Tree Frog
私達に驚き、地面から跳ねて茎につかまったクツワアメガエル。砂利道にいたため腹部が汚れてしまっている。
林縁部には、今日もハナナガバンディクートが数頭、餌を探しにやってきていた。
小学生の頃に少し流行った、なにがしバンディクートというゲームキャラクターの真似をしてなにがしアタック!―なんてふざけながらシャワールームに入った瞬間、私は壁に張り付いていた手のひらほどもある物体にびっくりして飛びのいた。
「クツワ様がいらっしゃったぞ!」
どうやら灯に寄って来た虫がお目当ての様子である。
私達が構わずシャワーを浴びだすと、クツワは迷惑そうに目を細め、伏せた。
やり過ごしモード実施中。“早く通り過ぎますように”
【2010/03/04/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】
キャンプ場への帰り道。
ヒクイドリに遭遇した余韻を噛み締めながら空を仰げば、綺麗な夕焼け空。
こんなに広い夕焼け空を、生まれて初めて見た。
しばし立ち尽くす私達。上空には2羽のシロガシラトビが旋回していた。
【2010/03/04/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】
ヒクイドリ(Casuarius casuarius johnsonii) Southern Cassowary
夕方、延々と続く林の中の道路を車で走っていた時、突然ある不自然なものが目に飛び込んできて、思考が一瞬、停止した。
隣の友人にその旨を報告しようとするけれど、にわかに言葉が出てこなかった。「あわわ・・・」としばらく口をぱくぱくさせた後、今一度呼吸を整えてからやっと口をついて静かな声が出た。「ヒクイドリがいた・・・!」
友人は信じられないと言いいたげたったけれど、私の様子を見てそれが冗談でないことを悟ったようだった。
目の前で起こっている事がにわかに信じられない。
成鳥と若鳥の2頭のヒクイドリは私達が見ていることに明らかに気付きながらも、林の奥から道路側に出てきて立ち止まった!好奇心からだろうか。
骨質のトサカはコリトサウルスに似るけれど、キリリとした顔つきは小型肉食恐竜を彷彿とさせる。もちろんヒクイドリは肉食などではなく、果実食である。
ヒクイドリと私達はしばらくお互いを観察し合った。どれくらいの時間が経っただろうか、対向車に観光バスがやって来た時、ヒクイドリはここまでだと言う様に森の方へ向き、ゆっくりとその姿を消した。
この時私の世界版ライフリストに加わった1種は、今まで見てきたどの野鳥よりも巨大だった。
【2010/03/04/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】
ミドリメガネトリバネアゲハ(Ornithoptera priamus euphorion) Cairns Birdwing
ディンツリーのリバークルーズの後、同村のとある小さな池の周りを少し歩いてみた。
すると、池の畔の鬱蒼として暗い林内を、グリーンメタリックの物体がハタハタと自信に満ちた羽ばたきで飛翔していた。それがすぐ葉に舞い降りた時、私は思わず息を呑む。ユーフォリオンだ!その巨大な姿は、暗い林内で圧倒的な存在感を放っていた。
この池にはとにかく蚊が多くて、人が歩けばそれに数百匹の蚊の黒い群れがモヤモヤと残像のようについてまわった。
「ハハ!お前、沢山の従者を連れて歩いてるよ」なんて冗談も、そのうち笑えないほどに蚊に刺された頃、私達はいそいそと引き上げた。
Daintree Riverの渡し舟。車ごと乗れるトラゲットである。
川べりにはワニに注意の看板があった。日本語を見たのは空港の中以来だ。イリエワニやオーストラリアワニが居ないかと見回して見たけれど、そう簡単に見つかるものではなかった。
有名な標識。
ヒクイドリ轢いたらこうなりますよ、という注意を促しているわけでは実は無い。
もともと上の標識は「隆起注意」だったけれど、誰かが書き足したところ見事なギャグになり、それからそのままらしい。
キスジミツスイ(Lichenostomus frenatus) Bridled Honeyeater
晴れの日中はひたすら暑く、生き物の出も悪くなってきたところで、また半熱中症状態になった。毎日こうなる。
暑さにまいり、よぼよぼとボードウォークを歩いていると、キスジミツスイが近くで愛想よく鳴いていた。
それからこの後移動中に、赤茶色で巨大なバラムネオナガバトが木の実をついばんでいる光景を車内から見た。
【2010/03/04/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】
ルリミツユビカワセミ(Ceyx azureus azureus) Azure Kingfisher
オーストラリア2日目。
早朝のまだ辺りが真っ暗な時間帯に起き出して、夜が明ける前に到着するよう、ディンツリーに向けて車を走らせた。夜明け前の気温は26℃ととても過ごしやすくて、車の窓を開けていると涼しい風が車内を満たした。
やっと薄明るくなる頃、クルーズのオーナーとの待ち合わせの場所に着いた。
今朝はディンツリー川(Daintree River)のリバークルーズに参加することになっている。
―夜明けとともに漕ぎ出す船。
他の客がいないから、ボートは私と友人で貸切状態になった。
夜が明けてもしばらく暗い森。川の細流には木々が両岸からオーバーハングして、ボートがやっと1隻通れるほどに茂った場所もたまにある。
キミドリコウライウグイスの元気のいい声が「トキョキョ!」と聞こえたかと思えば、密な木々の間を小さな小さなハシブトセンニョムシクイがせわしなく動いていた。なるほど、アイリングは白いけれど眉斑は無い。また、コキミミミツスイよりも大型のキミミミツスイも川沿いの木に出てきていた。
ディンツリー川支流(Barratt Creek)
テリヒラハシは狭い支流の水辺によく見られた。雄は全身光沢のある紺、雌は喉から腹にかけて白く、3色を纏ってまるで別の鳥みたいだ。ナンヨウクイナは少し飛んで着地したかと思えばすぐ藪へ消えてしまった。オーストラリアツカツクリは太い脚で土を後方に掻いて、巣でも作っている途中なのだろうか。また、ミミグロネコドリは猫みたいな声でかわいく「にゃぁ~!」と鳴く。
さらに、まるでサファイアの弾丸のように飛ぶルリミツユビカワセミが「チィ!」とカワセミに似た声で鳴いて、対岸の倒木にとまった。
そして舞台は本流へ―。
Daintree River
川には他にボートは1隻も浮いていなかった。
ボートがスピードを上げると、朝の涼しい風がとても心地よい。川の上空を、たまにゴシキセイガイインコやソデグロバトの小群が飛んでいくのが見える。
英名がWelcome Swallowなどと名前からして好感度の良いオーストラリアツバメが、ボートに興味があるのかしばらく平行して飛んでくれた。
この後スマトラサギのコロニーへ行くも姿が見えず、痛恨の「外し」だった。そのかわり、まるで水面すれすれに流れる箒星みたいなヒメミツユビカワセミを確かに見た。
Barratt Creekに戻ってくると、川にオーバーハングした木の枝にナミヘビの仲間 Common Tree Snake(Dendrelaphis punctulata)が乗っていて、ボートが近づくとすぐさま逃げ出した。
そしてまた、ルリミツユビカワセミを見つけた。今度はじっくり餌を狙っている最中のようだ。
【2010/03/04/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】