2人の男の子がケンカをし、片方が木切れで片方の歯を折ってしまった。傷付けた方の両親が、傷付けられた方の両親宅へ出向き、今後について話し合いを持った。
そこで繰り広げられる2組の夫婦、いい歳した男女4人のシャレにならない本音バトル。
元が舞台劇の、ワンシチュエーションもの。・・・退屈はしないけど、途中から、なんかいたたまれなくなってきた。
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少し前のBSオンエアを録画してあったのをやっとこさ見ました。・・・これは、正直、自分の姿を見せつけられているみたいで、中盤以降、笑えなくなりました。
4人のオトナは、ある意味、世間によくいるタイプのカリカチュアでしょう。意識高い系ペネロペ、似非自由人マイケル、自意識過剰ナンシー、エリート傲慢系アラン、、、て感じですかねぇ。
強いて言えば、私はマイケル型人間かな。ハムスターを放置したのだけは除いて、、、。
でもって、一番嫌いなタイプは、アランくん。でぇっきれぇ~なタイプ。
ペネロペとナンシーは、まあ、ありがちというか。少しずつ、自分にも彼女たちのような要素は持っていると思うし。
息子たちのケンカについて話し合っているうちに、最初は、夫婦VS夫婦で、互いの息子の正当化バトルになるんだけど、局面によっては男VS女だったり、プライド高い系VSマイペース系、こだわり系VS気まま系、と、括りがイロイロ変わり、対立する面々も変わってくる。必ずしも2対2じゃなく、2対1だったり、3対1だったりする。でも、誰かしら、必ず誰かとぶつかる。
そう、人間って決して一面だけじゃないってことですよねぇ。4人のオトナについてそれぞれカテゴライズして書いたけれど、それだって、一番よく見えやすいものがそうだってことであって、その陰に隠れているものはたくさんあるわけです。夫婦だからってそれを全部見せ合っているとは限らない。夫婦だから見せられる部分と見せられない部分が当然あって、夫婦だから見せられないものでも友人には見せられるものも当然あって、だから、夫の知らない妻を、友人は知っている、とか、、、。
でもって、図らずも、こういう場面で普段は見えていない部分が、しかもサイアクな形で露呈するという、、、。夫婦にとっては一番避けたいパターンでしょ。
と書いてきて思い出したんですが、大昔に母親とケンカになったとき、母親に「親に見せてる顔と、友達に見せてる顔が同じわけないでしょ~(呆)」と言ったことがあるんですよね。これが母親にはショックだったのか、怒り狂って「何でそんな使い分けんねや!! イヤらしい!!!!」と、もう手が付けられない激昂振りでした。私としては、そんなのアタリマエ~、な話だったんですけど、、、。だってそうでしょう? “友達”に限らず、職場の同僚or上司、好きな男、近所のおばさん、親戚のおじちゃん、誰にだってぜ~んぶ同じ顔なわけないじゃんか。好きな男の前で見せてしまう顔を、親に見せるはずなかろうが。ちょっと考えれば分かることなのに、母親は、当たり前すぎることを言語化して真正面から娘に言われて、気持ちの持って行き場がなかったんでしょうなぁ。それは分かるけど、あの激昂振りはちょっと酷かった、、、。
さらに余談だけれど、・・・だから“裏表のない人”ってのは、私は逆にイマイチ信用できないです。悪く言われやすい“弱きに強く、強きに弱い人”ってのはある意味分かりやすい人なわけで。でも、誰にでもニコニコ愛想が良くていい人、ってのは怪しい。人に悪く思われないよう立ち回る、、、むしろ腹黒さを感じちゃう。嫌われたってイイじゃない、人間だもの、、、、って相田みつをかって感じですけど、やっぱりある程度のオトナになると、開き直ってて程々に良くて悪い人が、まあ好きかな。こういう人は、修羅場くぐってるだろうし、だからこそ自信に裏打ちされた相応のプライドをちゃんと持っていると思うし。自分もそうでありたい、という思いもありますが。
そう考えて本作の4人を見ると、ペネロペ、ナンシー、マイケルは、プライドと自信アンバンランス組じゃないかな。アランは根拠のない自信家だからある意味バランスとれているけど、4人の中じゃ一番幼稚、っていう見方もできる。イイ歳して自分を客観視できないヤツ、みたいな。
だけど、まあ、プライドと自信をバランスよく形成するって、やっぱり凄く難しいと思う。ちょっと痛いとこつかれて、タガが外れちゃったら、誰でもこんな風になる可能性大いにあると思う。だからこそ、見ていて辛くなってしまった訳で、、、。
ジョディ・フォスターが額に青筋立てて激昂しているのは、もう演技を超えていました。ケイト・ウィンスレットはもう、、、途中、ちょっと正視できませんでした(もちろんそれは“あの”シーン)。クリストフ・ヴァルツとジョン・C・ライリーも素晴らしい。
こんな風に、オトナ4人が口角泡を飛ばして罵詈雑言の応酬をしているのを知ってか知らずか、息子同士はちゃっちゃと仲直りなんぞして、生死を危ぶまれたハムちゃんも元気に公園の芝生を闊歩している、、、ってのがサイコーでした。そう、世の中、自分の思いとは全然カンケーないところで勝手に回って行くもんなんですよ、ホントに。いきり立ってるの、アホらしいです。ケ・セラ・セラ~~~
ポランスキーって、やっぱしスゴイなぁ。この後の『毛皮のヴィーナス』も面白かったし。守備範囲広すぎ。
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