映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

オーガストウォーズ(2012年)

2020-03-20 | 【お】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv53373/


以下、TSUTAYAよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 2008年8月。モスクワに暮らすシングルマザーのクセーニアは、南オセチアで平和維持軍の任務につく元夫ザウールに“息子にもこの自然を味わわせてやりたい”と頼まれ、幼いチョーマを彼に預ける。ところがその直後、グルジア軍が侵攻し、ロシア軍との戦闘が始まる。

 チョーマの身を案じたクセーニアは、危険を顧みず自らチョーマを救い出すべく最前線へと向かうのだったが…。
 
=====ここまで。


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 ロシアに行く前に見ようと思って借りていたけど、見たのは帰って来てから。なぜこれを選んだかというと、『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』に出ていたマクシム・マトヴェーエフが出ているから。『アンナ~』では不倫貴族男を演じていたけど、本作は戦争アクション映画みたいだから、ちょっとどんなんだろう??という好奇心で見てみた次第。

 とは言うものの、TSUTAYAの作品紹介には「南オセチアの独立を巡ってグルジアとロシアが戦争状態となった2008年の事件を背景に、ロシア軍の全面協力で描く迫力の戦争アクション。リアルな戦場で繰り広げられる巨大ロボットのバトル・シーンも見どころ」などと書いてあり、「巨大ロボットのバトル・シーン」て文字を見て勝手に“ロシアのB級映画”だと思い込んでまったく期待していなかったんだけど、これが見てビックリ、チョー面白い!! とんだ掘り出しモノに出会いました。


◆ナニコレ??なオープニングに引くが、、、

 いきなりロボットファンタジーみたいなシーンから始まり、ナニコレ? 戦争モノちゃうの??と思ったのだが、そのファンタジーは、少年チョーマの妄想の世界を描いていたのであった、、、。

 と、ここで、“あ゛~、やっぱしハズレかぁ……”と頭を抱えそうになったのだが、CGが結構よく出来ていて、その後、ハイウェイを母親のクセーニアが運転する車で走っていると、後ろから巨大ダンプカーが迫ってくるシーンで、その巨大ダンプカーが悪の巨大ロボットに変化してチョーマの乗っている車を襲おうとする映像など、かなり目を見張るものがあり、そのまま見続ける。

 で、クセーニアがチョーマを救出に行こうと空港から乗ったオンボロバスがミサイルに襲われて真っ二つになる寸前で崖から宙づりになった辺りから、俄然面白くなり、もうあとは最後まで息つく暇もなく食い入るように見てしまった。

 実際は、巨大ロボットのバトル・シーンというようなものはほとんどなく、めちゃくちゃリアルな戦争が描かれた、非常にシビアな映画だったのである。冒頭のファンタジーな雰囲気とは打って変わって、途中は人がこれでもかというくらいに死ぬし、戦車や戦闘機や武器がジャンジャン出て来て、いやもう、、、見ていてずっと緊張を強いられるシーンの連続なのだ。132分というやや長尺なこともあり、見終わってドッと疲れる。けれども、決して不快な疲れではない。

 まず、ロボットの使い方が結構上手い。つまり、チョーマにとって辛い場面(祖父母や父親が殺されるところとか)は、味方は良いロボットに、敵が悪のロボットとなって置き換えられるので、凄惨を極める残虐シーンが回避されている。これが物足りないという向きもあろうが、私は、こういうのもアリだと思った。チョーマには、現実の世界がそのように見えていたのであり、終盤、その妄想から脱することになるのだが、それがチョーマの成長を暗示することにもなっており、仕掛けとしてはナイスアイディアだと思う。

 あと、本作は、若いシングル・マザーで、まだまだ恋もしたいギャル要素の強かったクセーニアが、愛する我が子を救うために命を懸けて行動することにより、彼女も成長するという物語になっているのだが、過剰な“母の愛”描写はなく、ただただ子を助けたいというシンプルな動機付けが好感を持てる。リッチな軟弱男と結婚をもくろむギャルだったのに、随分急な変わり様な気もするが、これは後述するが、よく考えれば当然とも言える。それに、序盤の描写で、ギャルママ・クセーニアがチョーマを大切に可愛がっているシーンもちゃんと描かれているから、ま、いっか、と思える。

 そして何より、ロシア軍協力の戦闘シーンの凄さ。本作の映画としての価値の半分以上はこの戦闘シーンにあると思った。決して、カッコ良く描くなどということはせず、なかなか泥臭いシーンも多い。細かいところまで非常に気を配ったリアルな演出で、これは劇場で見ていたら、かなり恐怖感を抱いたのではないかと思いながら見ていた。派手にミサイルが飛んできて爆破されるシーンと、泥臭い市街戦と、人が人形みたいに死んでいくのと、、、戦争とはこういうものなのだと改めて見せつけられる。

 CGもなかなか良くて、戦車が宙を舞って地面に逆さまに突き刺さるとか、もう唖然となるようなシーンのオンパレード。これは、ミリオタの人が見ても十分満足できる仕上がりなのではなかろうか。私はCG詳しくないからアレだけど。ネットでメイキングの動画もあり、面白かった。


◆ロシア軍全面協力

 本作は、ロシア軍の全面バックアップだから、当然、ロシア目線で描かれている。ネットで“プロパガンダ映画”と書いている人もいたが、戦争映画のほとんどは、どちらかの立場で描いているのだから、むしろそんなことは当たり前なわけで、何を今さら、という感じだ。本作では、敵のグルジア(現ジョージア)兵については、1人を除いて、全く顔が分からないように撮られている。その1人というのは、終盤、クセーニアの逃亡を助ける兵で、この辺はロシアの配慮か? グルジア側から描けば、ロシアはそれこそ悪の化身で、ロシア兵は極悪非道なんだろう。

 背景となった南オセチアをめぐるロシアとグルジアの戦争については、何となくそのニュースを覚えている。チェチェンとか、このコーカサス地方は色々複雑で、ちょっと怖い、、、というイメージばかりで、私自身あまりにも無知である。

 前述したように、戦争とは、結局、どちら側から見てもそれなりに“正義”があり、どちらかだけが正しいということはあり得ない。チョーマが訪れた実父の実家は、国境に近く、もの凄い山岳地なのだが、ここも、この戦争でもしグルジアが勝っていれば、今はジョージアになっていたかも知れない場所なのだろう。ロシアが制圧したことになったため、結局、事実上独立した、ということのようだが、、、。

 だからもし、クセーニアがチョーマを救出できず、ロシアが負ければ、クセーニアとチョーマは下手すれば生き別れで死ぬまで会えない可能性があったということになる。そりゃ、クセーニアがギャルママから一転、髪振り乱して救出に向かう肝っ玉母ちゃんに変身するわけだ。

 今もジョージアのロシア国境地帯や南オセチアは渡航中止勧告地帯の様だし、コーカサス一帯も行きたいけれども、ハードル高そうだ。


◆マクシム・マトヴェーエフさまとか、その他もろもろ。

 で、肝心のマクシム・マトヴェーエフさまであるが、ヴロンスキーもステキだったが、こっちの斥候役リョーハも、カッコえがった!

 クセーニアとは、バスの事故後に出会い、その後、離れたり、また会ったりしながら、途中からは完全にクセーニアがチョーマを救出に行く手助けをすることになる。

 部下が、クセーニアのミニスカからのぞくキレイな脚を覗き込むと、無言で「やめとけ」と言わんばかりに肘で部下を押し返したり、クセーニアの手助けをすると決めてからは「ちゃんとベルトに掴まってろ、足手まといになったら俺が射殺する」などと無表情でクセーニアに言い放ったり、まあ、それはそれは凜々しく頼りになるお兄ちゃんである。こんなエエ男が現実にいるとは思えないが。そう言われたときのクセーニア、完璧に参ってたね、あれは。……ていうか、あれは参るでしょ。

 まあ、端正な顔立ちと長身で、ヒロインにとっては勇気百倍だわね。

 クセーニアがモスクワで小金持ち男とモメるシーンがあるんだが、エレベーターの中で、クセーニアがいきなりオーガズムの振りをするという、、、あの『恋人たちの予感』のオマージュか、というようなシーン。……というか、この辺、別になくても良くない?というシーンなんだが、まあ、面白かった。ここでそんな痴話喧嘩をしたことにより、クセーニアははるばる国境までチョーマを迎えに行く気になるのだからね。

 でも、無事、チョーマを救出してモスクワに戻ったクセーニアは、、、というのが、ラストシーン。痴話喧嘩をした小金持ち男からの留守電メッセージがいくつも流れているシーンなんだが、最後には別の声が……。声の主は、、、もちろんリョーハなんだが、このラストシーンの意味が分からん!!と怒っている男性がネットにいたが、分からん方が分からん、、、。

 あんな経験したら、小金持ちであることに価値が感じられなくなるでしょ。小金持ちのセコい男より、安月給でも命懸けで行動してくれる男の方が、そらええわ。

 マクシム・マトヴェーエフさまの株が、私の中で上がっております。

 

 

 

 

 


ミサイルが飛んでくる山岳地帯の風景がとっても美しい

 

 

 

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