映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

スターリングラード大進撃 ヒトラーの蒼き野望(2015年)

2020-03-22 | 【す】

作品情報⇒https://eiga.com/movie/85917/


以下、DVD販売会社のHPよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 1942年、ドイツ軍はスターリングラードを目指し、ソ連軍に猛攻を仕掛けていた。

 劣勢な状況の中、攻撃体制の再編を行うようソ連軍の参謀本部に伝達を命じられた若き将校オガルコフ。しかし、予想を上回るドイツ軍の快進撃により、指令を伝えることが出来ず、部隊は壊滅状態に陥ってしまう。参謀本部は部隊壊滅の元凶を、オガルコフの指令伝達遅延によるものと責任を擦り付け、オガルコフに銃殺刑を言い渡すのだった。

 処刑までの間、オガルコフは独房に収容され、兵卒のズラバエブに監視されることとなる。日増しに激しくなっていくドイツ軍の攻撃。遂には参謀本部までもが戦場と化したため、オガルコフらは激戦をくぐり抜け脱出を図ろうとするが…。
 
=====ここまで。

 とんでもない“邦題詐欺”映画。この邦題をつけた意図はいかに、、、??


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 これも、ロシア行きの前に借りて、帰って来てから見た。ケースと中身が違うのか??と思わずDVDを確認するほど、この邦題は本作の内容とかけ離れている、、、というより、まるで別物。映画自体はなかなか味わい深い良作なだけに、この邦題はいただけない。

 蓋を開けてみれば、実に丁寧に人間ドラマを描いたロードムービーなのだった。“大進撃”の描写などまるでないし、ヒトラーは1秒たりとも登場しない。思わず、ケースとDVDのタイトルを確認するが、確かにケースと中身は一致しているので、ますます邦題に???となる。おかしな邦題には慣れっこだが、これはウルトラ級である。下手すると、詐欺だろう。偽装or虚偽表示に近い。

 ……まぁ、邦題についての文句はこれくらいにして。

 本作のキモは、オガルコフを監視する一兵卒であるズラバエブが(おそらく)モンゴル系であることだ。オガルコフは上記あらすじにもあるとおり“若き将校”で、それなりにインテリなのだろうが、ズラバエブは字が読めない・書けないという設定である。しかし、このズラバエブは愚直なまでに任務に忠実で、とにかくオガルコフを本部に届けることしか頭にない。

 最初こそ、オガルコフは石部金吉のズラバエブに八つ当たりするが、あまりの石部金吉ぶりに次第に呆れ、諦める。途中、味方の部隊に合流し、一応手柄を上げるのだが、そのままその部隊にいれば2人とも昇任できそうなのに、ズラバエブは「本部に届けなければいけない」といって、その部隊をオガルコフを伴って離れ、再び2人きりの旅に戻る。

 まあ、ロードムービーのお約束で、次第に2人は少しずつ心の距離が縮まるが、決定的な事件が起きる。味方の兵が瀕死の重傷を負って倒れているのを見付け、助けるが、広い河に出て来たところで、オガルコフは怪我人を筏に乗せ、「2人で筏を押しながら泳いで渡ろう」と提案するも、ズラバエブは返事もしない。何と、ズラバエブは泳げないのである。……で、結局、オガルコフは、怪我人をまず対岸まで筏に乗せて運んだ後、筏と共に此岸に戻ってきて、今度はその筏にズラバエブを乗せて、自らは泳いでその筏を押しながら河を渡る。

 つまり、オガルコフは逃げる機会があるのに、律儀に大河を2往復し、しかも、2往復目は自分の見張り役で泳げないズラバエブをご丁寧に筏に乗せてあげたわけだ。これを機に、ズラバエブはオガルコフの逃走を警戒しなくなり、オガルコフも自らの死が待つ本部へとなぜか自発的に進むのである。

 終盤の展開が、非常に切なく、多分、本作を見る人はほとんどいないと思うけれど、それでもその展開をここには書く気になれない。書いてしまうと、何というか、本作を冒涜してしまうような気がする。それくらい、私には非常に胸に迫るものがあった。ズラバエブの石部金吉ぶりが、この終盤の展開に非常に生きてくる。

 戦争の不条理さとか、まあ、いろいろ意味づけは出来るだろうけれど、やっぱり映画は人間ドラマを描いてなんぼだろう、、、と改めて思わされる映画だった。ヘンなタイトルだったけれど、見て良かった映画です。
 

 

 

 

 

 

もっとマトモな邦題をつけて、大切に上梓してほしいですね、こういう良作は。

 

 

 

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コメント (2)
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