作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv65805/
以下、公式HPよりあらすじのコピペです。
=====ここから。
世界的なクラシックギタリストの蒔野聡史は、公演の後、パリの通信社に勤務するジャーナリスト・小峰洋子に出会う。ともに四十代という、独特で繊細な年齢をむかえていた。出会った瞬間から、強く惹かれ合い、心を通わせた二人。
洋子には婚約者がいることを知りながらも、 高まる想いを抑えきれない蒔野は、洋子への愛を告げる。
しかし、それぞれをとりまく目まぐるしい現実に向き合う中で、蒔野と洋子の間に思わぬ障害が生じ、二人の想いは決定的にすれ違ってしまう。
互いへの感情を心の底にしまったまま、別々の道を歩む二人が辿り着いた、愛の結末とは―
=====ここまで。
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先日のロシア行きの機内で鑑賞。原作者の平野啓一郎の小説は一つも読んだことがないけど(単なる食わず嫌い)、彼のTwitterはときどき見ていて、本作のこともしょっちゅうツイートされていたので本作の雰囲気は何となく感じていました。主演の石田ゆり子のインスタもネコが可愛いので時々見ているけど、そちらでも本作に関連する画像がアップされていましたねぇ。
ラブストーリーは得意分野じゃないんだけど、飛行機の中であんまり頭を使う映画は見られないタチなので、本作なら軽めに見られるかな、と思って見てみた次第。……まぁ、作品の雰囲気は予想どおりでありましたが、ちょっと思うところもあり、一応、感想文を書いておこうと思います。
福山ファンの皆さんは、以下、お読みにならないでください(悪意はありませんが、悪口になっちゃっていますので)。
◆箱庭で繰り広げられるオサレな恋愛劇、、、ってか。
まぁ、本作は、福山ファンが見れば楽しめる映画なんだろうなぁ、、、、というのが率直な感想。
で、福山ファンでない私にとっては、正直言って、結構見ているのがキツかった。
福山(呼び捨て御免)演ずる蒔野が、ギタリストとして何に苦しんでいるのか、よく分からない。そもそも彼のキャラが好きじゃない。序盤の、エピソードを語るシーンとか、ゼンゼン笑えず。見かけによらず三枚目キャラ、、、ってのを描いているんだろうが、逆効果。むしろ“ヤなヤツ、、、”と思ってしまった。洋子に思いを打ち明けるときの言い回しとか、、、。原作小説のままセリフに起こしたんだと思われるが、福山の演技がすご~くセリフを言っている感満載なのもアレだが、「あなたが死んだら、おれも自殺する」って、言われて嬉しい告白なんだろうか??とかね。同じことを言うにも、言い様があるだろうと。「僕の人生を貫通した」とかも、、、うぅっ、ゴメンナサイ。
それから、これは個人的な好みであって福山のせいでは全くないが、スローモーションを多用しているのがダサくてダメだった。スローモーションは使い方次第だから一概に否定はしないが、あそこまで多用すると、何というか、監督のセンスを疑ってしまうレベル。映像は全般にキレイだが、そういう意味では工夫が足りないのでは。……そのスローモーションを、蒔野がコンサートで壊れちゃうシーンでこれでもか、ってくらい使っていて、何か見ていて恥ずかしくなってきてしまい、、、。挙げ句、蒔野はステージ上で絶叫(?)するんだけど、その演出はクサすぎない?? 説明的なカット割りが多いのも気になった。
あと、私は、メール(というか、ライン?SMS?)で、長文書いてくる男はキライなのだ。しかも、この蒔野の文は、セリフと同様、小っ恥ずかしいのオンパレードで、あんなん送られて喜ぶ40代女性って、、、ちょっとイタい? 多分、小説内であれば、もうちょっと許せるんだろうけど、映像で見せられるとキツいっす。
ネットの感想では概ね好評みたいで、中には酷評しているのも目にしたが、たった2回しか会っていないのに人生を賭した愛だなんて??みたいなのも結構あった。私は、そういう出会いはアリだと思うので、ゼンゼン問題ないと思う。ただ、福山の演技に説得力がないんだよねぇ、残念ながら。演出のせいもあるかも知らんが……。『そして父になる』ではまあまあだと思ったが、本作での福山は、やっぱり大根だと思った(すんません)。表情も乏しいし、台詞回しも一本調子というか。
一方の洋子さんもねぇ、、、。石田ゆり子はキレイだったけど、あんまし魅力のあるキャラに思えず。フランス語と英語が流暢なフランス在住のジャーナリスト、、、っていう設定だけで、なんかウソ臭さが漂う上に、ゆり子さんのフランス語と英語はお世辞にも板に付いているとは言えず、日本語のセリフも、あれは演出なのか分からんが、しゃべり方が妙に芝居がかっていて、しかも語尾が「~だわ」「~なのよ」という、イマドキ誰がそんなしゃべり方してんねん!というようなヘンな言い回しで、なんだかなぁ、、、であった。
洋子さんの婚約者役の伊勢谷友介は、英語のセリフしかなく、それがまた何とも、、、(以下略)。
蒔野と洋子を邪魔する、蒔野のマネージャー役を演じた桜井ユキという女優さんは、初めて名前と顔が一致したが、誰かに似ているなぁ、、、と思いながら、思い出せずにいたんだけど、市川実和子だね。同じ系統の顔というか。演技も何となく、、、。
この蒔野と洋子のすれ違いについて、ネットでは多くの人がツッコミ入れていて、まぁ確かにツッコミ所が多い。けれども、ああいうすれ違いって、概して客観的に見れば「……何で??」と思うような些細なものだったりするわけで、そこはまぁ、あんまし突っ込む気にはならないです、はい。
……まぁ、でも邦画にしては健闘している方かも。一応、大人の恋愛モノにはなっている気がしたし。とはいえ、ストーリー的にはありきたりで、ありきたりでも良いけど、見ていて切なくなるわけでもなく、結局、私は、本作の最初から最後まで、ものすご~く引いて見てしまっていたのだった。役の誰にも共感することなく、まさに“作りモノの世界”で右往左往する“登場人物”を演じる俳優たちを、箱庭でも眺めるかのような悟りの境地で眺めていた感じ。
◆過去は変えられる、、、とは。
だったらわざわざ感想を書くまでもないのだが、1コだけ、“まぁそうだよね”と思ったことがあったので。これは、平野啓一郎氏のTwitterで見ていたから知っていたんだが、“過去は変えられる”という本作の主題について。
これについては、私もずっとそう思っていたので、本作を見る前から、共感できるポイントだった。過去のどんなに辛い出来事も、良い出来事も、振り向く地点によって見え方や捉え方や感じ方が変わるってことは、実感としてある。
ただ、本作での描かれ方は、ちょっと私の実感とは違ったけどネ。原作小説ではどう書かれているのか知らないけど、蒔野という男、ものすごく受け身な描かれ方なんだよね。私の実感としては、能動的な、つまり、自分がどうあるか、によって変わる、、、という感じなのだよね。自分がどうありたいか、という思考回路に基づいた積極的な行動がないと、過去を変えるのは難しいという気がする。
だから、蒔野はギタリストとして本作の中で、ちゃんと自力で壁を克服したのか? という点が私には見て取れなかったので、なんかイマイチな感じしか抱けなかったんだと思う。洋子との出会いが偶然なのは当然として、すれ違いも唯々諾々と受け容れてマネージャーと結婚して、、、恩師が亡くなったことでその追悼CDを出さないかと打診されてギタリストとして復活して、、、と、どれも流されているようにしか見えず。そもそも何に苦しんでいたかも分からないんだけどサ。
……まぁ、でも、そんな哲学をこの映画に求めること自体が筋違いなんだよね。少なくとも、この映画の持つ雰囲気からして、オシャレな大人の恋愛映画、、、って位置づけにしか見えないし。もっと言えば、2時間ドラマでも良いくらいな中身になってしまっていたと思うので。脚本が井上由美子さんなので、もう少し深みがあっても良いのではないか、、、と思うが、その辺が原作モノの映像化の難しさかも知れませぬ。
◆再び、フクヤマについてとかその他もろもろ、、、
申し訳ないんだが、福山のどこがイイ男なのかが理解できない。強いて良いと言えば声くらい? 私が苦手なのは、彼の笑顔、、、特に口元。あと、これは加齢のせいだと思うが、やっぱり顔の輪郭線がぼやけているので、特に横顔の顎から首に掛けてのラインは見るに堪えない。同い年のゆり子さんはキレイなラインを保っているから余計にね、、、。
音楽は、クラシックギターを福田進一氏が担当していて、それは非常に良かった。まぁ、機内で見たからあんまし音楽を堪能するって感じでもなかったのだが、サントラちょっと興味ある。福田氏の演奏会には何度か行ったことがあるし、やっぱり彼のギターを聴くと、まさに“命の洗濯”をした気分になるのだ。この映画のおかげで、彼のコンサートのチケットは取れないんだとか。ブームが収まるまで待ちますか、、、。
あ、それから話題の、福山とゆり子さんのキスシーンだけど、、、。ううむ、あんまし美しいと思えなかった。官能的でもなかった。これはひとえに、福山のせいだと、私は思っている(ま、監督が一番悪いんだが)。なぜかって、ゆり子さんはとってもキレイで色っぽかったから。福山、ラブシーンも下手……というか、色気ないね。もう、あんましこれからやらない方がイイと思う。ラブシーンってのは、熱演すればいいってもんじゃなく、特にこういうプラトニック系ラブストーリーの場合、“いかに美しく色っぽく見せるか”がポイントなわけで、そういう意味で、福山はこのキスシーンの意味を捉え違いしている(勝手に決めつけてすんません、飽くまで私の勝手な意見です)。一生懸命ナニしていたけど、力入れるとこ、そこじゃないから、、、、って感じやった。あれじゃぁ、ゆり子さんも気の毒だ。
風吹ジュンが何気にステキだった♪