**宮殿の並ぶ街**vol.6
関連映画:『マチルダ 禁断の恋』(2017)
その⑤につづき
【4日目のスケジュール】~エカテリーナ宮殿&モスクワ移動
エカテリーナ宮殿 → 昼食 → 高速列車にてモスクワへ → ホテルで夕食
☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜
今日は、夕方モスクワへの移動。しかも電車で! 電車で移動できるからこのツアーを選んだと言ってもいいくらい。楽しみ~ でも、その前に、こちらも楽しみなエカテリーナ宮殿の観光。何と言っても、あの『おろしや国粋夢譚』のロケが行われた場所。
出発はこれまでより少し早めの9時ちょうど。
ホテルのロビーで集合。中央の髪の長い女性がナターシャさん
サンクトペテルブルクのホテルからは、バスで40分くらい。10時に開くので、やはり今日も少し待つことに、、、。バスからは宮殿のそばで降ろされて、ちょっとだけ歩いて庭園の方へ。ご覧の通り、この日は薄曇りで、寒い。
池が凍っている、、、
『おろしや国粋夢譚』で、大黒屋光太夫がラックスマンと馬車を降りたのは、こちら側ではなく、多分、反対側の方だったのではないか、、、。ちょっと風景が違う。光太夫が宮殿を見てギョッとする豪華な門が見当たらない、、、。(これ、実は内部から外を見たとき見えたのだけれど、写真撮りそびれました)
凍った池から宮殿を見る
白い箱状のものがいくつか見えるが、これは冬の間は大理石の彫像を覆っているのだとか。水分を含んで凍って破裂するのを防ぐのだそう。どんな彫像があったのかしらん。
時間になったので、入口へ。こちらも荷物は小さいバッグ一つだけ。あとはクロークへ預け、さらに脚カバーを履かされる。建物内はとっても暖かいのでコートなしでOK。
で、いざ、中へ入って、まずは正面玄関、、、。
赤いカーテンが美しい
これ、映画の中でも光太夫を演じる緒形拳が上がって行った階段。ちなみに、お花は造花だった、、、。ま、しょーがないよね。
伊万里焼がはめ込まれた装飾
階段を上がって、すぐに大広間が、、、。
ここで、光太夫がエカチェリーナ2世に謁見したのであった、、、。映画では、緒形拳が義太夫を謡っていたけど、あれは完全な創作みたい。ドイツに破壊されて修復し、この部屋だけで金が7キロ使われたんだとか。
天井画「ロシアの勝利」真ん中のブルーの円形にEの文字(エカチェリーナのE)
こちらにもEの文字
控えの間にあるデルフト焼きのペチカ
このペチカは、隣の部屋と共用で背中合わせで作られている。下部の金色の扉から薪を入れて焚いて、同時に2部屋を暖めることができるようになっている。こんなペチカがいくつもあって、暖かそう。
控えの間に辛うじて残ったというオリジナルの金の天使。ちょっと黒ずんでいるのが、オリジナルのもの。上の方にあるエカチェリーナの胸像も。あとは全て修復したもの。
黄金装飾の仕切り壁
アラベスクの間
このターコイズのようなブルーは、エカチェリーナ2世が大好きだった色だそう。この色の建物は、大抵、エカチェリーナ2世時代のものと思って良い、とナターシャさん。
黄金のアンフィラーダ
アンフィラーダとは“吹き抜け”のことらしい。井上靖の「おろしや国酔夢譚」にも描写がある。
「光太夫は夢心地になっていた。階段を上ると、左右に長い廊下が見渡せたが、光太夫は右手の方へ導かれた。寄せ木でいろいろな模様が描かれている恐ろしく長い廊下の床を、光太夫は一歩一歩足を運んでいった。光太夫には長い廊下と見えていたが、正確に言うとそこは廊下ではなかった。たくさん並んでいる部屋部屋の窓に近い入口の扉が尽く開けられると、一本の長い廊下となるように造られてあり、そこを光太夫は導かれて行ったのである。(中略)幾つかの部屋を通過して行った。赤大理石の間、青大理石の間、肖像画で埋めつくされた間、琥珀の間。」
赤大理石の間、青大理石の間、はよく分からないが、もしかするとコレかな。
緑のはピアノだそうな
肖像画の間にあったエカチェリーナ1世の娘のエリザヴェータ・ウナペトローヴナ
琥珀の間
琥珀の間は、撮影禁止とネットのにわか予習で見ていたのだが、今回のツアーでは撮影OKだった。それとも、ナターシャさんが禁止し忘れたのか?? 皆さん撮影していました。
ナチスに徹底的に収奪され破壊されたものを、1,000万ドル以上かけて(ドイツも出資している)20年かけて修復したってんだから、ものすごい執念。モノクロの戦前の写真を基に修復したそうだが、よくぞまぁ、、、という、溜息しか出なかった。
絵画の間
“寄せ木でいろいろな模様が描かれている”床
緑の食堂
ロマノフ朝の系図
下から上へと描かれているらしい。一番上が、ニコライ2世の5人の子だと思う。
……というわけで、何だかんだと1時間ちょっとの観覧を終え、昼食のためにサンクトペテルブルクへと戻るのだが、、、、。
その⑦へつづく