あじさいは私達が花だと思ってみているものは「萼(がく)」で、本当の花ではないのです。
あじさいの生殖
あじさいには装飾花と両性花があり、両性花にはおしべとめしべがあります。
注目することは少ないかもしれませんが、受粉した両性花には果実ができて、その中には種子が入っています。
お店で売られているようなあじさいは、挿し木などの方法で増やしていることがほとんどですが、
自然の中のあじさいは種子を作って子孫を残しています。
こんな植物です
アジア、北アメリカに約40種類が分布する低木で、日本には約10数種があります。アジサイの花は両性花(完全花)と装飾花(不完全花、中性花)の2種で構成されています。両性花は生殖能力のあるいわば花の本体で、雄しべと雌しべを持ちますが、開花してもあまり目立ちません。装飾花は大きな花びら(じつは萼)をもっていますが雄しべや雌しべが退化しており、実を結ぶことはありません。アジサイの花を見て多くの人が「外見上の花」と認識している部分はたいがいが装飾花だと思います。
土の酸度がひとつの要因となって(装飾花の)花色が変化し、アルカル性で赤っぽく、酸性で青っぽくなるとされます。その性質を利用して西洋アジサイは酸度調整によって花色を変化させた鉢花が出回ります。しかし、種によって変化には強弱があり、例えばヤマアジサイは酸度によって影響される変化は弱く、一概にすべてのアジサイに当てはまる性質とは言えません。
属名のハイドランジアはギリシア語のハイドロ(水)とアンジェイオン(容器)からなり「水の器」「水がめ」と解釈されます。 これはアジサイが根から非常に水をよく吸うから、果実の形が水がめの形に似ているからなど諸説がありはっきりません。
シーボルトはアジサイにハイドランジア・オタクサという学名を付けましたが現在では使われていません(シーボルト以前に違う学名を命名・発表していた人がいたので)。 また、オタクサの名前はシーボルトの愛人「楠本滝~通称、お滝さん」の名前から付けられたと、植物学者の牧野富太郎は推測しています。
主な仲間
〔〕内は学名、H.はHydrangeaの略
アジサイは非常に多くの形態があり、広く「アジサイの仲間」とし認識されているものには主に以下のようなものがあります。
ガクアジサイ〔H.macrophylla f. normalis〕
日本に分布、漢字で書くと「額紫陽花」で両性花の周りに咲く装飾花を額縁に見立てたのものです。アジサイの仲間の花姿は本種が基本タイプとなります。
アジサイ〔H. macrophylla〕
両性花がすべて装飾花に変化したガクアジサイの1タイプと言われており、日本では古くから親しまれています。狭い意味でアジサイというと本種を指し、あまり使いませんがホンアジサイの呼び名もあります。ユニークな品種に装飾花が丸みを帯びるウズアジサイ〔f. concavosepala〕があります。
ヤマアジサイ〔H. serrata = H. macrophylla sub. serrata〕
ガクアジサイを小ぶりにしたような花姿で、どことなく野趣があります非常に多彩な品種があります。代表的な品種にシチダンカ〔f. prolifera〕があります。
アメリカノリノキ〔H. arborescens〕
北アメリカに分布、園芸品種の’アナベル’〔cv. annabelle〕は球状に固まったボリュームのある白花を咲かせます。
ノリウツギ〔H. paniculata〕
低木が多いアジサイの中では高性で、樹高は5m近くに達します。円錐状の花穂からピラミッドアジサイとも呼ばれます。花色は白で、品種のミナヅキ〔f. grandiflora〕は大きな花穂が美しい。樹皮から採れるねばねばが和紙のつなぎ(糊)となったので、この名前があります。
カシワバアジサイ〔H. quercifolia〕
北アメリカ原産、葉が落葉樹のカシワに似ているのでこの名前があります。花色は白、円錐状に咲く花が特徴的です。
タマアジサイ〔H. involcurata〕
日本に自生する種で、つぼみがまん丸で玉のように見えるのでこの名前があります。
西洋アジサイ〔H. macrophylla f. hortensia〕
日本に自生しているアジサイが中国経由でヨーロッパに渡り、そこで品種改良され、日本に逆輸入されたものの総称です。花色が豊富で主に鉢花で扱われているアジサイの主流です。装飾花だけの品種もあれば、両方の花を咲かせる品種もあります。従来のアジサイと区別するために属名の「ハイドランジア」の名前で呼ばれることも多い。