中国、過去5年分の成長率とGDPを上方修正 【これだけ知っトクNews(1月24日版)】
2020.01.24(liverty web)
「これさえ知っていれば、世の中の流れをつかめる」というニュースを、編集部がピックアップ。そもそモグラ博士が、ひと言コメントしてお送りします。新聞の代わりとして、ニュースチェックの習慣づくりに、ご活用ください。
(1) 中国、過去5年分の成長率とGDPを上方修正
(2) イギリスのEU離脱法が成立
中国、過去5年分の成長率とGDPを上方修正 【これだけ知っトクNews(1月24日版)】
2020.01.24(liverty web)
「これさえ知っていれば、世の中の流れをつかめる」というニュースを、編集部がピックアップ。そもそモグラ博士が、ひと言コメントしてお送りします。新聞の代わりとして、ニュースチェックの習慣づくりに、ご活用ください。
(1) 中国、過去5年分の成長率とGDPを上方修正
(2) イギリスのEU離脱法が成立
オーストラリアの大規模な山火事 原因は地球温暖化という印象操作
2020.01.23(liverty web)
《本記事のポイント》
今回の火災で燃えたのは1000万ha。昨年は5000万ha燃えている
オーストラリアの学者は、森林火災の13%は放火で、37%は放火の疑いがあると指摘
人為的な影響を無視し、地球温暖化が原因と断定的に報じる印象操作
森林火災による大規模な被害が起きたオーストラリア。多くのメディアは、1000万ヘクタール(ha)以上を燃やし尽くしたこの事件を、地球温暖化が進んでいるとの文脈で報じ、一部メディアは「地球の未来にはこのような事態が待ち受けている」かのように悲観的に伝え、国民の恐怖心を煽っている。
だが、冷静になって考えたいのは、「本当に地球温暖化と関係しているのか」ということだ。
オーストラリアが温暖化対策に消極的なためか
グローバル・ワイルドファイヤー・インフォメーション・システムのデータをみると、オーストラリアで発生した森林火災は、確かに増加傾向にある(グラフ参照)。
しかしその一方で、マスコミが大きく取り上げた焼失面積は、減少傾向を見せているのだ。例えば2018年は、5000万haを超える面積が燃えている。
つまり、焼失面積の大きさを基準に、今回の火災を異常気象として報じるのは、客観的な見方ではない。残念なことに、オーストラリアにとって森林火災は、毎年起きる"風物詩"のようなものになっている。
なぜ今回の事件がこれほど騒がれるようになったのか。それは、冒頭で紹介したように、地球温暖化の脅威論を煽る風潮が強まっているためだろう。
オーストラリアは、世界の温室効果ガス排出量に占める割合が1.3%に上る。しかし国民1人当たりの排出量に置きかえると、世界で2番目に排出している国となる。
また森林火災が増えれば、地球温暖化の脅威論者が憎む二酸化炭素が多く排出される問題がある。今回の火事では、「約4億トンの二酸化炭素が排出された」と推定する見方もある。
今回の事件をきっかけに、オーストラリア政府に対し、地球温暖化対策を本格化させたい左翼的な各国マスコミの意図がうかがえる。同国は昨年、日本と同じく、地球温暖化対策に消極的であるとして「化石賞」を贈られた経緯もある。
地球温暖化が原因と断定できるのか
一方で、日本を除いた多くの外国メディアで物議を醸したのは、オーストラリアではここ数カ月の間に、地元警察が放火の疑いなどで183人を調査したということだ。
オーストラリアで実施された2008年の調査によれば、「山火事の約85%が人為的な影響だった」という。また同国のモナシュ大学のポール・リード上級講師は、森林火災の13%は放火であり、37%は放火の疑いがあると指摘している。
子供の火遊びやバーベキューなどで火災が発生することも、オーストラリアでは問題となっている。
火事の原因を究明することなく、一方的に地球温暖化が原因であるかように報じるやり方は、典型的な印象操作と言える。もし森林火災を抑制したいのであれば、人間がしっかりと火を管理すること、そして荒れた森を管理し、延焼を防ぐといった、人間と自然の共生に向けた対策を呼び掛ける方がいいのではないだろうか。
(山本慧)
【関連記事】
2020年2月号 2020-2030 世界を読む Part 2 - 矛盾だらけの「地球温暖化説」
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2019年12月号 グレタさん演説に注目 「CO2温暖化説」はゼロから検証を - ニュースのミカタ 3
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2020年1月15日付本欄 地球環境論の見方(1)地球温暖化について 【HSU・木村貴好氏の連載・番外編】
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迫勝則氏による新刊『マツダ最強論』 100周年を迎えるマツダの「ブランド力」とは【書評】
2020.01.23(liverty web)
迫 勝則
プロフィール
(さこ・かつのり) 1946年、広島市生まれ。山口大学経済学部を卒業後、東洋工業(現・マツダ)に入社。2001年に退社し、広島国際学院大学で教鞭を執る。現在、テレビ番組「Eタウン・SPORTS」(RCC)でコメンテーターを務める。『カープを蘇らせた男 球団オーナーのどえらい着想力』『カープの美学』『さらば、愛しきマツダ』など著書多数。
『マツダ最強論』
迫勝則著
溪水社
本誌2019年6月号で取材した『カープを蘇らせた男 球団オーナーのどえらい着想力』の著者・迫勝則氏が、このほど『マツダ最強論』を発刊した。
迫氏は、「飛翔する翼」を象ったマツダのブランドシンボルの制作責任者を務めるなど、同社のブランド戦略を担った人物。新刊では、広島で誕生した東洋コルク工業(現・マツダ)が、原爆の悲劇を乗り越えながらも、技術力や独自性というブランドを守り続け、「世界のマツダ」へと成長していった経緯が描かれている。
特に、一度は米フォードの傘下に入ったものの、そこから学ぶべきものを学びつつ、自社の強みを手放さなかったというのは印象的だ。
迫氏は、フォードの傘下に入ったことにより、マツダは「徹底した合理主義」や全社で問題解決にあたる「公開主義」、事なかれ主義を脱する「ディベート主義」を学んだと記している。
マツダが逆境の中でも自社のブランドを"捨てなかった"ことが、その後の躍進につながっているのだろう。
マツダ社員一人ひとりの「世に出す商品すべてにおいて『世界一』を目指す」という心意気が伝わってくるようだ。創立100周年を迎える同社の、誇りと志が込められた一書。
【関連記事】
2019年6月号 球団オーナーが、地域への愛を語る カープは「恩返し」で強くなる
https://the-liberty.com/article.php?item_id=15669
ファーウェイのCFO解放デモの参加者は雇われていたことが判明 【これだけ知っトクNews(1月23日版)】
2020.01.23(liverty web)
「これさえ知っていれば、世の中の流れをつかめる」というニュースを、編集部がピックアップ。そもそモグラ博士が、ひと言コメントしてお送りします。新聞の代わりとして、ニュースチェックの習慣づくりに、ご活用ください。
(1) ファーウェイのCFO解放デモの参加者は雇われていたことが判明
(2) 北京と協定を解消したプラハ市長、中国への不信を表明
(3) 東京オリンピック期間中の終電時間を延長
台湾経済が急成長 企業の国内回帰で強い国へ
2020.01.22(liverty web)
蔡英文政権下の台湾経済が絶好調だ。
台湾の行政院によると、2019年10~12月の実質GDP成長率は前年同期比で3.38%だった。成長率3%台の達成は6年四半期ぶりとなる。
米中貿易戦争のあおりを受ける国も少なくない中、台湾の経済成長を大きく後押ししたのは、生産拠点を中国から台湾へ回帰する企業への優遇政策だ。
米中貿易戦争を逆手に取る蔡英文政権
アメリカによる制裁関税等で財政難に陥った中国の各地方政府は、中国国内の台湾企業への優遇政策を縮小。人件費の上昇によるコストも増大し、さらに税金や寄付金の取り立てを強化するなど、台湾企業への負担は大きくなっていた。
蔡英文政権はこの状況を逆手にとった。台湾企業が中国から撤退しやすいよう、台湾での土地取得や外国人労働者の雇用に関する規制を緩和。台湾へ戻る企業への融資の際には金利を0.5%引き下げ、初年度と2年目における法人税の軽減などを実施した。
その効果は劇的で、高雄市西部のある工業団地では余っている土地がなくなり、団地内のテニスコート、女子寮、消防署までも取り壊され、工場に改造されているという。またアップルなどIT大手の機器生産を担う企業も、生産を台湾に回帰する動きが活発になった。
2019年10~12月は、台湾企業の設備投資をはじめとした資本形成が前年比で10.72%増加し、予想を6ポイント強上回った。同年、台湾に呼び戻す投資の申請総額は2.6兆円規模にのぼった。
台湾行政院によると、今年2020年の年間GDP成長率予測は前年比の2.72%と、昨年並の安定成長となる見通しだ。
自国ファーストの経済成長
アメリカも似た方法で国内経済を回復させている。海外から生産拠点を戻すときに、企業への法人税を軽減するレパトリエーション減税だ。トランプ大統領が打ち出す経済政策「トランポノミクス」の一環で実施され、企業の納税額の増加、雇用拡大の成果を生んでいる。
安倍晋三首相は昨年12月に中国・北京を訪問し、習近平中国国家主席と「日中新時代」を切り拓くことを確認した。しかし、中国はすでにバブル経済が崩壊しているとも言われる。日本はこのまま中国依存の経済を続けていてはいけない。
いまの日本に必要なのは「ジャパン・ファースト」の経済成長だ。大規模な減税で経済を活発化させ、規制緩和によって事業・研究開発をしやすい環境を整えることで海外の日本企業を国内に呼び戻すことができる。中国の不況を逆手にとって発展する台湾に見倣いたい。
(幸福実現党 久村晃司)
【関連書籍】
『自由・民主・信仰の世界』
大川隆法著 幸福の科学出版
『富の創造法』
大川隆法著 幸福の科学出版
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2019年12月24日付本欄 日中首脳会談が開催 「日中新時代」の中国との付き合い方とは
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2019年7月号 釈量子の志士奮迅 [第81回] - 「バイ・ジャパニーズ」で 貿易戦争を乗り切る
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ニュースター・プロダクション 舞台「ロミオとジュリエット」を上演
2020.01.22(liverty web)
ニュースター・プロダクションの次世代若手俳優による、シェイクスピアの代表作「ロミオとジュリエット」の舞台が、2月8日(土)~2月9日(日)の日程で、HSU未来創造・東京キャンパスシアター(東京都江東区)で上演される。
同舞台は、ファン感謝イベント「I'm a Believer!」の中で上演。他にも、ダンスパフォーマンスや歌手・恍多(こうた)によるスペシャルLIVE、研修生プラスによるミニステージなども行われる。
公演スケジュールは、以下の通り。
2月8日(土)12時~14時30分(Aキャスト)
2月8日(土)16時30分~19時 (Bキャスト)
2月9日(日)12時~14時30分(Bキャスト)
2月9日(日)16時30分~19時(Aキャスト)
お申し込みは、下記より。
https://newstarpro.co.jp/2019/4681/
【関連サイト】
NEW STAR PRODUCTION 公式サイト
https://newstarpro.co.jp/
NEW STAR PRODUCTION 公式ツイッター
https://twitter.com/NewStarPron
マイナンバーと預貯金口座の紐づけが義務化? 【これだけ知っトクNews(1月22日版)】
2020.01.22(liverty web)
「これさえ知っていれば、世の中の流れをつかめる」というニュースを、編集部がピックアップ。そもそモグラ博士が、ひと言コメントしてお送りします。新聞の代わりとして、ニュースチェックの習慣づくりに、ご活用ください。
(1) マイナンバーと預貯金口座の紐づけが義務化?
(2) 小泉環境大臣、石炭発電所の建設に懸念を表明
民進党幹部が語る、蔡英文の勝利と台湾の未来
2020.01.21(liverty web)
1月11日に投開票された台湾総統選は、蔡英文総統が過去最多の817万票の得票により再選された。同時に行われた立法議員選挙でも、与党・民進党は、過半数となる61議席を確保した。民進党幹部として中台政策の立案に関わる林琮盛氏に、今回の選挙をめぐる情勢について聞いた。
(取材・編集 幸福の科学 国際政治局長 藤井幹久)
◆ ◆ ◆
民主進歩党 中国事務部主任
林琮盛
プロフィール
(りん・そうせい)(Johnny Lin)1978年、台南市生まれ。国立政治大学大学院を卒業。「聯合報」や「旺報」の駐中国特派員記者を務めた後、民進党の報道官などを歴任し、現職。
──今回の選挙戦で、民進党は勝利しました。
台湾人の多くが、主権、自由、民主主義を守るという、民進党の政策綱領を支持しました。もし、台湾の主権がなくなれば、経済も立ち行かなくなります。台湾人が自由と民主主義の価値を尊重したことは、台湾にとって重要なことでした。
蔡英文の再選までの道のり
──わずか約1年前の2018年11月の統一地方選では、民進党は敗北しました。
今回の選挙までに、五つの転換点がありました。第一は、19年1月2日に、習近平国家主席による「一国二制度による台湾統一」の発言に対して、蔡英文総統が直ちに拒絶の意思を表明したことです。蔡総統の強いリーダーシップは、多くの台湾人の期待に応えるものでした。
第二は、19年1月から3月に行われた立法議員の補欠選挙です。民進党は6議席のうち3議席を獲得しました。このあたりから党勢が戻ってきました。
第三は、昨年3月に、総統予備選に頼清徳(前行政院長)も立候補したことで、支持者に刺激が生まれました。蔡総統が予備選に勝利することになりましたが。
第四は、昨年6月以降、香港でデモが発生したことです。このときも、蔡総統は迅速に対応しました。こうした行動は、台湾の有権者の心をつかむことになりました。
第五は、昨年11月、香港での区議会議員選挙で、民主派が大勝したことです。台湾の選挙にも、追い風になりました。こうして民進党が勝利することになりました。
また、今回の選挙では、「私たちには、政治を変える力がある」と信じた若者たちが意思表示をしました。このことは、あまり他国にはみられない状況だと思います。
中国との「平和協定」を拒否する
──民進党と国民党では、中国に対するスタンスが大きく異なります。
国民党は、中国との「平和協定」の実現に意欲を見せていました。しかし、私たちには絶対に受け入れられません。なぜなら、「一つの中国」の原則に基づくものだからです。もし、中国と「平和協定」を結んでしまったら、台湾は追い詰められ、中国の圧力に抗することができなくなるからです。
国民党は、こうした協定が中台間の永続的な平和をもたらすとしていましたが、それは完全な誤りでした。中国共産党は、平和な関係だけに満足するはずがないからです。そうなれば、中国は、いずれ台湾を併合しようするはずです。
中国共産党は、台湾にある多くの会社を通じて、インターネット情報の操作を行ってきました。18年の地方選挙では、そうしたことによる影響がありました。罰則を設けることで、その意思を挫くことが必要です。昨年12月に「反浸透法」が可決されたので(蔡英文政権は、1月15日に施行を発表)、今後、その効果が期待されます。
※「反浸透法」……国外敵対勢力からの指示や資金援助による選挙に関する活動に対して、5年以下の懲役を科すなどを内容とする。
──選挙中は、海外から中国民主活動家の視察団も訪台していました。
中国政府からは「政治犯」とされる人たちですが、中国を民主化して自由な国にすることを願う人たちです。中国共産党は権力を手放さないので、それは長い道のりになるのかもしれません。習近平氏は権力を強化してきているので、楽観的な見通しは持てません。
緊密化する米台関係
──トランプ政権は、台湾を守る意思を明確にしています。
米台関係は、かつてないほど緊密です。昨年、アメリカは台湾に対して、最新鋭の武器売却を許可しました。台湾にミサイル、F16戦闘機、戦車を売却しています。もし、アメリカが台湾を見捨てるつもりならば、こうした動きをするはずがありません。アメリカは台湾を防衛するでしょうし、台湾も、みずからの意思と能力により自衛することができます。
日台の関係強化を期待
──今春に、安倍首相は、習近平国家主席を国賓待遇で招こうとしています。
安倍首相には、日中関係が悪化することへの恐れがあるのかもしれません。しかし、地政学的にみれば、台湾は、日本、韓国、アメリカにとって非常に重要です。日米にとって、台湾を失うことはできないはずです。
──幸福実現党は、日台の国交回復を提唱しています。
現在、日台関係は非常に緊密になっています。容易なことではありませんが、台湾人の多くは日本との外交関係を望んでいます。私たちは、その困難さが高いことも知っています。
しかし、日台間の実質的な協力も期待したいです。例えば、米国政府の現職高官が台湾を訪問しています。最近の(軍用ヘリ墜落事件の)葬儀には、米国防総省の空軍准将も参列していました。このようなことは、日本政府ではあまり見られません。日本は、もっとやればいいと思います。どんどん関係を深めていけると思います。
【関連記事】
2019年9月29日付本欄 「今日の香港は明日の台湾」 台湾で高まる「香港革命」への連帯 - Interview 林飛帆氏
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2020年1月8日付本欄 香港区議・梁翊婷さん「殴られても逮捕されても、民主を求める香港人の声を代弁したい」
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民主主義を決して受け入れない中国共産党 【澁谷司──中国包囲網の現在地】
2020.01.21(liverty web)
《本記事のポイント》
香港の「民主化」デモに、さらなる強硬姿勢を見せる中国
台湾を「覚醒」させた習近平の焦り
民主主義の意義を理解せぬ中国
「中国政府 対 香港・台湾」の意志の相違が、いよいよ先鋭化してきている。
2019年11月24日、香港では区議会議員選挙が行われ、「民主派」が地滑り的に勝利した。しかし中国政府が、妥協する気配はない。
中国政府は2020年の年初、中央人民政府駐香港特別行政区連絡弁公室(以下、中連弁)の王志民主任を事実上、更迭した。王氏は2017年から、中連弁のトップを務めていたが、デモの制圧に至っていない。その責任を取らされたのである。
後任になったのが、駱恵寧(前山西省党委員会書記)だ。同氏は、王前主任よりも「強硬派」と言われる。
駱主任は着任直後の1月9日、林鄭月娥(キャリー・ラム)香港行政長官と会い、「香港の暴力・混乱阻止、及び秩序回復」を確認した。今後は、2人で協力して香港の民主化デモを鎮圧して行くのではないか。
目下、香港では、警察によって「自殺させられる」デモ参加者が多数出現している。ある調査では、昨年6月12日から今年1月1日までに、香港で発生した自殺数は416件。その中で"飛び降り"が全体の261件で1番多い。その次は、"溺死"で39件にのぼる。
中国政府は、香港の「民主化」を何が何でも阻止するつもりだろう。
台湾を「覚醒」させた習近平の焦り
一方、1月11日、台湾では総統選挙と立法委員選挙が行われた。既報の通り、香港「民主化」デモの影響を受けて、中国と距離を取る民進党の蔡英文総統が、中国共産党に近い野党・国民党の韓国瑜候補を大差で破って再選されている。
同選挙では、立法委員選挙における、与党・民進党の過半数割れが危惧されていた。しかし、民進党は単独過半数を獲得し、行政府と立法府の"ねじれ現象"を回避できた。かつて陳水扁総統(当時)は、立法院では少数与党で、政権運営が困難を極めた。その時代に逆戻りせずに済んだのである。
ある意味、"完敗"した中国政府だが、選挙の翌12日、耿爽(こう・そう)中国外務省副報道局長は、蔡総統再選に日米英が祝意示したことに関して、「『一つの中国』原則に反するやり方で、強烈な不満と断固とした反対を表明する」とコメントを出した。
習近平政権は、焦って香港をできるだけ早く「1国2制度」から「1国1制度」に変えようとした。これが間違いだったのである。
香港の状況を見ている台湾人が、「1国2制度」を受け容れるはずはないだろう。
民主主義の意義を理解せぬ中国
1番の問題は、中国共産党が民主主義の意義をまったく理解していない点だ。
もちろん民主主義には様々な欠陥があるが、人類の歴史の中では"比較的まともな政体"だと思われる。
しかし近代中国は、列強から「半植民地化」されても、民主主義を学ぶチャンスがなかった。これが彼らにとって"不幸"だったのである。
中国は現代においても、ほとんど民主主義とは無縁だった。1974年以降、世界的な民主化の高まり(「第三の波」)の中、唯一、1970年代末から80年代にかけて、中国でも民主化運動が起きたが、89年の「天安門事件」で同国の民主化は完全に挫折した。
また、今の中国共産党は、いったん権力を掌握した以上、その権力を絶対、他者に渡さないだろう。同党の"黒歴史"が暴露され、厳しい責任追及を逃れられないからである。
結局、中国共産党幹部は、いまだに「"孫子"の世界」に住んでいるのではないか。そのため、彼らは、国内外は権謀術数と疑心暗鬼にまみれた世界でしかないと考える。
その中で、どう生き残るかが、彼らにとって最重要関心事なのだろう。
拓殖大学海外事情研究所
澁谷 司
(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~2005年夏にかけて台湾の明道管理学院(現、明道大学)で教鞭をとる。2011年4月~2014年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界新書)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。
『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』
澁谷 司著
経済界
『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』
澁谷 司著
電波社
【関連書籍】
『愛は憎しみを超えて』
大川隆法著 幸福の科学出版
【関連記事】
2020年1月14日付本欄 IR汚職事件 問題の企業は中国国営企業傘下だった 【澁谷司──中国包囲網の現在地】
https://the-liberty.com/article.php?item_id=16686
三菱電機、ハッカー集団からサイバー攻撃を受けていたことを発表 【これだけ知っトクNews(1月21日版)】
2020.01.21(liverty web)
「これさえ知っていれば、世の中の流れをつかめる」というニュースを、編集部がピックアップ。そもそモグラ博士が、ひと言コメントしてお送りします。新聞の代わりとして、ニュースチェックの習慣づくりに、ご活用ください。
(1) 三菱電機、ハッカー集団からサイバー攻撃を受けていたことを発表
(2) IR基本方針先送り カジノめぐる汚職事件受け
愛媛の伊方原発3号機が運転差し止め 広島高裁が考えるべき「リスク」
2020.01.18(liverty web)
《本記事のポイント》
広島高裁が伊方原発3号機を運転禁止に
「ゼロリスク」には無理がある
日本が無視できない「中東リスク」
広島高等裁判所は17日、愛媛県にある四国電力の伊方原発3号機の運転差し止めの仮処分を決定した。運転禁止を求めたのは、伊方原発から50キロ圏内に位置する、山口県東部の3人の住民。
伊方3号機は昨年12月から、定期検査のため運転を停止している。今年4月末に定期検査が終わり、運転を再開する予定だったが、今後の司法手続きで再稼働が認められない限り、運転を再開できない。
今回の決定に対し、四電は、異議申し立てをする方針を明らかにした。今後、広島高裁の別の裁判長による異議審が開かれる見通し。
伊方原発は、愛媛県伊方町にある四国電力で唯一の原子力発電所。3号機は、1994年から運転を始めた。東日本大震災後は、新規制での審査に合格し、2016年に再稼働した。1号機・2号機は、廃炉が決まっている。
「ゼロリスク」には無理がある
今回焦点となったのは、活断層と火山のリスクだった。
四電は、新規制による審査に合格するため、詳細な調査を実施。原子力規制委員会は、「世界最高水準」といわれる新規制で審査し、再稼働を決めた。
しかし今回、広島高裁は、四電の調査を「不十分」と一蹴。極めて厳しい原子力規制委員会の判断を誤りとし、原発の再稼働に事実上の「ゼロリスク」を求めた。
伊方原発から130キロメートル離れた阿蘇山について、「約9万年前の過去の最大噴火を想定すると、火砕流が原発の敷地に到達する可能性が十分小さいとはいえない」というものだ。
「9万年もの間、リスクがゼロであることを証明できなければ、再稼働させない」と言っている。だが、そんな要求には無理がある。
さらに、活断層や火山の動きは、学者でさえ十分に予測することができない。阪神淡路大震災や東日本大震災、阿蘇山や御嶽山の噴火などの災害を予測できていなかったことが、それを物語っている。
「ゼロリスク」と言えるものは、この世の中に存在しない。
無視できないのは「中東リスク」
四電は、伊方3号機を再稼働できない分、火力発電での代替を余儀なくされる。そのため、燃料費だけで月35億円のコスト増になるという。その負担は最終的に、各家庭に重くのしかかることになる。
また、日本は火力発電に必要な化石燃料の多くを中東から輸入している。しかしその中東では最近、イランをめぐる情勢が不安定になっている。今後、アメリカとイランが衝突すれば、日本へのエネルギー供給も不安定になるだろう。
ただでさえ、日本のエネルギー自給率は4%。「中東リスク」は無視できない。国際情勢が緊迫化する中、今回の広島高裁の判決は、全くの「逆判断」と言える。電力の安定供給のためにも、伊方原発3号機の再稼働を、一日でも早く進めるべきだ。(飯田知世)
【関連書籍】
『アインシュタインの警告』
大川隆法著 幸福の科学出版
【関連記事】
2017年2月号 未来産業のたまご 第11回 - なぜ、研究者は諦めないのか 燃料を増やし続ける「夢の発電所」 高速増殖原型炉「もんじゅ」
https://the-liberty.com/article.php?item_id=12335
2018年9月9日付本欄 北海道大停電は全国で起きる 特定の火力発電所に依存する構図は全国共通
https://the-liberty.com/article.php?item_id=14864
2013年1月25日付本欄 原発「活断層」調査 「活断層即廃炉」は非科学的な“魔女狩り"だ
https://the-liberty.com/article.php?item_id=5531
米中貿易の第1段階合意 これからの交渉が山場であり、これまでは前哨戦
2020.01.20(liverty web)
《本記事のポイント》
米中両政府は、貿易交渉の「第1段階」に合意
合意したのは、貿易赤字の削減と知的財産権の保護
産業政策の是正や資本移動の自由化などが、これからの「本題」となる
米中両政府はこのほど、米ワシントンで貿易交渉の「第1段階」となる合意文書に署名した。
この合意によりアメリカは2月中旬にも、昨年9月に発動した第4弾の追加関税を15%から7.5%に引き下げる(2018年に実施した1~3弾の追加関税は据え置く予定)。一方の中国は、アメリカからの輸入拡大などに加え、知的財産権の保護を強化する。
中国側の一方的な譲歩に、米経済学者のスティーブン・ムーア氏は「アメリカにとって大きな勝利だ」と評価。トランプ米大統領も歓迎の意を表明した。
米中が交渉している主な課題
米中はこれまで何度も交渉を重ねてきているため、一体、何を議論しているのか分かりづらくなっている。アメリカが中国に要求する主な懸案事項を整理すると、以下のものがある。
対中貿易赤字の削減
知的財産権の保護(技術の強制移転問題など)
産業政策の是正(国有企業への補助金など)
外資への規制撤廃
為替の自由化(人民元の切り下げを含む)
資本移動の自由化
米中合意の履行を検証するシステムの構築
貿易赤字と知的財産権の保護について合意
今回米中が合意したいのは、貿易赤字の削減と知的財産権の保護、為替の自由化の一部となる。
中国は、アメリカから今後2年間で、2000億ドル(約22兆円)の輸入を増やす。知的財産権の保護に関しては、中国が企業秘密を悪用した企業に「刑事罰」を科すことを検討。為替では、意図的な通貨の切り下げを回避することで合意した。
外資への規制撤廃については、中国は今年1月1日、外資による中国投資の基本法となる「外商投資法」を施行して対応している。
今回合意されなかったものが「本題」
しかし、中国政府は産業振興政策「中国製造2025」の看板を下ろす様子はないばかりか、1月1日に「暗号法」を施行した問題がある。同法により中国当局は、海外企業が持つ機密情報にアクセスできる権限を有した。これについて国際社会では、「機密保護がないがしろにされる」という懸念が浮上している。
こうした中国の政策が、アメリカが要求する「中国市場の自由化」との間で、整合性がとれるのか不明となっている。
さらに、今回交渉されなかった産業政策の是正や資本移動の自由化などは、中国共産党体制の根幹に関わる問題であり、中国側が妥協できる余地はほとんどない。ナバロ米大統領補佐官(通商製造政策局長)は16日、次の交渉では中国国有企業への補助金の停止を求めるという趣旨を述べている。
つまり次回以降の交渉が、アメリカにとって本題と言える。
米中貿易戦争は、トランプ氏の大統領選が終わるまで、当面「休戦」となる見通しだ。トランプ氏が再選すれば、退任するまでに成果をあげるため、中国への強硬路線を強化し、貿易交渉は激しさを増すだろう。もちろん、中国側はそれを理解しており、同氏の任期が切れるまで忍耐することが予想される。
米中の交渉はこれからが山場を迎える。
(山本慧)
【関連書籍】
『中国 虚像の大国』
大川隆法著 幸福の科学出版
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元インド外相インタビュー 「日印間の防衛協力を強めるには、日本の憲法改正が必要」
2020.01.19(liverty web)
中国の脅威がますます高まる中、元インド外務長官のカンワル・シバル氏にこれからの日印協力のあり方について聞いた。
(聞き手・片岡眞有子)
──あなたは、中国共産党の脅威に対し警鐘を鳴らし続けてきました。
カンワル・シバル氏(以下、シ): 東シナ海と南シナ海における中国の行いは国際法を侵害しています。岩礁を埋め立てて南シナ海に人工的な島をつくりだし、さらにそこに軍隊を配置するというのは、地域の平和と安全を脅かす行為です。仲裁裁判所は国連海洋法条約に基づき、そうした行為を国際法に反するとし判決を下しましたが、中国はこれを拒否しました。
中国は「2049年までにアメリカに代わって世界の覇権国家となる」など、いくつかの戦略文書の中で国際覇権への野心を明らかにしています。(こうした野心を果たすため)海軍をかつてないほどの規模で拡大させ、自国の海岸からはるか遠くまで力を及ばそうとしています。
また、中国による「一帯一路構想」はアジア大陸を支配するための手段です。
一帯一路を通して、ASEAN諸国を含むアジア諸国、特にラオスとカンボジアなどの国々を政治的に「親中」に変えているのです。これにより、ASEAN諸国の分裂が進んでいます。(ASEAN諸国が中国と)交渉を進めている、南シナ海での紛争防止に向けた「行動規範」が、中国の振る舞いを変えることはないでしょう。そうした行動規範を定めることによって、中国の誤った行動が抑制されるという保証はどこにもなく、むしろ(交渉したという事実によって)南シナ海における中国の行動を正当化することになるでしょう。
一帯一路は、海洋的に見てもインド洋の平和と安全を脅かすものです。中国は、ミャンマーとパキスタンを通してインド洋へのアクセスを得つつあり、中国の潜水艦がインド洋に出現し始めています。さらに、ジブチに続き、ミャンマーやスリランカといったインド洋に位置する国を軍民両用の拠点にしようと画策しており、今後パキスタンに海軍基地を建設することは確実でしょう。
中国は、政治システムを開放するどころか、習近平国家主席の下でさらに独裁主義を強め、より中央集権型になっています。習氏は事実上の終身制を宣言し、企業を含む中国のあらゆる組織でも中国共産党幹部の存在感がますます大きくなっています。加えて、中国内の国家主義的感情は、共産党のバックアップによって、対外的に危険な結果を生み出しそうなほど高まっています。
──インドの隣国であるパキスタンが、中国を護る障壁のようになっています。また、反中に傾きつつあったスリランカやネパールも、結局は親中に戻ってしまいました。中国がインドを囲い込もうとしているようにも見えますが、いかがお考えでしょうか。
シ: 中国は、世界中に「経済的属国」をつくっていますが、事実上の同盟関係となっているパキスタンを除き、友達はいません。中国は、パキスタンをはじめ実質的に破産している国々に500億ドルを超える投資をしていますが、これは中国にとってパキスタンがいかに地政学上重要であるかを証明していると言えます。
中国は核兵器とミサイル技術の提供に加え、インドを狙うテロリストたちを支援することでパキスタンを支援しています。これはつまり、インドを囲い込むため、戦略的にパキスタンを利用しているということです。パキスタンから見ても、中国が最大の安全保障パートナーとなっています。
ここ最近、中国はカシミール問題について国連でパキスタン支援を明らかにしていますが、これはインドにとって由々しき挑発行為です。中国は、南アジアにおけるインドのプレゼンスをできる限り引き下げたいのです。そのため、海洋戦略の一環として、スリランカでの港湾建設やモルディブへの影響力拡大などを通して、インドの安全保障に対する戦略的脅威をつくり上げているのです。(インドの隣国である)ネパールに関しても、中国はチベットを拠点にして影響力を高めています。今やバングラデシュにとってさえ、中国は最大の安全保障パートナーとなっています。
中国は、インドの隣国に進出することで明確にインドを囲い込もうとしています。特に、パキスタン特有のインドへの敵対心を利用して、その目的を達成しようとしているのです。
──アメリカが南シナ海における影響力を強めたことを受け、インドの軍事戦略に何かしらの変化はありましたか。
シ: インドは、「アジア太平洋およびインド洋地域における共同戦略ビジョン」の文書にアメリカと合意し、物流アクセスと相互運用性に関する二つの基本的な合意も結びました。米印二国間の海上合同軍事演習「マラバル演習(the Malabar Exercise)」に日本が加わったことで、三カ国による軍事演習になり、これらの三カ国はすでに日本海で海上軍事演習を行っています。
「アクト・イースト政策(Act East Policy)」の一環として、インドは日本とASEAN諸国とのつながりを強化し続けています。シンガポールとの防衛協力も顕著で、インドネシアとのつながりも強まっています。日本とは、防衛における特別の権利を付与するいくつかの文書にサインし、海洋安全保障の一環として海洋状況把握協定を締結。物流アクセスについての合意を交渉しているところです。
アメリカが太平洋軍をインド太平洋軍と改名するなど、「インド太平洋」というコンセプトが強固な地盤を得ています。今やアメリカ、インド、日本、そしてオーストラリアの四カ国の意見は政治的に一致しています。
加えてインドは、フランスとも「物流アクセス協定」と「インド洋における共同戦略ビジョン」の文書に合意しました。太平洋に位置するフランスも、インド太平洋というコンセプトをサポートしています。
──インドは「非同盟主義」を掲げていますが、日本と同盟を結ぶ可能性はありますか。
シ: インドはもはや非同盟主義を奉じていません。冷戦が終わり、そうした政策をとる根拠がなくなったからです。今では、それぞれの課題に応じて志を同じくする国々と同盟を結ぶ「多同盟政策」をとっています。アメリカやフランスなどの欧米諸国とのつながりを強化すると同時に、ロシアとも親しい関係を維持しており、BRICKSや上海協力機構(SCO)にも所属。それとは別に、ロシア、インド、中国の三カ国フォーラムも継続しています。
インドの国益は多面的で、どれか一つの国と防衛同盟を結ぶということでは守ることができないため、戦略的独立を維持しているのです。
インドは、日本を含み、志を同じくするパートナーと防衛上の連携を深める準備ができています。実際の問題として、インド、日本、そしてアメリカは、首脳レベルで交流をしており、インドと日本に至っては首脳会談を毎年行っています。また、日印間では外務・防衛閣僚会合(「2+2」会合)も行われています。インドがこのレベルの会談を行うのは、日本の他にアメリカのみです。オーストラリアとは、高官レベルの交流です。
日米は防衛同盟を結んでおり、日本の安全はアメリカに保障されています。しかしインドは、最高度の防衛となり得る核兵器を保有しているため、そうした同盟を必要としていないのです。
我々が促進すべきは、日印間のより強固な防衛協力です。ただそのためには、他国との防衛協力における日本の積極的な役割を制限している、日本の現行憲法を改正する必要があるでしょう。
──アジアの平和において、中露の切り離しが非常に重要です。ロシアを民主主義陣営に引き込むため、インドは具体的な戦略を掲げていますか。
シ: アメリカとヨーロッパ諸国によるロシアへの厳しい制裁は、ロシアを中国の手の内に押し込む結果となりました。
アメリカの国内政治においてロシアとの関係が重要なファクターとなった結果、アメリカの対ロ政策が現実離れしたイデオロギー的なものになってしまったのです。そんなアメリカも、いよいよ中国を戦略敵国として扱い始めています。欧米諸国が中露を等しい敵国として扱うことで、中露の枢軸を強化させてしまうのはナンセンスです。
まさに、ニクソン大統領時代のアメリカがロシアに対抗するために中国に手を伸ばしたように、今こそ、その逆をすべきです。ロシアを中国から引き離さねばなりません。フランスのようなヨーロッパの主要国はそうしたいと思っているのですが、東欧諸国やバルト三国が行く手を阻んでいます。
インドは、アメリカとのつながりを強化しながらも、ロシアを逃さないようにしています。ロシアと防衛協定を結んだ第三国に制裁を科すという、アメリカの「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」を拒否し、ロシアから超長距離地対空ミサイルシステム「S-400」の購入を進めています。ロシアを優先的パートナーとして扱い、エネルギーおよび貿易における連携を強化しようと模索しているのです。
──国防におけるサイバーセキュリティの重要性が高まっています。中国製の機器にバックドアが組み込まれ、個人情報が抜かれていることが明らかになり、アメリカや日本は5Gネットワークから中国通信機器大手のファーウェイを排除するよう動いています。インド政府も同様の脅威を感じていると思いますが、いかがでしょうか。
シ: 政府は未だこの件について国家政策を講じていませんが、インドの治安当局は、自国の5Gネットワークにファーウェイを参入させることに対して反対しています。
5G発展のため、日印はアメリカと協力して技術や人材、財源を共同出資するべきです。
インドには優秀なIT人材がいます。アメリカのシリコンバレーには、5G技術を急速発展させるだけの力があります。日本には技術も財政的基盤もあります。すでに、これら三国の間で1.5トラック(半官半民)の対話が行われていますが、サイバーセキュリティに関しては、それぞれ二国間でされている現状です。サイバーセキュリティについても、三カ国で進めていくべきだと考えます。
【関連記事】
2019年10月号 中国に狙われるインド 日印で「一帯一路」を止める / 現地ルポ 第3弾
https://the-liberty.com/article.php?item_id=16164
2019年8月30日付本欄 日本はアフリカで存在感を取り戻せるか TICAD7から見えてきた日本の課題
https://the-liberty.com/article.php?item_id=16205
地球環境論の見方(2)~地球温暖化について~ 【HSU・木村貴好氏の連載・番外編】
2020.01.19(liverty web)
HSU未来産業学部 アソシエイト・プロフェッサー
木村 貴好
(きむら・たかよし)1971年、埼玉県生まれ。筑波大学第二学群生物学類卒。同大学院修士課程(環境科学)修了、同農学研究科博士課程単位取得後退学。博士(農学)。応用昆虫学分野の研究を行う。農業生産法人、茨城県農業総合センター生物工学研究所を経て、2008年、幸福の科学に奉職。現在、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティの未来産業学部アソシエイト・プロフェッサー。「自然と環境」「基礎生物B」などの授業を担当。著書に『スピリチュアル自然学概論』。
◎ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)未来産業学部のホームページ
http://future-industry.happy-science.university/
スピリチュアル自然学概論
木村貴好著
HSU出版会
本記事は、連載途中の「生命の探究に向けて」の番外編(3回分)です。テーマは地球温暖化で、今回は2回目。
温室効果ガスは、太陽光の熱の一部を大気にとどめる役割を果たしており、これがなければ、地球の気温はマイナス19℃程度になると見積もられています。地球に生物が存在できるようにしているわけですが、そのうちの一つである二酸化炭素の量については、地球温暖化の問題と絡めて、さまざまな議論があります。
その代表的な論調は、「地球は温暖化しており、その原因は産業革命以降、人類が排出してきた二酸化炭素だ。このままであれば、21世紀末までに平均気温が最大4.8℃も上昇し、さまざまな危機的な状況がもたらされる」というものです。よくマスコミなどで取り上げられているので、「常識」になっていることでしょう。
一方で、これらの主張を批判する識者もいます。「懐疑派」などとレッテルを貼られることも多いですが、その論点について、見てみたいと思います。
香港区議・梁翊婷さん「殴られても逮捕されても、民主を求める香港人の声を代弁したい」
2020.01.18(liverty web)
香港では2019年6月以降、「逃亡犯条例」改正案を契機とした大規模な抗議デモが行われている。デモ隊に対する政府や警察の対応に不満が高まる中、昨年11月に行われた香港区議選は、民主派の歴史的な勝利となった。
同選挙で初当選を果たした若手の区議に、香港デモの実情を聞いた。
(聞き手: 国際政治局 小林真由美)
◆ ◆ ◆
香港・観塘区議会議員
梁翊婷
プロフィール
(りょう・よくてい/Edith Leung)1990年生まれ。香港城市大学英文学部を卒業後、テレビ局勤務を経て、2017年に民主党に加わり、18年に党中央委員に就任。2019年の区議選で初当選。
──梁さんは若手議員として期待を集めています。政界に入ったきっかけを教えてください。
梁氏(以下、梁): 幼い頃から、政治のニュースをよく見る家庭で育ちました。6歳の時、両親が天安門事件について、当時の新聞の切り抜きなどを見せながら教えてくれたことがきっかけで、世界にはさまざまな不正があることを知りました。
大学2年生の頃から政治運動に本格的に参加するようになり、2017年の行政長官選挙では、林鄭月娥(キャリー・ラム)の対戦相手となった曾俊華(ジョン・ツァン)候補の選挙活動に参加しました。香港の未来のために、自分自身も政界に入る必要があると考え、その年に民主党に入党し、19年の区議会議員選挙に出馬しました。
今回、当選したことは、私個人が選ばれたというよりは、自由や民主主義を求める有権者の意思表示だと思っています。また、香港の民主化デモの主力は若者だったため、私は若者の代弁者となることを求められていると感じています。
香港警察による暴力
──選挙の約10日前に、警察から暴力を振るわれたことを訴える記者会見を行われました。当時の状況について教えてください。
梁: 19年11月11日の早朝、私は抗議活動に参加するために、地下鉄駅付近を歩いていました。マスクで顔を隠した香港警察たちがいたので、「市民には顔を隠してはいけないと言いながら、なぜ警察は顔を隠しているのですか」と抗議し、警察と口論になりました。
すると警察の一人は、急に私の頭をつかんで地面に押し当てました。膝を私の首の上につき、別の警察が私の手を踏みつけようとしたので、私は抵抗しました。すると彼らは警棒で私の頭を何度も殴りました。
彼らは私を座らせ、顔と頭に催涙スプレーを大量に噴射しました。私の目は催涙スプレーだらけで視界がぼやけていましたが、地面に血が流れているのを見て、それが自分の頭から流れていたことに気づきました。
彼らは私を警察署に連れて行きましたが、私は「病院に行きたい」と言い、数時間後に病院に連れて行かれました。私の頭の傷は深く、5針縫うほどでした(写真)。
左画像は本人のFacebook、右画像は民主党のFacebookより。
その後、きちんとした裁判手続きを求めて警察を訴えました。今は、民主党の弁護士である何俊仁(アルバート・ホー)さんと一緒に戦っています(文末の関連記事参照)。
泣き寝入りはしない
梁: 私の傷は、私の友人たちが負った傷よりもずっと軽いものです。私の友人の27歳の男性は、香港の最もレベルの高い学校の有名な教師ですが、警察の放ったゴム弾が目に直撃し、片目を失明しました。彼の視力はもう回復する見込みはないようです。
デモ隊の応急処置をしていた時に右目を撃たれ、血まみれになった写真が報じられた女性も、私の友人です。彼女はたくさんの手術をしなければなりませんでした。
香港人の多くは、警察に酷い暴力を振るわれても泣き寝入りするしかありません。告訴しても、警察からさらに嫌がらせを受けるだけだからです。
私は殴られたり、逮捕されたりすることを恐れていません。自由を求めるためには、犠牲になったとしても、誰かが立ち上がり、当局や警察に対して「あなたたちは間違っている」と言わなければいけないからです。
デモ隊を「ゴキブリ扱い」する警察
梁: 第一線にいる警察には、広東語ではなく北京語を話している人もたくさんいます。中国から来た人が香港警察のフリをしている可能性がとても高いです。彼らも長引くデモの対応で精神を病んでいて、人間らしさを失っています。
実際に、警察がデモ隊を殴る時、「このゴキブリめ!」と言っているのをよく目撃しました。ゴキブリを殺す感覚で、催涙スプレーをかけたり、棒で叩いたりしているのです。だから、あそこまで非人道的になれるのです。
また、香港では不審死も増えており、たくさんの不可解な事件が起きていますが、本来取り調べをすべき警察が責務を果たしていないので、そのままになっています。
台湾は香港の経験から学ぶべき
──今回、台湾の選挙でも、香港の事例を出して中国の体制を批判する声が高まりました。
梁: 多くの台湾人は今、香港人のために声を上げてくれています。香港も台湾も、巨大な中国の独裁政権と戦っているからです。ある台湾人の友人は、「台湾人は香港の状況を選挙利用しているけれど、それでもいいの?」と聞いてきました。私は、「どうぞ利用してください」と答えました。
香港ではすでに、多くの血が流れ、大勢の人が涙を流しています。台湾はこうした香港の経験から学ぶべきです。台湾人が香港を見て、自由と民主主義を守る選択をしてくれたら、本望です。自由も民主主義も、天から降ってくるものではありません。戦って勝ち取らないといけないものです。
目標は中国の民主化
梁: 私の究極の目標は、アジアのすべての国が立ち上がり、民主主義の価値を掲げ、中国を民主化することです。独裁的な国が力を持てば、その影響は他国にも及びますが、逆に民主主義国家の力が強くなれば、他の国にも影響を与えられると思います。
香港はとても小さな都市ですが、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどの民主国家は、香港で起きていることをよく知っています。世界中の人々が「独裁的な政府には未来がない」ことを知る必要があります。
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泣きながら取材した香港革命~日本人へのSOS~【未来編集】
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2019年11月号 マスコミが報じない香港革命 - 現地ルポ Part 2 香港市民がデモを止めない理由
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2019年9月18日付本欄 「中国も民主化すべき時」: 香港の民主派弁護士アルバート・ホー氏インタビュー
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