このブログの冒頭で紹介したほのるる丸で神戸を出港して以来、さまざまな国や地域に出入りした。船員手帳と航空会社のマイレージから推定すると、貨物船で地球を約10周、旅客機で15周以上の航程になる。その殆どは、北半球内での移動である。
当然、その間にいろいろな言葉に接してきた。今回は、地球の思い出から話題を変えて、今までに出会った外国語に話を進める。
ここでは、母国語の日本語を含めて、英語、フランス語、スペイン語、ラテン語、タイ語および世界共通語(数式、楽譜、コンピュータ言語など)について、その言語との関わりや印象を思いつくままに書き記す。
1.日本語
生れてから70年以上も使っている母国語である。幸い、長年の国語教育のお陰で日本語には不自由は感じない。しかし、日本語の将来について、気掛かりな点があるのでここに書き記す。
1)横書きと縦書き
ビジネス文書は横書き、文学作品やお役所の法令などは縦書き、新聞・雑誌は縦書き・横書き混淆である。世界共通のe-mailには、縦書きはありえない。このような現状のもと、将来の日本語の書式はどの様に進化するのだろうかと気掛かりである。
「枕の草子」や「源氏物語」に見る縦書き毛筆は、世界に誇れる文学作品であると同時に、繊細な芸術品である。縦書きは古くから日本文化の基本的な書式であるが、数式や横文字交じり(カタカナの横文字ではない)の文章では使いづらい。
将来、すべてが横書きになるときは日本人が「日本のこころと精神」を忘れ去るのではないかと気掛かりである。
2)日本人の文章力
国語の専門家ではないので、他人の文章を評価することはしない。しかし、多くの文章に接していると、われわれ日本人が書く文章の傾向が見えてくる。システムの開発チームが作成する仕様書など、さまざまな書類から気掛かりな点を独断と偏見で帰納的に要約すると、次のことが言える。
◇用語の標準化に慣れていない・・・組織的な文章化作業に弱い
◇長文が多い・・・句読法(項分け、括弧、:、;、.など)など、横書きの文法に弱い
◇言語明瞭・意味不明が多い・・・論理構造が曖昧、政治には好都合だがビジネスでは不可
この様な傾向から、頭の中で考えたことを効率よく表現する技術、言い換えれば文章力の強化が必要と考えている。特に、将来は自動翻訳に耐える文章力も必要である。この点で、日本の国語教育と大学教育には、改善すべき点が多い。
日本では終身雇用制が長く、職場には必ず生き字引のような社員がいた。あの時代では、分からないことはベテランに聞けば良い、文章化より「あうんの呼吸」で日常業務が回る時代だった。終身雇用制では、社員の文章力や業務の文書化はあまり重視されなかった。しかし、時代は大きく変わった。
なお、参考だが、30年以上も昔から国連職員の業績評価には、使用言語(国連公用語)での文章力と口頭表現力が含まれていた。当時の日本企業にはこの評価項目はなかった。
次回のテーマ、英語は「ことば(2)」フランス語とスペイン語は「ことば(3)」ラテン語とタイ語は「ことば(4)」世界共通語は「ことば(5)」に続く。
当然、その間にいろいろな言葉に接してきた。今回は、地球の思い出から話題を変えて、今までに出会った外国語に話を進める。
ここでは、母国語の日本語を含めて、英語、フランス語、スペイン語、ラテン語、タイ語および世界共通語(数式、楽譜、コンピュータ言語など)について、その言語との関わりや印象を思いつくままに書き記す。
1.日本語
生れてから70年以上も使っている母国語である。幸い、長年の国語教育のお陰で日本語には不自由は感じない。しかし、日本語の将来について、気掛かりな点があるのでここに書き記す。
1)横書きと縦書き
ビジネス文書は横書き、文学作品やお役所の法令などは縦書き、新聞・雑誌は縦書き・横書き混淆である。世界共通のe-mailには、縦書きはありえない。このような現状のもと、将来の日本語の書式はどの様に進化するのだろうかと気掛かりである。
「枕の草子」や「源氏物語」に見る縦書き毛筆は、世界に誇れる文学作品であると同時に、繊細な芸術品である。縦書きは古くから日本文化の基本的な書式であるが、数式や横文字交じり(カタカナの横文字ではない)の文章では使いづらい。
将来、すべてが横書きになるときは日本人が「日本のこころと精神」を忘れ去るのではないかと気掛かりである。
2)日本人の文章力
国語の専門家ではないので、他人の文章を評価することはしない。しかし、多くの文章に接していると、われわれ日本人が書く文章の傾向が見えてくる。システムの開発チームが作成する仕様書など、さまざまな書類から気掛かりな点を独断と偏見で帰納的に要約すると、次のことが言える。
◇用語の標準化に慣れていない・・・組織的な文章化作業に弱い
◇長文が多い・・・句読法(項分け、括弧、:、;、.など)など、横書きの文法に弱い
◇言語明瞭・意味不明が多い・・・論理構造が曖昧、政治には好都合だがビジネスでは不可
この様な傾向から、頭の中で考えたことを効率よく表現する技術、言い換えれば文章力の強化が必要と考えている。特に、将来は自動翻訳に耐える文章力も必要である。この点で、日本の国語教育と大学教育には、改善すべき点が多い。
日本では終身雇用制が長く、職場には必ず生き字引のような社員がいた。あの時代では、分からないことはベテランに聞けば良い、文章化より「あうんの呼吸」で日常業務が回る時代だった。終身雇用制では、社員の文章力や業務の文書化はあまり重視されなかった。しかし、時代は大きく変わった。
なお、参考だが、30年以上も昔から国連職員の業績評価には、使用言語(国連公用語)での文章力と口頭表現力が含まれていた。当時の日本企業にはこの評価項目はなかった。
次回のテーマ、英語は「ことば(2)」フランス語とスペイン語は「ことば(3)」ラテン語とタイ語は「ことば(4)」世界共通語は「ことば(5)」に続く。