天道公平の「社会的」参加

私の好奇心、心の琴線に触れる文学、哲学、社会問題、風俗もろもろを扱います。趣味はカラオケ、昭和歌謡です。

国力とは何か(中野剛志)読書ノート その2

2015-10-08 20:47:21 | 読書ノート(天道公平)
 また一つ無力感がこみ上げてきましたが、TPP妥結問題を経て、何が合意されたのか国民にも知らされないのは、私たち大多数の国民にとって無残な話です。 
 私たち、普通の国民が、経済戦争とも言われましたが、重要な問題として、経済問題を振り返ることが出来ないのは、大変残念なことであると思います。
 このように、平易にかかれた経済書と、世界分析、なおかつ、東北大震災の罹災間もない日本国未曽有の危機に書かれたこの本の価値を、また著者の、私も強く共感できる「志」を、汲み、読み取りたいと思います。
 今後とも、悪い状況ながら、思考停止にならないよう、自己と家族と社会とをつなぐ経路を失わないように、せめて自分を鼓舞していこうではありませんか。
 TPPに先立ち、政府自民党が、他国の特権階層に過剰に迎合した策謀、農協改革(?)に至る一連の法改正、先に出版された三橋貴明氏の「亡国の農協改革」是非お勧めします。

 「国力とは何か」(経済ナショナリズムの理論と政策)について(2011年7月刊行)その2

                           H27.3.18
1 危機に直面する社会
ア グローバル化
  グローバル化とは、資本、企業、個人が利益を求めて、国境を越えて自由に移動するようになる現象のこ とである。(1990年代以降加速した。)
  構造改革から、平成の開国に至るまで、グローバル化対応として動いてきた。
 その理念
  「構造改革論」の論理   人口減少と、少子高齢化により内需は縮小の一途をたどる。その閉塞感の打 破のため、海外市場に進出し、海外殊にアジアからの投資や人材を呼び込み、ため、国家の規制や社会の慣 行などの障壁は、モノ、カネ、ヒトなどの国際移動の活発化を妨げるものであり、即刻撤廃すべきだ。
(私見:自民党甘利某さんの言説と全く同じもんですね。)
  当該理念は、世界史的にいえば、「新自由主義」又は「市場原理主義」と呼ばれていた。ミルトン・フリードマン、サッチャー政権、ロナルド・レーガンなど。
 その教義 
  あ 世界は、自己利益を合理的に追及する個人からなっている、利己的な 個人が自己利害を追及し競争に励む結果、資源の適正配分、経済は効率化し繁栄する。これが市場メカニズムである。市場メカニズムを機能させるため、国家は、個人の経済活動の自由を最大限許容することが望ましい。
  い ヒト、モノ、カネが国境の制約なしに自由に流れて行けば、世界経済全体が繁栄する。
  「新自由主義者」は、国家の経済への介入で自由市場より経済を豊かにすることができる、ということを真っ向から否定する。また、国境に束縛されて生活を営む個人「国民」の存在意義も認めない。国境に束縛され活動するような個人では、市場メカニズムが働かず、世界経済は繁栄しないからだ。新自由主義とは、国家が国民のために積極的に活動するという発想を根本的に否定するイデオロギーなのだ。
イ 企業と国民の利益のかい離
  企業やマネーのボーダーレス化は、当該国民に望ましいかとは別問題EX)企業はパートタイムの低賃金労働者を求め、労働者は、待遇のよいフルタイム仕事を望むなど、日本労働者が、アセアン労働者と同等の賃金を強いられているなど、かつて、フォード車は経営側から賃金を上げ他の産業資本家の失笑を買ったが、賃上げにより労働者が自社製品を買って経営貢献した。
   グローバル化になると、国内経済と異なり、生産拠点を賃金の安い外国に移し、先進国の労働者の実質賃金は上がらなくなる。(経営者≠労働者の利害の不一致)その動きは投資の外国化を促進し、それをおそれる国家は、労働市場の規制緩和を行い、企業が労働者を容易に解雇したり、賃金を引き下げたりできるようにする。
   国家が、グローバルな資本や企業に便宜を供与するために、構造改革をはかることとなる。

  構造改革を支える新自由主義というイデオロギーが提示する世界は、利己主義的な個人や企業だけで構成されており、そこに「国民」という視点はない。
ウ デフレという危機
  グローバル展開する資本や企業にとっては、賃下げの利益は、デフレの利益と同一である。デフレは物価が継続的に低下することであり、労働者の賃金の低下により人件費の負担が少なくなる、ことである。
同時に、デフレは、経済的不調にとどまらず、ネイション(国民)の連帯から生み出される国力を著しく衰退させるものである。デフレとは、需要不足、供給超過の状態が継続することにより物価が下がる現象
のことであり、裏では貨幣価値が継続的に上昇することとなる。貨幣価値が将来も上がっていくという目論見で企業は支出を抑え資金の貯蓄に走り、負債の償還に走る、投資を控え、需要不足が生じ、デフレが一層進行する。
  デフレ悪循環は、短期的需要不足のみならず、長期的に一国の供給力を破壊する。
  需要不足と供給過剰のギャップが拡大すると、企業は設備を廃棄し、労働者を解雇し、供給力を削減しようとする、需給ギャップが埋まらない場合は、多くの企業が倒産する。失業や倒産は、技術や技能の継承を途絶えさせ、技術力を棄損する。投資の減退は、生産能力や技術回復能力の将来的な低下を招く。設備廃棄、解雇、倒産は、その国の潜在的な生産能力の破壊を意味する。デフレは、一国の生産様式を次第に衰弱させ、ネイションが富を生み出す力、すなわち国力が損なわれ、社会の格差を拡大し、ネイション を解体させる。
 労賃の低下は労働者の困窮と、企業及び株主の利潤の拡大を招き、その結果階級対立を招き、ネイションを分裂させる方向に働く。デフレ不況による失業は、組織や社会から個人を阻害する。自負心や生きがいを喪失することにより、気力や活力を失い、場合によっては社会に対する強烈な敵意や憎悪を抱くようになる。孤独な群衆は、劣情に訴えるポピュリスト政治家に容易に煽動され、社会秩序の不安定化を招き、果ては全体主義の起源にすらなる。
 デフレ国家は、不足する内需の埋め合わせのため、海外市場を収奪しようとする。グローバル化がデフレを促進し、デフレが内需を縮小させるので、ますます外需の追及とグローバル化が志向される。そして現在のような世界不況であれば、市場獲得競争が勃発し、各国間で敵愾心の醸成と、極めて攻撃的な排外主義が台頭し、国際社会も不安定化する。これこそが、20世紀初めの世界恐慌という形で現れた。
  デフレは、生産能力という経済的な国力を衰退するだけでなく、ネイションの統合と連帯を破壊し、秩序維持という政治的な国力をも弱体化させる。その上もし攻撃的で排外的な全体主義が生み出され、国際社会が不安定化すれば、それもまた国力を破壊していく。
エ 構造改革というデフレ政策
  経済政策上、絶対避けるべきデフレ危機(橋本内閣時代発生:消費税増税、財政支出削減を引き金)を、政府は、構造改革という名のもとで、企業が人件費を抑制し、投資家、特に外資の要求をとおり易くする施策を続けてきた。
   1997年 橋本内閣による、財政構造改革(消費税増税、財政歳出削減)、2001年 小泉内閣による、公共投資の削減、社会保障費の削減 典型的なデフレ容認政策を行った。
   公共投資拡大で失業率が下がり賃金が上昇し、国際競争力は下がるため、デフレは外国進出企業に支持された。橋本政権が緊縮財政でデフレを招来し、1999年の労働者派遣事業の容認、2001年確定拠出型年金制度の導入により、リストラの容認と、労働者の年金確保の企業責任が免責された。2002年、商法改正による外資の日本企業の買収が容易になり、2005年、会社法の改正により株式交換が外資に解禁された。90年代半ば1割程度の外国人持ち株が、2006年には全体の4分の1程度になっている。他にも、電力市場の自由化、金融ビッグバン、行政改革、郵政民営化、その他各種の構造改革が遂行された。いずれも、競争激化による、デフレ圧力となった。その結果、輸出が拡大し大企業の純利益率も急速に伸びた。役員報酬と配当は急上昇し、その帰結として、失業率は高止まりし、個人給与は下がり続け、労働分配率も低下していった。(株主の配当優先を求める海外ファンドの意向に沿うものになった。)
   一方、格差の拡大、ワーキング・プアや新卒者の就職難という社会問題、年間自殺者は13年連続3万人を超え、地域共同体は衰退し、家族制度も動揺し、「無縁社会」とまで言われるようになった。株主や企業の利益と国民の利益は大きくかい離している。
   日本政府は国民の利益のためでなく、企業や投資家の利益のためのグローバル化を推進する装置に成り果てている。
オ 民営化されたケインズ主義
  日本でデフレが起こったのになぜ欧米で起きなかったのか?2008年世界金融危機が起こった時、世界の多くの人々がアメリカの家計が過剰に債務を負い消費拡大をしていたことに驚いた。その様な、異常な経済こそグローバル化の帰結である。グローバル化は、国内の貧富の差を拡大し、賃金抑制をするが、アメリカでも同様で、賃金は伸びず、富裕層上位1%が国富の25%を握る。(1970年度後半は9%以下であった。)にもかかわらず、アメリカ家計は生活水準を落とさず、旺盛な消費需要を生み出し続けた。(アメリカ所帯の債務の総計は、1999年はGDPの63%、2007年は100%)(住宅バブル)・・・民営化されたケインズ主義

  アメリカの民間債務の膨張を促していたサブプライムローンなどの金融商品が、金融工学的な技術の発展により、世界中(ヨーロッパ中)にふりまかれ、世界的な金融危機となった。
カ グローバル・インバランス
  グローバル・インバランス(アメリカなど一部の国が過剰な消費と一方的な輸入を行って経常収支赤字を積み上げ、東アジアの新興国や中東諸国が経常収支黒字を累積するという、世界レベルでの経常収支不均衡のことである。)
  2000年代はアジアの新興国、中東諸国は、多額の経常収支黒字を、内需の拡大に向けずに、アメリカで運用しようとした。アメリカの住宅バブルが崩壊した時に、世界的な経済危機が発動した。
  現在は、インバランスをりバランスで修復する動きとなり、アメリカ牽引の経済モデルが破たんし、インバランスの解消なしでは世界金融危機が再興することとなる。
  市場メカニズムを信奉(無限肯定)する主流派(新古典派)経済学によれば、グローバル・インバランスは問題ないはずである。世界の資本移動が自由であれば、貯蓄不足の国には資本が流入するので世界経済では均衡がとれ、グローバルな市場メカニズムがグローバルな均衡を達成する筈である、アメリカが 自由貿易の結果として経常収支赤字を一方的に積み上げたとして問題はない、と考えていた。が、これらの考えは、資本主義がバブルを引き起こす可能性を軽視、想定していないという欠陥があった。(人間の希望と期待で資本主義は動く。)貯蓄不足で海外からの資本の流入に頼らざるを得ない経常収支赤字国は、バブルとそのリスクにさらされている。
 リーマンショックがその最大の証左である。
キ 呼び戻された国家
  2008年の金融危機は、「自由貿易の結果、慢性的な経常収支赤字国が存在することとなっても、自由な国際資本市場が自動的に調整するので問題はない」という信念が虚妄であることが暴露された。
  リバランスは、グローバル・インバランスを放置して実現できない、経常収支の均衡は、各国が経済政策を講じることにより、国家が経済を統治して、グローバル化の流れを制御し、場合によっては反転する必要がある。再度国家が呼び戻されることとなった。デフレの阻止のため、通貨供給を増大し信用収縮を防ぐと同時に、公共需要を創出して受給ギャップを埋め物価下落を防がなくてはならない。財政出動と金融緩和というケインズ主義的政策を必要とする。
  グローバル化を進める構造改革は、国家の経済統制能力を制約し、弱体化させてきた。国家は国民の危機を救えなくなっている。
 EX)アメリカ、ドイツなどの多くの国で、その発行する国債の半分又は半分以上が外国資本によって購入されている。目先利害に走る流動的な国際市場に制約されて、自国民の救済ができない仕組みとなっている。金利引き下げを行おうとすると、他国に流出、オイルマネーなどが流れ込み価格高騰を引き起こすなどと、危機の連鎖の引き金となる。
   国家の経済統制能力や危機管理能力は、グローバル化によって著しく損なわれてしまった。
ク アメリカが直面する問題
  問題点の解決は、Ⅰ 財政出動と金融改革により恐慌を阻止すること、Ⅱ 世界金融危機を引き起こした、グローバル・インバランスの構造を是正し、経常収支赤字を大幅に削減すること(家計の過剰消費・過剰債務を改め輸出を拡大すること)、Ⅲ 金融システムを改革し、過剰な資本移動を規制すること。 
  オバマはまさにこの政策を試みた(大規模な財政出動金融緩和、輸出倍増、経常収支黒字国に対する内需拡大、国内的に貧富の差の是正、医療保険制度の導入、金融水ステムの改革)が、失敗した。
ケ オバマ改革の挫折 
 Ⅰ 財政出動が不十分(生じるかも知れない米国債の信用不安との読みあい、基軸通貨ドルの信用不安)
 Ⅱ 内需拡大は輸入を増やし経常収支赤字を拡大してしまうため、経常収支黒字国に内需拡大を求めたが、当該国はそのような政策を十分にしなかった(外交力の低下)、また、当該黒字国はアメリカの国債を買い支えている(当該資金を内需拡大に振り向ければ国債の買い手がない)、ようなジレンマに陥っている。
 Ⅲ ドル安が進めばアメリカの輸出は伸びるかもしれないが、輸出倍増を図り、TPP加入を日本に迫っており、貿易障壁を撤廃し、日本の企業競争力を弱めるドル安を組み合わせれば、アメリカは自己市場を日本に奪われずに、日本市場への輸出を伸ばすことができるはずである、が、アメリカには輸出を増やすことで雇用を増やせる産業が少ない、からである。雇用吸収力が大きい製造業jは、グローバル化により低賃金労働力にシフトしてしまっている。
  アメリカの輸出の30%はサービス業であるが、そのほとんどが、銀行や保険、コンサルティング、ソフト関連のサービスなど、高学歴者に担われるものであり、15%を締める農産品にしても、アグリビジネスは資本集約型で、雇用吸収力が低い。アメリカの輸出が伸びても、恩恵は資本家と一部の高学歴者だけであり、一般国民には裨益しない。貧富の格差は益々拡大するであろう。
  金融機関の整理・・・公費投入で決着、医療保険制度・・・不徹底(2010年中間選挙で敗北)(「政府財務省・ウオール街複合体」として金融機関の利益代表に成り下がったもの)
コ EUの動揺
  EUの危機原因の一つは、ドイツが輸出優先のグローバル戦略を展開し、ユーロ圏内のインバランスを発生させたことであり、2000年代からドイツは規制緩和(すなわち海外労働者の受け入れにより)による 実質賃金の抑制を行い、国際競争力を強化し、輸出主導の成長戦略を追及した。結果、ドイツ国内で貧富の差が増大し、貧困が増え、中産階級の賃金も低下した。EU加盟国では、ドイツの貿易黒字の裏返しとして、ユーロ圏内の他の国々がグローバルインバランスの構造が生じた。しかし、ユーロ圏内は、為替レートによる調整という手段を持たないので、貿易不均衡は固定化される。貿易赤字国の政府と民間は対外債務を積み上げる。2008年不動産バブル(例のアメリカ発のものでしょう)の崩壊により、ギリシャなどの債務危機が生じた。不況に陥った国家は、財政金融政策や為替政策により景気回復を図る。しかし、EUの成立根拠であるマーストリヒト条約によって厳しく縛られている。
  欧州中央銀行が、あ 単一通貨政策を実施し、各国は金融政策や為替政策の権限を失った。い 各国の財政政策についても、財政赤字はGDPの3%まで、公的債務残額は原則としてGDPの60%までと制限した。う EC加盟国が苦境に陥ると、EU事務局が各国から任意で資金を調達し全体的な調整を行うこととなる。が、EU加盟国では、制度面のみならず、心理面においても、加盟国の国民の多くは、他国を、他国民を救済する意志も意欲もない。(先のギリシア離脱騒動の際に証明された。)
  ギリシャ、アイルランド、ポルトガルなどの財政危機に陥ったEU加盟国は、単に通貨制度を維持するため、緊縮財政を強いられ、失業者が増加し、大規模デモや暴動を頻発している。(個々国家のナショナリズムの反発)を招いた。今後、ギリシャ、アイルランドの財政危機が生じ、ユーロの価値が下落すれば、企業の輸出競争力は強化されるので、ドイツなどの貿易黒字国は輸出が拡大できる。EC加盟国の格差が拡大すれば、各国のナショナリズムは高まり、連帯は崩れ、EUの求心力は失われる。
サ 新興国の苦悩
  東アジアの新興国の経済繁栄は、外需に依存したもので、世界金融危機により大幅に縮小した。当該新興国は、財政金融政策により内需を拡大する必要がある。しかし、ケインズ主義の有効性は高度に統合されたネイションの存在がなければその効果が上げにくい。
  ケインズ主義政策は、国民全体のために資源を再配分する政策である。階級や民族の違いを超えた同朋意識としての国民意識がなければ困難である。(財政政策は、国民全体が税を負担し、その税を原資に財政出動を行い、内需拡大の効果を国民全体で享受するものである。富裕層や多数派の民族が、貧困層や少数民族に利益を及ぼす財政支出に同意し、負担に応ずる用意がなければ財政政策の実施は不可能であり、階級・民族を超えた同朋としての国民の意識が必要である。中国、ロシアは、形式的には国民国家ではあるが、その内部に少数民族との対立や紛争を抱えており、ネイションの統合が不十分である。階級間、地域間の格差も大きい。社会保障が未整備の新興国は、国民は貯蓄を重視し消費の拡大をしないので、需要刺激策が発揮されない。中国で進む少子高齢化は、労働力不足と賃金上昇を招く、賃金上昇は(意識改革を招き)民主化要求につながれば、国内秩序は不安定化する。新興国にとっては、ネイションの統合力が弱くて分裂しやすい、その脅威は内戦の方が大きい。
  中国の経済発展による人々の移動性とコミュニケーションの高まりは、ナショナリズムを形成し、強化する。経済発展が急激であった中国では、ナショナリズムが過激になる可能性が非常に高い。(ナショナリズムの高まりは民主化運動につながりやすい。EX)先の反日デモの民主化運動に転嫁する。したがっ て、反日デモを中国は取り締まった。)
 (ネイションが貧困な)中国は、国民統合を強化したくともそれができない、民主化要求につながるかも知れないからであり、国内経済が未成熟な中国は、高度に発展したグローバル資本主義に接続されてしまっている。(有効な手段を持てないまま)巨大な経済危機に直面せざるを得ない。
シ 世界恐慌より深刻な今日の経済危機
  1930年の経済危機は第二次世界大戦につながった。それに比べ、現在の経済危機は、それより深刻といえる。あ 当時の世界恐慌は国民統合を実現していた西欧及び日本だけだった、い 今の危機は国民統合が不十分で、分裂の危険をはらむ新興国・開発途上国を巻き込んでいる、う かっては圧倒的な強国アメリカが国際秩序を維持する働きをしていたが、現在は多極化していてG20までに増え、その中に国内問題を含む新興国(中国、ブラジルその他どこでもあります)が含まれている。
ス 経済ナショナリズムという可能性
  今後、国際秩序の建設は相当遅れ混沌状態が継続するであろう、我が国としてもあ デフレから抜け出せないこと、い 2008年の金融危機、う 2011年の東日本大震災、三重の危機である。ただ、これらの危機の解決には、国家の積極的な役割がなければならない、ということである。