児童書「クロニクル千古の闇」をめぐって(併せ「アイスランド」紀行)その2
ところで、後先になりますが、今回のアイスランドツアーの売りはなんでしょうか?
実際のところ、オーロラ(日本語で「極北光」、英語で「ノーザンライツ(Northern Lights)」といいます。地球の電離層の通電現象により生じるものと理解しています。)と、自然(滝)紀行、なのです。エスキモーの神話に死者がたどりつく世界がオーロラというのがあるそうで、「クロニクル千古の闇」(以下「クロニクル」と称します。)中ではオーロラは彼らの神話の中で「最初の木」と呼ばれています。彼らの氏族の中で誰かが死にそうになった時、魂が散らばってしまわないように、額に赤土で死のマークを描き、死んだあと、死体は森に放置し、肉食獣たちに恩恵を与えるといいます。
その魂魄は、惑わされなければ、空に昇り「最初の木」にたどりつくこととなっています。出現する場所は、緯度や気象条件などの制約があるので、彼らにも、常時みられるものではないようです。氷河地帯に至ったとき選ばれた者にはじめて見える、また、その直接体験は、氏族の紐帯とか、あたかも信仰のように大変必要なものと思われます(いわゆる共同幻想ですね。太古の人にとっても死者を弔うのは大変切実な問題です。)。
当日は、幾分さめている私を除くほとんどの人が、「晴れたらいいね」とか、「今夜はどうでしょうか」とか、オーロラを、手ぐすね引いて待ちわびているところです。
光学式カメラ以降、一眼レフはやめてしまった私ですが、ほとんどの皆さんは、しっかり、オーロラ撮影のため、三脚から、高度、高性能の一眼レフや、ビデオをご持参です。
到着日当日は、首都レイキャビクのダウンタウン近くのホテルに泊まりましたが、当晩は食事抜きのため、国鳥のパフィン(ニシツノメドリ)を食べに行った人(国鳥を食べるというのもすごい文化ですよね。)もいましたが、私たちは、目抜きといわれる商業、商店街を歩いてみました。
目抜き通りは、アイスランド一の繁華街でそれなりの一流のブティックや、レストランなどと共に、横道に入れば怪しげなパブなどもあります。とおりすがりの外国の若者たちも、あまりタトウーや、過激なピアスなども見かけません。
商店の建物なども、最上階にロフトのような部屋がついた三階建てが多いようです。地下部分がパブやカフェーになったような建物も見かけますが、多くの建物が、白い漆喰を四角い窓の周囲に塗って縁取った北欧風の外装です。繁華街を歩いても、東京のような雑踏とは違い、9時ころまでは明るいので、白夜とともに趣があります。
ところで、バスのガイドさんやホテルのスタッフを含めて、彼らはアイスランド語しか話しません。
人口33万人弱という中ですが、これは徹底しています。英語に加え、ノルウェー語やデンマーク語が公教育に使われている、と言っていましたが、英語はビジネスの言葉なのです。
もっとも、アイスランド語が、我々の民族語、日本語ほど周辺国家の言語と「違っている」ということはないと思いますが。
アイスランド語は、人口数から類比していけば、何らかの原因で、すたれてしまうかもしれない言語です。自国語を使った地元新聞記事や、表現行為など、極めて重要なことでしょう。
後日、日本にも紹介されているという有名な児童文学者の生家と記念館を来訪しましたが、彼らの危機意識と、自国の本ばかり読むわけではないでしょうが国民の読書量世界一というその反作用(?)に思い至ります。
私たちのホテルは海岸線に面したホテルですが、近くにアイスランドの国立劇場があり、それに至るまで長く広い海岸線が続き、同時にそこいらはオーロラ鑑賞スポットです。ホテルは、シャワーブースだけですが、硫黄のにおいがする熱水がすぐ出てきます。温泉シャワーです。水道水は軟水で、地下水の汲み上げ水と聞きました。日本の都会の水道水などと違って、冷たくとても美味しいものです。
皆、ミネラルウオーターなど買わず、水道水をペットボトルに詰めて持ち歩きます。さる人が、マーケットでミネラルウオーターを買おうとしましたが、本当に買うんですかと、問い返されていました。
暖房は当然スチームです。エアコンは、一応はありますが、あまり使うことはないようです。
ホテルのスタッフは、皆、明るく親切です。
屈託なく、親切に対応してくれます。
出かける前にフロントで傘を貸してくれといい、すぐに貸してくれましたが、風の強い、降ったり止んだりの気候の中、アイスランドで傘をさす人はいないそうです。
治安はとてもいいと聞きましたが、33万人弱の人口では、悪い人間も、良い人間も極端な人間はいないのではないでしょうか。先の国内の表現行為を含めて、文化の爛熟とか、退廃的な文化なども生じにくいのかもしれません(失礼)。
格差の大きな社会であれば、そちらからくる不安定要素もありますが、土地も家などの建築費も極めて安い(普通の家の建築費が邦貨800万円くらいといってました。)のであり、国土も広いなら、漁業収入や、観光収入で国民生活が営めるなら、極端な不公平感は生じないのかもしれません。
繁華街を散歩し、コンビニに食料を買いに行きましたが、確かに、品ぞろえはあまりよくありません。
JCBでもなんでも、カードはOKです。オリエンテーションで有料トイレの使用料も、カードで大丈夫、との話までありました。
残念ながら、その夜は、時差の原因なのか、爆睡してしまいそのままです。
オーロラの撮影に行った人もいるみたいですが、残念ながら曇り空で、オーロラは見えなかったそうです。
イ 二日目(その1)
翌日の朝食はとても良いものでした。
乳製品の、ヨーグルトを固めたような、国民の常食といわれる、スキムミルクから作られるという酒粕状のスキール(skyr)があり、これはおいしいものです。酪農製品が国内でどれだけ生産されるかは知りませんが、試した何種類かのチーズもおいしいです。
穀類は、国内でほとんど採れないと聞いており、自前の小麦粉で作るパンはないのかもしれませんが、それなりにおいしいものでした。ワッフルを自分で作れる装置(たい焼き機みたいなもんです。)があり、楽しいものです。
確かに野菜などの品ぞろえはあまりなく、トマトとレタスのようなものですが、量はたっぷりあります。果物はほとんど輸入品と聞きましたが、リンゴは小ぶりですが、酸味が多くおいしかったところです。
外に出てみると、二連の虹に遭遇しました。
初めての体験です。海岸沿いの空に、二連のアーチを描きます。
空気がきれいなのか、とても鮮明に見えます。
こちらでも珍しいのか、多くの人が車を止めて、写真を撮っていました。
こちらの人は、何か些細なことがあっても、フェアリー(妖精)のせいだ、というそうです。私の実感では(コノテーション(言外の意味)の類推では)キリスト教以前の、いたずら好きの妖精であるかのように思えます。異邦人にも、なんとなくゆったりとした時間の流れが、感じられるようです。
虹はなかなか消えません(「クロニクル」では虹の描写は何もなかったように思います。)。
やっぱりゆったりとした時間のようです。
国内便に乗り換えるため、レイキャビク空港に移動です。
空港は、まるで地方のバスステーションのようです。
皆、ぼーっとして、定刻のずいぶん前から、プロペラ機の運航を待っています。
荷物は、1人一個、20キロまでという基準がありますが、重量が超えようと数が増えようと、少々どうだろうとスタッフは苦情を言いません。
時間になると、待合所から10メートルも離れてないタラップから搭乗です。同じく、空気のきれいなせいか、全くの青空です。同乗者たちは、風の中で、写真を撮りまくりです。
機内では、客室乗務員は大きな女性です。180センチくらいはありそうな人で、ノルウエー、バイキング系(濃い金髪)です。彼女は、何者にも何事にも頓着せず、彼女のペースでサービスをします。
添乗するうちのバスの現地ガイドさんと雰囲気も振る舞いもよく似ています(少し皮肉)。
晴れた日で、機中から見下ろすと、地上にはあちこちの氷河と、湖がモザイク状に分布しています。
それ以外のほとんどの場所が、台形状の草原となっており、樹木は殆ど見当たりません。
樹木はシラカンバ、カバ、ヤナギなどが原産種だそうです。それぞれ、巨木にはなりにくいのかもしれません。
深い森におおわれた「クロニクル」の時代とは、やはり違います。もともと、アイスランドも深い森でおおわれていたそうですが、今では当時の面影はないそうです。デフォレストレーション(森林後退)の問題とか、ガイドに聞いてみましたが、国土が広く草だらけのせいなのか、植林をするとか、特に関心はないようです。
久しぶりにプロペラ機に乗りましたが、危機感もなにもなく、安全に着陸しました。やはり、特有のアイスランド時間のようです。
私たちのバスは、26人乗りの中型バスです。
みんな好き勝手に乗り込みます。
フィヨルドにそそぐ大きな川のそばのドライブインで昼食です。どこからが海でどこからが河か良く分からない河のそばに立っており、護岸も自然護岸のようで気持ちが良いところです。ドライブインは、日本国の地方の農協の倉庫のような建物の中にあります。さすがに中は板張りで、トイレ(レストルームではないですね。)もきちんときれいです。
しかし、小便器が異常に高く、私自身、身長は175センチはありますが、ようやく届くほどです。同道の他の人はどのような対応をしたのか、聞きたいくらいです。総じて、バイキングの末裔らしく体格が良い人が多いです。
レストランは、どこでも、料理は、三品くらいのコースです。
ここでは、マッシュルームのスープがまず出ます。マッシュルームの総称で、何茸かわかりません。ポタージュ仕立てで、大変おいしゅうございました。添えたバゲットも調理がいいのか歯ごたえがありおいしいものです。
続いて、北極イワナの焼き物(料理の名前がわかりません。)が出ます。
これもおいしいものでした。じっくり火が通っており、底味があります。ついでに、予てより持参した小分けの醤油を使わせていただきました。もし、こんなイワナが釣れるなら、もちろん刺身ですね。前テレビで見た、イヌイットの家で、伝統食として、凍らしたイワナのセゴシみたいに調理して(丸切りですね)を、家族で食べるシーンがあり、子供たちは嫌そうに食べていましたが、なぜ醤油を使わないんだ、と思ったことを覚えています。デザートもおいしいアイスクリームでした。
夜は、オーロラ観察のために極力あかりのない窪地に建てられたというホテルに宿泊です。
食事は、タラの焼き物マッシュポテト添えです。タラがちょっと臭うような気がします。こちらの流通では、海上で網から揚げると船上冷凍だそうです。したがって、解凍後調理ということになりますが、それじゃ、味が落ちるよね。底流魚だから、冷凍しない新鮮なタラで刺身は無理なのか?いいタラなら、鍋とか、ちりとかできないのか。確かに、日本で食べても、冷凍切り身の鍋では美味くはないが。
他のからすガレイとか、家人があぶらっぽいと嫌うので、最近煮つけであまり食べないのですが、このあたりが本場ではなかったのか、おひょう(確かハリバットとか、英語で言ったと思います。)とかも獲れたのではないか、魚の種類といくらもバリエーションがある日本的なその調理が思い浮かびます。 是非、首都レイキャビクで、先進的な日本人に、取り組んでみてもらいたいものです。例のカペリン(カラフトシシャモ)の商談で、日本人の
水産業関係者も多く来訪するそうですから。
タラの漁業権をめぐって、アイスランドは、過去に、英国と戦争、直接戦闘((タラ戦争)1958年から1976年まで))をしています。それほど昔でない自由主義圏でも、たとえ、人口33万弱の小国でも、国民国家の経済問題をめぐって、沿岸警備隊はもちろん漁師でさえ、銃を握って戦うのです。
現在の、TPP条約推進者という政府が、アメリカの特権階層に仕掛けられた経済戦争に、大多数の国民(過去日本近代以降の国民の大多数と言い換えましょうか。)の利害に反して、あらかじめ白旗を立てる、バカな日本政府とはえらい違いです。防衛問題(?)を配慮したとか、平和解決とか、争いを好まない、とかいう、彼らの恥知らずな言説の前に、中共などの覇権国家に、米欧に、踏みにじられる経済利害に、漁民は、農民や大多数の国民は怒りを表すべきではないか、と私は、アイスランドで考えました。
たとえ、美味くない、フィッシュアンドチップス(タラが原料だと思う。)の原料供給のためでも、安定した資源を獲得して、弱肉強食の国際社会で、生き伸びていくために、国民国家及びその構成員は常に戦うのです。
私たちは、TPP条約批准拒否のため戦いましょう。
私は、すでに準組合員になっており、農協共済事業にも加入していますが、自国民の大多数の利害をなおざりにし、他国の大企業(中共もあるそうです。)、投資家に過剰に迎合し、国民の自助組織、農業協同組合の解体に手を貸す悪辣な自民党の農業政策に断固戦いましょう。
かつての、タラ戦争をめぐって、現在の我が国の現状に憤激しましたので、その2はここまでです。
ところで、後先になりますが、今回のアイスランドツアーの売りはなんでしょうか?
実際のところ、オーロラ(日本語で「極北光」、英語で「ノーザンライツ(Northern Lights)」といいます。地球の電離層の通電現象により生じるものと理解しています。)と、自然(滝)紀行、なのです。エスキモーの神話に死者がたどりつく世界がオーロラというのがあるそうで、「クロニクル千古の闇」(以下「クロニクル」と称します。)中ではオーロラは彼らの神話の中で「最初の木」と呼ばれています。彼らの氏族の中で誰かが死にそうになった時、魂が散らばってしまわないように、額に赤土で死のマークを描き、死んだあと、死体は森に放置し、肉食獣たちに恩恵を与えるといいます。
その魂魄は、惑わされなければ、空に昇り「最初の木」にたどりつくこととなっています。出現する場所は、緯度や気象条件などの制約があるので、彼らにも、常時みられるものではないようです。氷河地帯に至ったとき選ばれた者にはじめて見える、また、その直接体験は、氏族の紐帯とか、あたかも信仰のように大変必要なものと思われます(いわゆる共同幻想ですね。太古の人にとっても死者を弔うのは大変切実な問題です。)。
当日は、幾分さめている私を除くほとんどの人が、「晴れたらいいね」とか、「今夜はどうでしょうか」とか、オーロラを、手ぐすね引いて待ちわびているところです。
光学式カメラ以降、一眼レフはやめてしまった私ですが、ほとんどの皆さんは、しっかり、オーロラ撮影のため、三脚から、高度、高性能の一眼レフや、ビデオをご持参です。
到着日当日は、首都レイキャビクのダウンタウン近くのホテルに泊まりましたが、当晩は食事抜きのため、国鳥のパフィン(ニシツノメドリ)を食べに行った人(国鳥を食べるというのもすごい文化ですよね。)もいましたが、私たちは、目抜きといわれる商業、商店街を歩いてみました。
目抜き通りは、アイスランド一の繁華街でそれなりの一流のブティックや、レストランなどと共に、横道に入れば怪しげなパブなどもあります。とおりすがりの外国の若者たちも、あまりタトウーや、過激なピアスなども見かけません。
商店の建物なども、最上階にロフトのような部屋がついた三階建てが多いようです。地下部分がパブやカフェーになったような建物も見かけますが、多くの建物が、白い漆喰を四角い窓の周囲に塗って縁取った北欧風の外装です。繁華街を歩いても、東京のような雑踏とは違い、9時ころまでは明るいので、白夜とともに趣があります。
ところで、バスのガイドさんやホテルのスタッフを含めて、彼らはアイスランド語しか話しません。
人口33万人弱という中ですが、これは徹底しています。英語に加え、ノルウェー語やデンマーク語が公教育に使われている、と言っていましたが、英語はビジネスの言葉なのです。
もっとも、アイスランド語が、我々の民族語、日本語ほど周辺国家の言語と「違っている」ということはないと思いますが。
アイスランド語は、人口数から類比していけば、何らかの原因で、すたれてしまうかもしれない言語です。自国語を使った地元新聞記事や、表現行為など、極めて重要なことでしょう。
後日、日本にも紹介されているという有名な児童文学者の生家と記念館を来訪しましたが、彼らの危機意識と、自国の本ばかり読むわけではないでしょうが国民の読書量世界一というその反作用(?)に思い至ります。
私たちのホテルは海岸線に面したホテルですが、近くにアイスランドの国立劇場があり、それに至るまで長く広い海岸線が続き、同時にそこいらはオーロラ鑑賞スポットです。ホテルは、シャワーブースだけですが、硫黄のにおいがする熱水がすぐ出てきます。温泉シャワーです。水道水は軟水で、地下水の汲み上げ水と聞きました。日本の都会の水道水などと違って、冷たくとても美味しいものです。
皆、ミネラルウオーターなど買わず、水道水をペットボトルに詰めて持ち歩きます。さる人が、マーケットでミネラルウオーターを買おうとしましたが、本当に買うんですかと、問い返されていました。
暖房は当然スチームです。エアコンは、一応はありますが、あまり使うことはないようです。
ホテルのスタッフは、皆、明るく親切です。
屈託なく、親切に対応してくれます。
出かける前にフロントで傘を貸してくれといい、すぐに貸してくれましたが、風の強い、降ったり止んだりの気候の中、アイスランドで傘をさす人はいないそうです。
治安はとてもいいと聞きましたが、33万人弱の人口では、悪い人間も、良い人間も極端な人間はいないのではないでしょうか。先の国内の表現行為を含めて、文化の爛熟とか、退廃的な文化なども生じにくいのかもしれません(失礼)。
格差の大きな社会であれば、そちらからくる不安定要素もありますが、土地も家などの建築費も極めて安い(普通の家の建築費が邦貨800万円くらいといってました。)のであり、国土も広いなら、漁業収入や、観光収入で国民生活が営めるなら、極端な不公平感は生じないのかもしれません。
繁華街を散歩し、コンビニに食料を買いに行きましたが、確かに、品ぞろえはあまりよくありません。
JCBでもなんでも、カードはOKです。オリエンテーションで有料トイレの使用料も、カードで大丈夫、との話までありました。
残念ながら、その夜は、時差の原因なのか、爆睡してしまいそのままです。
オーロラの撮影に行った人もいるみたいですが、残念ながら曇り空で、オーロラは見えなかったそうです。
イ 二日目(その1)
翌日の朝食はとても良いものでした。
乳製品の、ヨーグルトを固めたような、国民の常食といわれる、スキムミルクから作られるという酒粕状のスキール(skyr)があり、これはおいしいものです。酪農製品が国内でどれだけ生産されるかは知りませんが、試した何種類かのチーズもおいしいです。
穀類は、国内でほとんど採れないと聞いており、自前の小麦粉で作るパンはないのかもしれませんが、それなりにおいしいものでした。ワッフルを自分で作れる装置(たい焼き機みたいなもんです。)があり、楽しいものです。
確かに野菜などの品ぞろえはあまりなく、トマトとレタスのようなものですが、量はたっぷりあります。果物はほとんど輸入品と聞きましたが、リンゴは小ぶりですが、酸味が多くおいしかったところです。
外に出てみると、二連の虹に遭遇しました。
初めての体験です。海岸沿いの空に、二連のアーチを描きます。
空気がきれいなのか、とても鮮明に見えます。
こちらでも珍しいのか、多くの人が車を止めて、写真を撮っていました。
こちらの人は、何か些細なことがあっても、フェアリー(妖精)のせいだ、というそうです。私の実感では(コノテーション(言外の意味)の類推では)キリスト教以前の、いたずら好きの妖精であるかのように思えます。異邦人にも、なんとなくゆったりとした時間の流れが、感じられるようです。
虹はなかなか消えません(「クロニクル」では虹の描写は何もなかったように思います。)。
やっぱりゆったりとした時間のようです。
国内便に乗り換えるため、レイキャビク空港に移動です。
空港は、まるで地方のバスステーションのようです。
皆、ぼーっとして、定刻のずいぶん前から、プロペラ機の運航を待っています。
荷物は、1人一個、20キロまでという基準がありますが、重量が超えようと数が増えようと、少々どうだろうとスタッフは苦情を言いません。
時間になると、待合所から10メートルも離れてないタラップから搭乗です。同じく、空気のきれいなせいか、全くの青空です。同乗者たちは、風の中で、写真を撮りまくりです。
機内では、客室乗務員は大きな女性です。180センチくらいはありそうな人で、ノルウエー、バイキング系(濃い金髪)です。彼女は、何者にも何事にも頓着せず、彼女のペースでサービスをします。
添乗するうちのバスの現地ガイドさんと雰囲気も振る舞いもよく似ています(少し皮肉)。
晴れた日で、機中から見下ろすと、地上にはあちこちの氷河と、湖がモザイク状に分布しています。
それ以外のほとんどの場所が、台形状の草原となっており、樹木は殆ど見当たりません。
樹木はシラカンバ、カバ、ヤナギなどが原産種だそうです。それぞれ、巨木にはなりにくいのかもしれません。
深い森におおわれた「クロニクル」の時代とは、やはり違います。もともと、アイスランドも深い森でおおわれていたそうですが、今では当時の面影はないそうです。デフォレストレーション(森林後退)の問題とか、ガイドに聞いてみましたが、国土が広く草だらけのせいなのか、植林をするとか、特に関心はないようです。
久しぶりにプロペラ機に乗りましたが、危機感もなにもなく、安全に着陸しました。やはり、特有のアイスランド時間のようです。
私たちのバスは、26人乗りの中型バスです。
みんな好き勝手に乗り込みます。
フィヨルドにそそぐ大きな川のそばのドライブインで昼食です。どこからが海でどこからが河か良く分からない河のそばに立っており、護岸も自然護岸のようで気持ちが良いところです。ドライブインは、日本国の地方の農協の倉庫のような建物の中にあります。さすがに中は板張りで、トイレ(レストルームではないですね。)もきちんときれいです。
しかし、小便器が異常に高く、私自身、身長は175センチはありますが、ようやく届くほどです。同道の他の人はどのような対応をしたのか、聞きたいくらいです。総じて、バイキングの末裔らしく体格が良い人が多いです。
レストランは、どこでも、料理は、三品くらいのコースです。
ここでは、マッシュルームのスープがまず出ます。マッシュルームの総称で、何茸かわかりません。ポタージュ仕立てで、大変おいしゅうございました。添えたバゲットも調理がいいのか歯ごたえがありおいしいものです。
続いて、北極イワナの焼き物(料理の名前がわかりません。)が出ます。
これもおいしいものでした。じっくり火が通っており、底味があります。ついでに、予てより持参した小分けの醤油を使わせていただきました。もし、こんなイワナが釣れるなら、もちろん刺身ですね。前テレビで見た、イヌイットの家で、伝統食として、凍らしたイワナのセゴシみたいに調理して(丸切りですね)を、家族で食べるシーンがあり、子供たちは嫌そうに食べていましたが、なぜ醤油を使わないんだ、と思ったことを覚えています。デザートもおいしいアイスクリームでした。
夜は、オーロラ観察のために極力あかりのない窪地に建てられたというホテルに宿泊です。
食事は、タラの焼き物マッシュポテト添えです。タラがちょっと臭うような気がします。こちらの流通では、海上で網から揚げると船上冷凍だそうです。したがって、解凍後調理ということになりますが、それじゃ、味が落ちるよね。底流魚だから、冷凍しない新鮮なタラで刺身は無理なのか?いいタラなら、鍋とか、ちりとかできないのか。確かに、日本で食べても、冷凍切り身の鍋では美味くはないが。
他のからすガレイとか、家人があぶらっぽいと嫌うので、最近煮つけであまり食べないのですが、このあたりが本場ではなかったのか、おひょう(確かハリバットとか、英語で言ったと思います。)とかも獲れたのではないか、魚の種類といくらもバリエーションがある日本的なその調理が思い浮かびます。 是非、首都レイキャビクで、先進的な日本人に、取り組んでみてもらいたいものです。例のカペリン(カラフトシシャモ)の商談で、日本人の
水産業関係者も多く来訪するそうですから。
タラの漁業権をめぐって、アイスランドは、過去に、英国と戦争、直接戦闘((タラ戦争)1958年から1976年まで))をしています。それほど昔でない自由主義圏でも、たとえ、人口33万弱の小国でも、国民国家の経済問題をめぐって、沿岸警備隊はもちろん漁師でさえ、銃を握って戦うのです。
現在の、TPP条約推進者という政府が、アメリカの特権階層に仕掛けられた経済戦争に、大多数の国民(過去日本近代以降の国民の大多数と言い換えましょうか。)の利害に反して、あらかじめ白旗を立てる、バカな日本政府とはえらい違いです。防衛問題(?)を配慮したとか、平和解決とか、争いを好まない、とかいう、彼らの恥知らずな言説の前に、中共などの覇権国家に、米欧に、踏みにじられる経済利害に、漁民は、農民や大多数の国民は怒りを表すべきではないか、と私は、アイスランドで考えました。
たとえ、美味くない、フィッシュアンドチップス(タラが原料だと思う。)の原料供給のためでも、安定した資源を獲得して、弱肉強食の国際社会で、生き伸びていくために、国民国家及びその構成員は常に戦うのです。
私たちは、TPP条約批准拒否のため戦いましょう。
私は、すでに準組合員になっており、農協共済事業にも加入していますが、自国民の大多数の利害をなおざりにし、他国の大企業(中共もあるそうです。)、投資家に過剰に迎合し、国民の自助組織、農業協同組合の解体に手を貸す悪辣な自民党の農業政策に断固戦いましょう。
かつての、タラ戦争をめぐって、現在の我が国の現状に憤激しましたので、その2はここまでです。