「地の果てに行ってみたい」というのは、私にとって結構切実なのぞみ(友人に聞けば結構一般性が
あるようにも思いますが)です。いまさらですが、私自身の顔つきからしても顕著なモンゴロイド系で
すので、かつてグレートジャーニーに参画した特有の北方志向があるように思い、できれば、南より北
の(冷涼性気候の)、また、できれば島しょ(大陸から離れた孤立した島国)(歌の文句ではないけれ
ど「ここは地の果て○○○○」、がぴったりくるような)の寒い北の果てへ行きたいと思っていました。
このたび、機会がありましたので、貯金をおろして、ツアーで、アイスランドへ行ってまいりました。
このとおりの人間なので、「楽しい、おいしい、素晴らしい」、とかとは、無縁に近いような人間です。
したがって、その意味での期待はご容赦ください。
長年、ジュブナイル愛好家である私の愛読書で、ミシェル・ペイヴァーのという作家の児童書「クロ
ニクル千古の闇」という本があります。これは、紀元前6000年頃に、北部ヨーロッパがまだ森林におお
われていたころ、すでに新人類の時代が到来してはおりましたが、人々が狩猟と採収生活で暮らしてい
た時代に、深い森林と大西洋(北海から北極海にかけての地域と思われます。)に面した北部ヨーロッ
パを舞台に、小さな狩猟部族の少年が、父の代から続くシャーマン(魔導師)たちの権力闘争に巻き込
まれ、父の敵として悪い魔導師たちを打ち倒していく物語です。彼は、幼児期に母に死に別れ、父によ
って子育て中の狼の巣穴にあずけられ(アヴァロンの野生児を下敷きにしています。)、運よく、めす
狼に育てられ、おかげで狼たちと意志疎通ができます。その後、父に育てられますが、「魂喰らい」と
いう魔導師たちの内部抗争で、呪いの力で作られた悪い魂を持つ大熊に、父が殺されたあと、たまたま
助けた(たまたまではないんですね。物語の中では必然です。)幼い狼と共に、その孤立した生い立ち
ゆえに血族と部族からは疎外・迫害される厳しい状況の中で、「悪い魔導師軍団」=「魂喰らい」に立
ち向かう過程で、義兄弟の狼や、ワタリガラス族という彼の味方になる部族でシャーマンの能力を持っ
た弓の得意な少女との出会い、父と死に別れた当初は12、3歳の少年が、試練を経て自己形成を遂げて
いく物語です。
全部で6巻ありますが、大変良質な読み物で、石器時代のヨーロッパで、少年と少女の二人が懸命に
立ち上がり、呪力や強い力を持つ強い敵との孤立した戦いと、彼らを取り囲む厳しい自然や周囲の悪意、
時として周囲の大人の善意と協力を経ながら、理不尽なものに対する怒り、他人に受けいれられない悲
しみや、憎しみを経験して、思春期においての友人や少女に対する嫉妬などもちゃんと書かれてあり、
またその孤独な戦いが徐々に周囲に認められ、自然の豊かさとその厳しさの中で、狼やワタリガラス、
滅んだオーロックス(牛の原種)、野馬(のうま)たちの周囲の霊ある動物あるいは植物などとの交流
を含めて、彼らがだんだんに成長していく姿が大変良く描かれています。訳者はさくまゆみこという
方で、挿絵は、酒井駒子さんという方で、少年や少女を描いたパステル画に油絵を重ねたような(?)
柔らかく魅力的な挿絵です(本当は、皆、顔に部族のしるしや、数多くの魔除けに必要な呪術的な刺青
をしているのですが)。
著者は、ベルギー人とアフリカ人との混血といいますが、アフリカその他様々な国を旅行し、神話や
民俗学を集中して学び、また一方で化学者として専門性のある法廷弁護士の資格も得た人のようです。
彼女は、石器・狩猟時代の物語を実に実に生き生きと描いています。その世界とは、万物は「万物精霊
の精」から発生したもので、動物にも、植物にも魂が宿っており、その存在倫理(タブー)に抵触した
者は裁かれる、という当時(と思われる)の一貫した世界感に基づく世界です。
良きにつけ悪しきにつけ、それなりに我欲のある人間たちが、私欲によって、(当時のシャーマンた
ちは実際的な力を持っていますが)、無駄に、いたずらに(たわむれに)動物や植物を殺したり、むさ
ぼったり、奪ったりすれば天地精霊の精に、最期は裁かれるという、日本人とすれば、なじみやすい
(理解しやすい)、ある強い倫理(規範)に基づき、物語は進んでいきます。
悪の精霊を退け、善の精霊と人間をつなぐ存在シャーマンたちはまじないや呪いの軽減、医術などで
実際的な力を持ち、部族の危機の度ごとに判断を仰がれ、首長の助言者として、各部族の運命を左右し
ます。主人公の二人や、他の登場人物を含め、基本的に、近代の人間のような考え方をしますが、また、
良質なジュブナイルのパターンで、正義と悪の対立と正義の勝利という道行きですが、それは物語とい
うことで。
物語が進んでいく過程で、様々な伏線がふりまかれ、物語として読ませます。様々な試練と経験の中
で、レンというシャーマンの資質を持った女の子の悲しい出生の秘密や、主人公トラクという少年の父
や母の苦難と苦闘の物語がだんだんに明らかになっていき、すこしづつ育まれる彼らの友情と信頼、そ
して彼らの思春期の物語にもつながっていくのです。
この本を読んでいろいろ触発されたことについて、このたび、当該、ミシェル・ペイヴァーの名著
「クロニクル千古の闇」と一緒に、当該舞台の一部になったと思われる北国の果ての地、アイスランド
(実際のモデルにもしたらしい。)に仮託しながら、現地の自然などを語っていきたいと思います。
ア JALについて
このたびのツアーは、JAL直行便で行けました。私の、乏しい旅行経験で恐縮ですが、今にして思えば
かつて利用したカンタス航空は決して悪い航空会社とは思いませんが、それ以外の外国航空会社に比
べて、JALのサービスの質は格段に違うと思います。外国の客室乗務員は肉体労働者(一般的に大変な
肉体労働だと思いますが)のような外見からしてそのサービスを想えば、当該航空会社の方針なのか、
時に旅客としての自分が「もの」にされたような気がする時があります。JALの方は、客室乗務員の外
見(?)はもちろん麗しい方ですが、そのサービスははるかに人間的です(もう一つの有力国内航空
会社は、エコノミークラスの客の扱いとの差で嫌な思いをしたことがあり、極力利用しません。)。私
見ですが、JALでは客と乗務員の見解が対立したかのように思えるときに、疑わしきは、客の利害にと
処するような態度が見て取れるからです。最近決してそれを皮肉に思わなくなったのですが、「思いや
りと察し」というのは、サービスを受ける方からすれば、やはりうれしいものです。JALと、客として
の利害が直接的に対立(事故など)すれば、ここまでいかないかもしれませんが、親切で、時宜を得た
ような対応を見れば、ついでに、日本人の国民性にまで思いが至ってしまいます。
私は美食はしていない(経済的にできていない)人間ですが、率直に言って機内食はおいしいもので
した。11時間の往路の道中、食事と軽食とおやつがあり、妻と同行したので、洋食、和食と食事を交換
したのですが、和食はそれなりのわさびもちゃんと用意され、刺身を食す際、泡醤油(こぼれないよう
に泡立ててつけ醤油の代行をするもの)というのをはじめてみましたが、使えばおいしいものです。洋
食系は普段食べないのですが、このたびサラダの生野菜を食べてみて生の野菜のサラダは、切り方一つ
でこれだけ味が違うものかとびっくりしました。パプリカ、ルッコラとか、個々の野菜も十分に吟味さ
れています。私の普段食は、主食は、ほぼ豚肉使用野菜バリエーションですので、このたび食べた、フ
ィレ肉とか付け合せのエリンギにもちゃんと風味があり添え物と一緒で珍しくおいしい食事であり、レ
ンジ料理がどうの、とか苦情を言うつもりは全くありません。
本来いけない人間の私は別にして、ビールからワインに切り替えた妻は、つまみ(例のJAL納豆です。
)をもらい幸せそうです。飛行コースは、直行便ということで、ロシアの上空から北部ヨーロッパへ向
かう早いコースで11時間くらいで到着するものであり、どうにか我慢が出来ました。いずれにせよ、旅
慣れた人のように機内で眠ることが出来ません。9時間の時差の後、あまり眠れないまま昼の13時にア
イスランドについてしまいました。
イ 到着時について
第一印象は風の国です。
山も見えない広々とした曠野(チェーホフが描いたような荒れ地を連想します。)を常時、強い風が吹
きわたっていきます。遮蔽物がないので、風を切る音が強く響きます。とても爽快です。
あまりに索漠たる風景からなのか、道に沿って走れば丘陵のところどころに古びたブロンズ像や石像
が何とはなしに佇立しています。樹木はほとんどなく、時期的には晩夏ということで、紅葉した草草が
赤くなったり、黄色の色は少ないですが、あたり一面に群生して生えており、同時に、緑色の苔が一面
に繁茂しています。
寒いのではないかと予期してましたが、メキシコ湾流の影響なのか摂氏10度の後半で、湿気もかなり
あるようです。空港から、市域(レイキャビク)までバスで30分くらいかかりますが、その荒涼たる景色
がとても気に入りました。
空港からの移動は押しなべてバスですが、今回のような、添乗員(JTB)さん、つきの旅行は、きわめ
て久しぶりのことです。バスは、運転手と、現地のガイドさんがセットでつくようです。
バスの中で、添乗員さんが、オリエンテーションを始めました。(後から聞いたのですが、彼女はモ
ズレム国家を行き来するツアーを主戦場にしたベテランのガイドさんで、JTBに数年前入りなおしたとの
ことであり、なかなかの女傑です。欧州ツアーなど彼女にはピクニックかもしれません。肉体的には大
変でしょうが、女性の添乗員はかなり有能で繊細またそれ以上にタフです。)
アイスランドは北海道の約1.4倍の面積に33万人弱の国民しか住んでいないこと、人種的にはノルウエ
ー系(ヴァイキング系の血を引くもの)の人間が6割(私が観察した限りほとんど明るい金髪でした。)、
あとはケルト系が4割足らず、宗教はカルヴァン派のキリスト教、治安は極めて良いこと、などについて
説明がありました。また、北方の島国国家であり、多くの氷河が現存しますが、それほどの降雪は望め
ないので、スキー場などはほとんどない、国土はその気候と地味が痩せているため農業に向かない、漁
業と、羊などの牧畜が主要産業で、火山国家であり、電力は地熱発電と水力発電で賄い、暖房用の熱水、
飲料水(軟水)には事欠かず、温泉、公営温水プールなどが数多く設置され、したがって電気代等は安
いが、穀類、野菜などの生産できない農業用品は輸入に頼っているため極めて価格が高い、などのオリ
エンテーションがありました。
あるようにも思いますが)です。いまさらですが、私自身の顔つきからしても顕著なモンゴロイド系で
すので、かつてグレートジャーニーに参画した特有の北方志向があるように思い、できれば、南より北
の(冷涼性気候の)、また、できれば島しょ(大陸から離れた孤立した島国)(歌の文句ではないけれ
ど「ここは地の果て○○○○」、がぴったりくるような)の寒い北の果てへ行きたいと思っていました。
このたび、機会がありましたので、貯金をおろして、ツアーで、アイスランドへ行ってまいりました。
このとおりの人間なので、「楽しい、おいしい、素晴らしい」、とかとは、無縁に近いような人間です。
したがって、その意味での期待はご容赦ください。
長年、ジュブナイル愛好家である私の愛読書で、ミシェル・ペイヴァーのという作家の児童書「クロ
ニクル千古の闇」という本があります。これは、紀元前6000年頃に、北部ヨーロッパがまだ森林におお
われていたころ、すでに新人類の時代が到来してはおりましたが、人々が狩猟と採収生活で暮らしてい
た時代に、深い森林と大西洋(北海から北極海にかけての地域と思われます。)に面した北部ヨーロッ
パを舞台に、小さな狩猟部族の少年が、父の代から続くシャーマン(魔導師)たちの権力闘争に巻き込
まれ、父の敵として悪い魔導師たちを打ち倒していく物語です。彼は、幼児期に母に死に別れ、父によ
って子育て中の狼の巣穴にあずけられ(アヴァロンの野生児を下敷きにしています。)、運よく、めす
狼に育てられ、おかげで狼たちと意志疎通ができます。その後、父に育てられますが、「魂喰らい」と
いう魔導師たちの内部抗争で、呪いの力で作られた悪い魂を持つ大熊に、父が殺されたあと、たまたま
助けた(たまたまではないんですね。物語の中では必然です。)幼い狼と共に、その孤立した生い立ち
ゆえに血族と部族からは疎外・迫害される厳しい状況の中で、「悪い魔導師軍団」=「魂喰らい」に立
ち向かう過程で、義兄弟の狼や、ワタリガラス族という彼の味方になる部族でシャーマンの能力を持っ
た弓の得意な少女との出会い、父と死に別れた当初は12、3歳の少年が、試練を経て自己形成を遂げて
いく物語です。
全部で6巻ありますが、大変良質な読み物で、石器時代のヨーロッパで、少年と少女の二人が懸命に
立ち上がり、呪力や強い力を持つ強い敵との孤立した戦いと、彼らを取り囲む厳しい自然や周囲の悪意、
時として周囲の大人の善意と協力を経ながら、理不尽なものに対する怒り、他人に受けいれられない悲
しみや、憎しみを経験して、思春期においての友人や少女に対する嫉妬などもちゃんと書かれてあり、
またその孤独な戦いが徐々に周囲に認められ、自然の豊かさとその厳しさの中で、狼やワタリガラス、
滅んだオーロックス(牛の原種)、野馬(のうま)たちの周囲の霊ある動物あるいは植物などとの交流
を含めて、彼らがだんだんに成長していく姿が大変良く描かれています。訳者はさくまゆみこという
方で、挿絵は、酒井駒子さんという方で、少年や少女を描いたパステル画に油絵を重ねたような(?)
柔らかく魅力的な挿絵です(本当は、皆、顔に部族のしるしや、数多くの魔除けに必要な呪術的な刺青
をしているのですが)。
著者は、ベルギー人とアフリカ人との混血といいますが、アフリカその他様々な国を旅行し、神話や
民俗学を集中して学び、また一方で化学者として専門性のある法廷弁護士の資格も得た人のようです。
彼女は、石器・狩猟時代の物語を実に実に生き生きと描いています。その世界とは、万物は「万物精霊
の精」から発生したもので、動物にも、植物にも魂が宿っており、その存在倫理(タブー)に抵触した
者は裁かれる、という当時(と思われる)の一貫した世界感に基づく世界です。
良きにつけ悪しきにつけ、それなりに我欲のある人間たちが、私欲によって、(当時のシャーマンた
ちは実際的な力を持っていますが)、無駄に、いたずらに(たわむれに)動物や植物を殺したり、むさ
ぼったり、奪ったりすれば天地精霊の精に、最期は裁かれるという、日本人とすれば、なじみやすい
(理解しやすい)、ある強い倫理(規範)に基づき、物語は進んでいきます。
悪の精霊を退け、善の精霊と人間をつなぐ存在シャーマンたちはまじないや呪いの軽減、医術などで
実際的な力を持ち、部族の危機の度ごとに判断を仰がれ、首長の助言者として、各部族の運命を左右し
ます。主人公の二人や、他の登場人物を含め、基本的に、近代の人間のような考え方をしますが、また、
良質なジュブナイルのパターンで、正義と悪の対立と正義の勝利という道行きですが、それは物語とい
うことで。
物語が進んでいく過程で、様々な伏線がふりまかれ、物語として読ませます。様々な試練と経験の中
で、レンというシャーマンの資質を持った女の子の悲しい出生の秘密や、主人公トラクという少年の父
や母の苦難と苦闘の物語がだんだんに明らかになっていき、すこしづつ育まれる彼らの友情と信頼、そ
して彼らの思春期の物語にもつながっていくのです。
この本を読んでいろいろ触発されたことについて、このたび、当該、ミシェル・ペイヴァーの名著
「クロニクル千古の闇」と一緒に、当該舞台の一部になったと思われる北国の果ての地、アイスランド
(実際のモデルにもしたらしい。)に仮託しながら、現地の自然などを語っていきたいと思います。
ア JALについて
このたびのツアーは、JAL直行便で行けました。私の、乏しい旅行経験で恐縮ですが、今にして思えば
かつて利用したカンタス航空は決して悪い航空会社とは思いませんが、それ以外の外国航空会社に比
べて、JALのサービスの質は格段に違うと思います。外国の客室乗務員は肉体労働者(一般的に大変な
肉体労働だと思いますが)のような外見からしてそのサービスを想えば、当該航空会社の方針なのか、
時に旅客としての自分が「もの」にされたような気がする時があります。JALの方は、客室乗務員の外
見(?)はもちろん麗しい方ですが、そのサービスははるかに人間的です(もう一つの有力国内航空
会社は、エコノミークラスの客の扱いとの差で嫌な思いをしたことがあり、極力利用しません。)。私
見ですが、JALでは客と乗務員の見解が対立したかのように思えるときに、疑わしきは、客の利害にと
処するような態度が見て取れるからです。最近決してそれを皮肉に思わなくなったのですが、「思いや
りと察し」というのは、サービスを受ける方からすれば、やはりうれしいものです。JALと、客として
の利害が直接的に対立(事故など)すれば、ここまでいかないかもしれませんが、親切で、時宜を得た
ような対応を見れば、ついでに、日本人の国民性にまで思いが至ってしまいます。
私は美食はしていない(経済的にできていない)人間ですが、率直に言って機内食はおいしいもので
した。11時間の往路の道中、食事と軽食とおやつがあり、妻と同行したので、洋食、和食と食事を交換
したのですが、和食はそれなりのわさびもちゃんと用意され、刺身を食す際、泡醤油(こぼれないよう
に泡立ててつけ醤油の代行をするもの)というのをはじめてみましたが、使えばおいしいものです。洋
食系は普段食べないのですが、このたびサラダの生野菜を食べてみて生の野菜のサラダは、切り方一つ
でこれだけ味が違うものかとびっくりしました。パプリカ、ルッコラとか、個々の野菜も十分に吟味さ
れています。私の普段食は、主食は、ほぼ豚肉使用野菜バリエーションですので、このたび食べた、フ
ィレ肉とか付け合せのエリンギにもちゃんと風味があり添え物と一緒で珍しくおいしい食事であり、レ
ンジ料理がどうの、とか苦情を言うつもりは全くありません。
本来いけない人間の私は別にして、ビールからワインに切り替えた妻は、つまみ(例のJAL納豆です。
)をもらい幸せそうです。飛行コースは、直行便ということで、ロシアの上空から北部ヨーロッパへ向
かう早いコースで11時間くらいで到着するものであり、どうにか我慢が出来ました。いずれにせよ、旅
慣れた人のように機内で眠ることが出来ません。9時間の時差の後、あまり眠れないまま昼の13時にア
イスランドについてしまいました。
イ 到着時について
第一印象は風の国です。
山も見えない広々とした曠野(チェーホフが描いたような荒れ地を連想します。)を常時、強い風が吹
きわたっていきます。遮蔽物がないので、風を切る音が強く響きます。とても爽快です。
あまりに索漠たる風景からなのか、道に沿って走れば丘陵のところどころに古びたブロンズ像や石像
が何とはなしに佇立しています。樹木はほとんどなく、時期的には晩夏ということで、紅葉した草草が
赤くなったり、黄色の色は少ないですが、あたり一面に群生して生えており、同時に、緑色の苔が一面
に繁茂しています。
寒いのではないかと予期してましたが、メキシコ湾流の影響なのか摂氏10度の後半で、湿気もかなり
あるようです。空港から、市域(レイキャビク)までバスで30分くらいかかりますが、その荒涼たる景色
がとても気に入りました。
空港からの移動は押しなべてバスですが、今回のような、添乗員(JTB)さん、つきの旅行は、きわめ
て久しぶりのことです。バスは、運転手と、現地のガイドさんがセットでつくようです。
バスの中で、添乗員さんが、オリエンテーションを始めました。(後から聞いたのですが、彼女はモ
ズレム国家を行き来するツアーを主戦場にしたベテランのガイドさんで、JTBに数年前入りなおしたとの
ことであり、なかなかの女傑です。欧州ツアーなど彼女にはピクニックかもしれません。肉体的には大
変でしょうが、女性の添乗員はかなり有能で繊細またそれ以上にタフです。)
アイスランドは北海道の約1.4倍の面積に33万人弱の国民しか住んでいないこと、人種的にはノルウエ
ー系(ヴァイキング系の血を引くもの)の人間が6割(私が観察した限りほとんど明るい金髪でした。)、
あとはケルト系が4割足らず、宗教はカルヴァン派のキリスト教、治安は極めて良いこと、などについて
説明がありました。また、北方の島国国家であり、多くの氷河が現存しますが、それほどの降雪は望め
ないので、スキー場などはほとんどない、国土はその気候と地味が痩せているため農業に向かない、漁
業と、羊などの牧畜が主要産業で、火山国家であり、電力は地熱発電と水力発電で賄い、暖房用の熱水、
飲料水(軟水)には事欠かず、温泉、公営温水プールなどが数多く設置され、したがって電気代等は安
いが、穀類、野菜などの生産できない農業用品は輸入に頼っているため極めて価格が高い、などのオリ
エンテーションがありました。