・爆炎を上げ、燃え盛る護摩の焔。
・密教(真言宗や天台宗)の加持祈祷として、潮音院でも炎が上がる不動護摩は勤められます。
・元を辿れば仏教のふるさと、インドで伝統的に勤められていた加持祈祷の手法でした。
・その作法と仏教がくっついて出来上がったのが密教の不動護摩です。
・当時のお坊さまも、信者さまたちの気持ちに応えるために取り入れたのでしょうか。想像が膨らみます。
・異なる信仰文化が融合するのは、日本の神仏習合と通じるものもあります。
・不動護摩はお不動さまに供物を捧げるお作法です。炎によって天上に捧げられた供物をお不動さまが受け取り、供物を捧げた者にご利益を施して下さいます。
・それがお不動さまに祈ると願いが成就する、と言う信仰の理屈です。
・お導師さまが火中に投じているのが供物の代表である種々のお香です。
・参拝者さまを代表してお不動さまに供養するお導師さまは、言わば神官さまのような役割とも思えます。
・そして不動護摩のもうひとつの大切な目的。それが修行です。
・燃え上がる炎を通してお不動さまと心を通わせていると、問答無用で心が落ち着きます。
・炎の揺らめきそのものに、そう言った作用があるのが一つ。
・あるいは一定の形を持たず常に変化し続ける炎は、仏教の根幹、諸行無常の象徴とも言えます。
・諸行無常の理屈を感得した悟りの境地は、まさに自由自在。
・何物にもとらわれることなく清らかに生きることが叶います。
・それは、心願成就した先に訪れる如意満足の境地そもの。
・道のりは違えど、護摩の先に待っているのは同じ目的なのかもしれません。