宇宙がとてつもなくでかいという話は聞いている。だから常識としてというか、なんとなくの感覚として宇宙のどこかには知的生命体がほかの星にもあるはずだということは理解していることと思う。しかしながら実際の話としては、どこにいるのかは皆目見当もつかない。広い宇宙のどこかという感覚のみの理屈である。
ところが、やはり天文学というか、宇宙に関心のある科学者にとっても、これを調べている人というのは当然いるようだ。ただ、探すのは簡単な話ではなくて、探し方すら正確には分からない状態なので、確率として本格的に手を出している研究者は、そんなに多くは無いのだという。研究しても結果を出せる確率が低いので、要するに金が出ないということもあるんだろう。関心もあり実に夢のある題材でも、金が出なければ食っていけない。地球人の悲しい現実である。
生物が時間をかけて進化するらしいということも分かっているから、地球外生物を探すには、長い時間をかけて生物が生存できる環境の星でなければならないということになる。そういう環境にある星というのは、やはり宇宙ではそれなりの偶然にある星であるらしい。でもまあ探すのは簡単ではないにせよ、まさに地球がそれなのだ。それだけものすごい偶然が重なって地球環境というものがあるらしいので、以前には地球唯一論というものもあったようだ。大気があって液体としての水があって、適当な重力があり有機物を生み出す物質もそろわなくてはならない。さらに隕石の衝突で恐竜が絶滅したとされるように、巨大な災害の無い長期的なスパンの時間も必要になる。そうではあるが、火山活動などで生物には脅威になるプレートテクトニクスのような地殻変動のある環境でなければ、星の安定した気温を保つこともできないという。だから理屈の上では火星のように過去に諸条件が整っていた星であっても、生物がいるのかどうかさえ分からないわけだ。いわゆるファビタブルゾーンといわれる惑星の回っている距離の条件に合った場所にあって、さらに多くの条件が整わなければ、地球のような条件が揃わない。また月のような衛星があることの恩恵も地球にとっては大きいと考えられているので、たまたまそのような過去を歴史的にも持っている必要もあるのかもしれない。そうなると、いくら広い宇宙といえども、やはりそうそう同じような地球的環境は整わないというわけだ。
しかしながら本当の問題は、やはりそういう星をいまだに探し出せさえしていないということにもあるかもしれない。現在は他の惑星に生命体がいる可能性のある星を、候補として探し出せるようになった段階らしい。確率の上での捜索が可能になったということで、その星で生命がいるかどうかを確認する術は、今のところかなり難しい。さらに距離の問題があって、そういう星があるというのを実際に見えるようにすることさえ、かなり難しいハードルがありそうだ。もちろん人間の目で見るという理屈を超えなければ、数千光年という距離のハードル自体は、どうにも動かすことなどできないわけだが…。
もちろん、そういう現実だからこそロマンだということはできる。ここまでわかっているだけでも素晴らしいことでもあるだろう。また、やはりいつか人類はそのような方法さえ見つけ出す可能性はあるだろう。そのためにもまずは、夢に金を付けるアイデアが必要かもしれない。霞を食べては生きていけないのだから…。