カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

月に手を伸ばすな   麗しのサブリナ

2018-02-11 | 映画

麗しのサブリナ/ビリー・ワイルダー監督

 大富豪実業家のお抱え運転手の娘が、その富豪の息子に恋をする。身分違いでかなわぬ恋だったが、パリの料理学校に留学して帰ってきたら、美しく(まあ年頃だし)なっていて一転して息子と恋仲になる。しかしこの富豪の息子は既に婚約相手があり(プレイボーイでもあるようだ)、その相手先の企業とも大型プロジェクトが進行していた。息子の兄がこの恋路を破断させる為に画策するが、ここでこの二人は期せず淡い恋心が芽生えてしまう。それでも兄は、そのまま娘を騙してパリに追い返そうとするのだったが…。
 ロマンチック・コメディという事で、要するにおとぎ話だが、オードリー・ヘップバーンのキュートさで押し切った作品と言える。もちろん彼女は人気絶頂だった訳で、いくら相手役のウイリアム・ホールデンや、ボギーが大物だったとしても、見事にやり過ごしているような姿を見せている。さらに現代人の目から見ると、ボギーは二枚目だが、いかんせんオードリーとは年が違いすぎるようにも感じる。ちょっと現役感が無いというか。
 お互いの擦れ違いの感じは、ややまだ恋愛が足りないような気がしないでは無い。もう少し深い仲だからこそ、悲しみが深かったり、騙された重みも強くなるのではないか。少なくとも弟は聞き分けが良すぎる訳で、兄は悪人である。
 まあ、軽い楽しい話で、しかし「月に手を伸ばすな」というのは、格言として現代でも十分に通用する言葉なのではないかと思った。そういうものが無い現代社会だというのは実は間違っているのかもしれない。もちろん理屈の上では恋愛は自由で、身分でその障害があるというのは正しいとは言えない。しかしそれは、限りなく表面的な正義のようなものでしかないのではないか。だからこそ、人間がどう生きるのかという事を考えさせてくれる。難しい関係性がありながらも、恋愛は止められない。だから面白いのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする