こう暑くては、とても散歩などやってられない。それでも何とか歩こうとはしているが、実際は正気の沙汰とは思えない。我ながら、本当に馬鹿なのではないか、と考えてしまう。単なる我慢比べというか、マゾ的な苦行である。しかし、歩かねばならない。そういう定めなのだ。
いろいろ都合があって、6月末ごろから歩けなくなった。一日8,000歩を目標にしていて、約一週間とちょっとロスしたせいで、6万歩ばかり不足した計算になったようだ。一日ではとても挽回できる数字ではないし、やはりコツコツやるしかない。そう思って一日歩く歩数の設定を10,000歩に設定し直した。それでひと月で挽回できる計算だ。
しかしこの時期は、やはりそう簡単な設定ではない。すでに暑くなっていて、着替えが必要だし、昼休みにそれなりにまとまった時間歩いても届かないし、夕方再度時間を取る必要がある。数日は何とか上手くいくが、やはりできない日もある。葛藤があるが、焦っても仕方がない。毎日の積み重ねが大切なのだから、やはりコツコツ歩くよりほかに方法が無いのだ。
そういう感じだったのだが、今度は痔の調子が悪くなって、手術のために入院してしまった。結局自宅療養でもいいだろうということになって二泊三日で出てきたが、やはりあまり歩くコンデションではない。またまた歩数の借金が増えてしまった。これは精神的にかなりつらい。ひと月での挽回が難しいと、心が簡単に折れそうになる。いわゆる前向きな気分になれないのだ。でもそうして歩かないでいると、ますます道は険しくなる。腐らず目の前の目標に向けて、歩くより仕方ない。一日千歩余分に歩けたら、ひと月で3万歩余分が出る。借金の半分近くまで返せるではないか。そうして継続して来月も頑張ればいいじゃないか。
そういう風に考え方を変えて歩こうとするのだが、とても日中は歩けるような状態ではなくなってしまった。そうすると朝早く起きて時間を作り、昼は建物の中を徘徊し、夕方着替えをするくらいに歩いてはどうだろう。
しかしこのプランも現実的ではない。朝は早く起きるのは嫌なものだし(早起きすると、体調が狂うのである)、昼は相変わらず暑すぎる。それに建物の中では、昼寝をする人もいて、邪魔ができない。近くにショッピングセンターなんかがあるといいが、田舎なのでそう簡単ではない。それにわざわざ車で移動してそういうところに行って歩くなんて言うのが、ちょっと変な感じがしないではない。そうして夕方になっても陽は簡単に沈んでくれない。雨が降る日もあったりする。言い訳の材料はたくさんあるのに、条件のいい日なんてそうそう無いのだ。
そうやって、またグダグダとぼちぼちが混ざった散歩を断続的にやっている。8,000歩達成も苦労する問題だが、そんなに借金を増やすことなく、だましだまし時間をやりくりしている感じだ。そもそもなぜ歩かなければならないか、目的もあやふやになってきているが、歩かなければ、そもそも始まることではない。だからこそ、そういう定めなのである。