ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期/ジャロン・マクガイア監督
原題は「Bridget Jones's Baby」。内容的には原題通り。子供を巡る話である。10年以上前にヒットした二作がある。主人公も同じレニー・ゼルウィガーが演じており、さすがに(…)とは思ったが、だからいいという事である。相手役のヒュー・グラントだけは演技としては出演してない。お話としては仕方ないけど、なんとなく残念かもしれない。
酒を飲みすぎて行きずりの男と一夜を共にし、さらに以前好きだった男が妻と別れ話最中とのことで一晩を共にする。その間二日のタイムラグあり。しかし妊娠していることが発覚。父親はどちらか分からない。そういう中で自分が奪い合いに会うというモテ期になるという事。既に40は過ぎて、仕事では重要なポストながら失敗も多く安定した立場では無い。英国らしいどぎついジョークの混ざったドタバタ・コメディになっている。セックスはからむが、基本的には下着姿までの、しかし捨て鉢な体を張った演技がこのシリーズの売りである。まったくよくやるよ、と観ている方は呆れながら笑うという事になる。
女性が見て共感するストーリーなのだろうと思われるが、もちろん男性が観ても楽しいとは思う。どちらの子供か分からないながらも妊娠させた女性を取り合う(暴力ほぼ無し)というのがある一定の説得力があるのは、他ならぬイケてないという設定ながらレニーがキュートだからであるという事が、男側からの理屈であろう。自分の子供が欲しい一心というのとはちょっと違うのが、女性の側からのキモではあるだろう。まあ、そういうのが複雑に絡むのが楽しい訳だが。
とにかくドジなのはいいのだが、寒い夜に雨の中身重で家に入れず途方に暮れるシーンにはなんとなく怒りを覚えたので、もっと子供を大切にしてほしいという思いが僕にはあるのだろうとは感じた。そういう母親は嫌である。それ以外は笑って許せたのだが。
さらによく考えると、相手の男は金持ちで社会的な地位の高い二人である前提が、先ずちょっとという感じもする。これが売れない芸術家や、警備会社のバイトなどの男なら、やっぱり女性はときめかないのだろうか? まあ、いいんだけど、そんなことも考えずにはいられない。描かれていないが、これだと当然他の女のライバルがたくさんいるんじゃないだろうか。そういう欲張りな感じがさりげなくオブラートに包まれており、ダメなんだか勝ち組なんだかよく分からないのであった。
世の中どうなるかは分からない。今はうだつがあがらなくとも、女性はハッピーになれるという希望のある話なのかもしれない。