現在の目黒区下目異にあたる景色である。行人坂を下って目黒川に架かる橋が太鼓橋で、橋上には雪中を行く人々が描かれる。橋の北側の台地は、俗に「夕日の岡」とも称された景勝地で、かつて夕日に映える紅葉が見事であったことからこう云われた。しかし広重はあえて雪景とし、紅葉の紅・夕日の紅に象徴される暖色のイメージを覆し、寒色系の色調にまとめている。目黒不動尊にも程近く、参道に沿ってたくさんの店が軒を連ね、にぎわいを見せた。江戸にはめずらしいアーチ形の石橋を印象深く事前に配している。東詰めに江戸時代から200年以上続く老舗「太鼓鰻屋」があり、当時の面影を残している。
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