本シリーズにはめずらしく、美人を前面に配した一図。江戸の中心部を闊歩するのは揃いの着物の芸者衆で、閉店まぎわと思われる店の様子から夕刻の景であると思われる。芸者たちは、お座敷に向かうところであろうか。現在の中央区日本橋本町三丁目から大伝馬町の人形町通りにかけては、木綿問屋が軒を並べており、木綿店と称された。手前に「田端屋」、次に「升屋」「鴫屋」と店を連ねている。こういった長屋形式は大伝馬町の特徴で、屋根の上には雨水桶を置くなど、防火設備を兼ね備えていた。
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