ちょいボケじじいの旅・酒・エーとそれとね

毎晩酒を愛で古き日本と温泉を愛す、少し物忘れも出始めた爺が、旅日記やコレクション自慢などと、時々の興味のままを綴る。

南北海道格安団体ツァーの記 その3(最終) 2005.5.27(金)・28(土朝)

2011-09-19 16:23:17 | 旅日記

 やや曇り空となった三日目の最初はオプションに参加しない人を降ろすために札幌駅北口に、定山渓からほんの暫くでは新興住宅地となった場所をしばし通ってから間もなく中心部に入って行くことになる。JR駅前でまずは老人夫婦二組だけ降ろしてすぐさま小樽までは高速道路経由で向かう。

 市内では運河沿いから続く観光場所を一回り案内をして走ってから堺町バス駐車場に停まり、後は3時間ばかり自由行動で1時10分にバス集合して運河沿いの食事場所に移動、食事を含め1時間ほど周辺観光して札幌駅に3時過ぎ到着して解散という行程。予め食事場所をバスでの一回り中に教えてもらっていたので、添乗員に話して我々だけはバスに戻らず集合時間前に堺町だけでなく運河周辺まで足を伸ばしてそちらに直行することにする。

 札幌からの海水浴場でもある小樽(短い夏の日本海側海水浴での水温は14℃程度だとか)は江戸時代からニシン漁などの物産と大阪からの商品とを運んだ北前船で栄えた国内商業の港町であり、函館と違うのは幕末から明治の開港による外国との交流が無かったということで、函館では目に付いた教会建築は見当たらず商業と倉庫建築が中心のレトロ石造建物が並んでいて、こちらもノスタルジアを感じさせる街ですねぇ。その中でも近代建築を代表するのが日本銀行小樽支店であるが、もう営業していないのは寂しいという一方、今のIT時代は集約合理化されて当然とも思う、北海道に日銀は二つもいらないものねぇ。

 幼い頃過ごしたことでここに出来た裕次郎記念館、これも父親が金融関係の人でここに赴任したからとか、運河沿いだけでなく堺町にも煉瓦造の古い建物が旨く観光商業施設に活用されているのだが、横浜赤レンガ倉庫のように耐震補強して整備し直すことなくそのままを簡単なスプリンクラー設備を取り付けただけなので、大地震が起きたらどうなるかが心配ですな。またニシン長者の和風豪壮御殿(この本宅は遊佐にあってコチラに見物記録が)で残るものは市街を離れた景勝地に別邸として建てたものが残っているそうだが、今回の旅ではとても回る時間がありません。

                    日本銀行小樽支店

 まずは堺町本通あたりを駐車場からメルヘン交差点まで歩き、引き返して運河中央橋の少し先まで店々を覗きながらブラブラ歩きする。堺町あたりは北一硝子を初めとするガラスショップ、ルタオなどのお菓子屋、それらの間に蟹をメインとする販売店や寿司屋などがズラッと並ぶ。これにヴェネチアンガラス、オルゴール、カスケードなどの店が加わり、道に店にと修学旅行生がウヨウヨと、彼らを避けながら歩きつつ長浜黒壁地区などと比較してみると、こちらは本格骨董屋がなくてかなりバタ臭いのはやはり北海道らしいというべきか。立派なお菓子屋ルタオ、この店名はオタルの逆読みだそうだが(そういえば白い恋人で有名な石屋製菓がバックアップしているサッカーのコンサドーレもドサンコの逆でしたね)、以前都内デパートでこの販売コーナーが大行列だったのを思い出した女房、生チョコレートをお土産に買ったあと小樽ジャージープリンも2階で食べられますよというのを、時間がないからとテークアウトして店前のベンチに座って二人で味わえば、これは濃厚で実に美味しくて、さすが行列が出来るはずですよ。ガラスでちょっと目にとまったのはヴェネチアンガラスが存外安いことと、北一硝子にあったランプが小電球に付け替えられ手軽に雰囲気替えができるようになっているくらいであった。あとは北海道の地酒屋、イタリア料理マルコポーロ、テレビでも紹介していたすし処多喜二などがこんなところにあるなんてと、女房と話しながら運河の方に歩いていく。

                    こんな倉庫も残っていて地震は大丈夫かな

                    修学旅行生が大勢

                    新しい施設らしいものも

                    メルヘン交差点付近

 運河沿いの倉庫は運河側は昔の風情を残すべくケバケバしいディスプレイを規制しているらしいのだが、反対側に回ると飲食店や雑貨屋などの看板が掲げられハデな雰囲気になっている。ここを一周してさらに先の屋根に鯱の棟飾が目立つ倉庫を利用した運河プラザにも足を伸ばす。ここは市が運営する観光、物産紹介施設で喫茶小樽倶楽部、小樽市博物館と続いている。中庭を挟んだ奥にギャラリーがあってこの時には美瑛のガラス作家阿部増蔵という人の作品を展示販売していた。

                    小樽運河風景

                    運河の裏手の通り

                左手に運河プラザ

 小樽ガラス以上に素朴な感じで、透明ガラスに柚子肌を付けて通した光がテーブルに模様を映すグラスだけを数種類を並べ、それぞれに作品名を付けている。毎年ここで個展をやっているという面白い親父と横浜から初めて小樽に団体ツアーでやってきたと話しながら、お昼はと聞かれてコース旅行で今日は決まっているので残念、でも次回来た時にこんなに寿司屋が多いと迷うからお薦めがあればと問えば、職人を雇っている店はダメ、家族で切りもみしている良い店で僕が自作の2個のマイグラスを置くのがすし徳という店だと。ここで上から2番目ぐらいのを頼めば女将さんがお薦めにしたらどうですかと言うはずで、それが2500円でとても美味しいと、いいことを聞きました是非参考にさせてもらいましょう。この後札幌に戻って夜行寝台車で帰るんだけれど夕食に良いところはと追討ちをかければ、それなら時計台近くの炭火焼居酒屋その名もよいところという店を推薦した。地図を描き、マネジャー名も教えて僕の紹介といえば炉辺のカウンターに案内してくれるはず、そこで好きなものを焼いてもらって日本酒をやれば旨いよと。キリッとした女性の経営でもう一店あるけどここはお薦め、札幌駅にも近いからいいよと、これはあるかどうか分からないけどタチポンが最高でぜひ注文してと。こうなると冷酒にちょうどいい煌きと名づけられた馬上盃を買わずばならないねと1個だけお買い上げ。

 そうこうしているうちに時間となって運河倉庫店の端っこにあるおれの小樽なる店にいけば、海鮮土産、回転寿司、団体用食堂が合体した昨日と同系列のような店で、次々と団体客が入れ替わる。全員でごくありふれた生ちらしセットを食べた後は周辺30分あまりの散策タイムがあって、また店の前に集合してバスで札幌駅に戻って目出度く自由解散。

                    運河裏手の食事処が並ぶ

 別れて自由行動となると参考までにと札幌在住というバスガイドさんに、二条市場と中央卸売市場場外売場のどっちがお薦めと聞けば、最近はどちらも高くて観光客目当て、特に場外はそんな気がする、ちょっと悪い品物は安くするけど、むしろデパ地下の方が良いぐらいの返事。そんなことでは市場歩きは興ざめ、蟹や鮮魚を探すのは止めにしよう。昨年の台風で北海道大学構内の有名なポプラ並木も無残な状態だそうで、ここから近いのだけれどこちらも敬遠したほうがいいらしい。

 さて札幌発の列車は午後7時19分とまだ4時間半近くある、それじゃ2時間ほど市内をうろつき、夕食に1時間ちょっと見込み、そのあと駅地下の商店街で買物して改札にいけばちょうどよいとまずは赤れんが庁舎をめざす。僕は札幌は3回目だけれど、会社の出張だけだったから街中は夜の飲食店とサッポロビール園ぐらいしか行っていないし、観光見物は全くやっていない。そんなことで旧北海道本庁舎だった赤れんが庁舎を内部まで見学(無料)すれば、山形の文翔館の方がちょっと立派だったなと、そんな話をしながらさらに南下して大通り公園まで行きテレビ塔までを見通し、横浜大通公園はここを真似たのかなでもこちらは広くて立派だねぇと。この公園に交差する道路を観光馬車が車を抑えて堂々と車線を変えて進むのを見つけ、喜多方みたいな田舎町じゃないのに、よくこんなに交通量が多いのに許しているねぇと女房と変な感心もし合ってしまった。こうなれば有名な時計台も覗いてと、もう修学旅行生も居なくなった4時半頃、ビルに囲まれて市役所隣に慎ましく建つ洋風木造建物をカメラに収め、前面の時計台通という南北に走る同じ道筋のビルの2階にある開店直後の居酒屋よいところに入る。この店名はいかにもお手軽で少しは心配しちゃうんだけど、自信満々で教えてくれたからねぇ。

                 赤れんが庁舎

                     大通り公園

                     観光馬車

                       時計台

                       よいところの看板が

 店は準備がほぼ済んがところで我々が最初の客、炉辺焼の席に頼まずともすぐさま座れる。メインの炭火焼は魚はホッケが一匹735円で一番高く、お燗2合も525円というお手軽値段の店で安心して飲み食いできる、まぁこれならいい店を紹介してくれたと言えるかなと。さっそくタチポンある?と聞けば、それは冬のもので今はありませんと、とある人に聞いてきたんだけどと続ければまぁ阿部さんの紹介ですかと、あの親父美瑛なのにここの常連みたい、確かに寒ダラの時期が白子だもの今あるわけないからタチポンと言えというのは紹介したとの符丁になっているのかな。あの親父が自分は酒のピッチが早くて刺身は腹を壊すので食べないと言っていたが、ここは彼のお薦めの炭火焼をとホッケ、コマイなど北海道らしい魚を食べながら飲めばバッチリ酒が進む。僕も負けないぐらいピッチが早いんですぞ。山菜天ぷらは行者ニンニクが初めてで旨かったし、自家製サツマアゲは大きく厚くてプリンプリンして美味しいこと。その後サッチョン族らしきサラリーマン達が3、4人グループで何組か入ってきてやや賑やかになってきたが、汽車に乗って腹具合が悪くなってはと、またこれも初めての夜行寝台で寝れないのではとの心配から乗車後に寝付のワインでもやらかそうという魂胆もあって、適当なところで切り上げる。

 最後は駅ビル地下の商店街でお土産、朝食用弁当、安いワインなどを買込んで北斗星に乗込む。今回のツアー仲間と一緒のコンパートメントでおしゃべりをしながら、ワインを女房と一緒に一本平らげればさすがにすぐさま寝込んでしまい、翌朝早く目が覚めれば盛岡を過ぎ一関の手前、あとは景色をみたりゴロゴロしたり、ロビー車両で弁当を食べたりと11時過ぎの上野到着まで暇に過ごす。

                       札幌駅で

 なんでも青森まで新幹線が延びる2年後には北斗星がなくなるというので一度はとこの旅行に参加した人もいるという、そんなのには無頓着だった我々も話の種がもう一つ出来ましたね。上野に着いて先頭の機関車(冒頭写真)を見れば、札幌ではディーゼルだったものが電気機関車に代わっている。この切替も知らずに寝ていたんだからアルコールの効果はあったのかな、でも鼾で迷惑かけたのなら失礼しました。でも寝台列車はヤレヤレという感じで、女房と一度だけでもう結構だねという結論に。しかし北海道にはまだ北、中央、東ともう3回は行かなくちゃと張り切るのは、道内に初めて足を踏み入れた女房でありました。


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