同じ五七五で詠む川柳と俳句は比較されることが多い。ところがむしろ季語に束縛されない短歌のほうが意味性としては近いのではないかと思うようになった。現代短歌(短歌にそういう分け方があるかは不明だが)の語りは話しことばに近い。
このごろSNS内で、若い人に短歌から川柳への流入がみられるのもうなずける。
つぎは新聞に掲載されている書評のなかから、浜名里香(はまな りか)歌集「くさかむり」から引用されているものを紹介する。(Y)
鶏(とり)ならばクラス全員皆殺しインフルエンザに公欠ひとり
革ぶくろつぶしたようなくしゃみしてここにこうして生きているひと
どの過去もどこにも戻りたくはなく人生も二度やりたくはない
ようやくに私語の止みたる教室に息やわらかくなりて眠る子
仏壇に上ぐる苺のくさかむり母のふたつのつぶら実真っ赤
お日さまにうっかり当たっておりましたおたまじゃくしが生まれる午後に
写真は熊本日日新聞2023.12.4から