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実るほど こうべをたれる 稲穂かな
まさに これ以上は~というほど とても重そうです。
刈り取られたあとの自然乾燥の仕方(掛け方)にもいろんな形があるのにびっくり
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弥生時代のはるか昔から昭和45年頃まで、自然の太陽と風を利用して乾かす「天日乾燥(てんぴかんそう)」
で行ってきました。
方法は地域によってさまざまです。
山形では「くい」という直立した棒に、稲穂を外に向けて掛けることが多いのですが、
木を縦と横に組んでから干す地方もあれば、
縦の材木を立てる代わりに木が一列にならんで植えてある地方もあります。
(これ 新潟で見ました はざ木というようです こちらに写真が載っていました)
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2001年 新潟で撮影
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横にどんどんかけていく方式でも、水平1段がけから5段がけくらいまであるようです。
このように、水平にかけていく方式は、南北の方向に伸びるように組むのが普通です。
こうすれば、午前中は東側に、午後からは西側にお日様があたるようになってよく乾きます。
これをもし、南向きにすれば、ウラ側に回った北側の稲穂が乾きません。
木を縦と横に組んだものを「ハセ」(あるいは地方によっては、ハサとかハザともいう)といい
、横棒に水平にかけていくやり方を「ハセがけ」といいます。
1段がけの場合、10アール(10m×100m)の田んぼで収穫した稲たばを干すには
100mのハセが必要になります。ですから何段にもして干しているわけです。
くいがけに比べて、材料が余計にかかりますし、手間も多くかかります。
周りが山に囲まれていて、風があまり吹かないような場所では、なるべく日光を当てて乾かすため、
稲穂やワラが重ならないように横に広げる「ハセがけ」が広まりました
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「くい」にかけるのは「くいがけ」といっています。
使う「くい」は細いと折れてしまうので、太さがだいたい5センチぐらい
長さは地方によって違いますが、約2mぐらいです。
「くいがけ」するのは、庄内平野のようによく風が吹くようなところです。
「くい」にかけられた稲穂は、重なっていますが、乾いた風が吹きつけるので、
十分乾かすことができます。
1週間から10日おきに2回ほど稲たばのかけかえをします。
そうして、まず稲穂を乾かし、続いて茎の部分「ワラ」を乾かします。
地方によって乾かすやり方が違うのは、このように1つには自然条件の影響が関係しています。
それに、山の方では、田んぼの面積が小さいので、大きな収穫機械が入りにくいという点もあげられます。
「ハセがけ」「くいがけ」された稲は、雨や朝晩の露と、風や日光に繰り返し繰り返しさらされながら
少しずつ乾いていきます。
干している間、稲は、葉や茎に貯まった栄養分をモミに移すために、
自然乾燥させると味が良くなるといわれています。
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「ハセがけ」「くいがけ」をする方法は昔からあったのではありません。
昔は、稲を刈りとってから1週間くらい稲たばのまま、稲穂を下にして田んぼに立てて干していました。
その後3~4日間稲穂を上に向けて干して、乾いたものから順々に取り入れていくやり方でした。
これは、水はけの悪い田んぼや、雨が続いたときにはモミから芽が出て米の品質を落としていました。
続いて登場したのが、田んぼと田んぼの境界の盛り上がった所(=「アゼ」といいます)に
稲穂を下にして稲たばを立てて、4~5日たってワラが乾いたころに、
くいに1週間くらいかけるというやり方でした
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稲穂は私たちが守るわ!
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刈ってからすぐに「くい」にかける「くいがけ」のやり方は、
庄内地方の中のわりと山の方では明治維新前から行われ、平野部では明治14~15年頃から始まりました。
明治40年ごろから普通の乾燥法として山形県以外にも広まりました。
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こちらから引用させていただきました